Journey×Journeyと山本ジャーニーの冒険-独立・開業と「旅食」の航海日誌-

秋葉原の多国籍・無国籍のダイニングバー「Journey×Journey」。独立開業までの過程とオープン後の日々を綴る、山本ジャーニーの営業日報。

ブログ

J×Jの冒険-2015年4月③「商売不繁盛論」vol3-

【前提2】借入がなかったというのもオープン当初、商売不繁盛論を展開していく上での大きな要因となった。 飲食店を開くにはそれなりの開業資金が要される。 個人事業主が例えば自店の条件(東京都内、14.5坪)でお店を開くのであれば、 ・スケルトンの場合…

ブログについて

遡ってみると、僕はこのブログを2015年の4月14日、お店のオープンから2週間後にスタートしている。お店を開いたばかりの頃は色々とてんやわんやで息つく暇もないまま、毎日追われに追われていたわけだけど、週に一回のペースを目安に細々と書き進めてきた。 …

<完結編>『J×Jの冒険』への冒険vol42.【沈没と船出】③

「結論から申し上げて、ポンプ室の鍵を開けることはできると思います」。 と鍵屋さんは言った。 「特殊な鍵なので5万弱かかりますが…」 5万弱…。やはりぼちぼちの金額だ。そもそも相場が全くわからない。相見積をとっている余裕もないし、値下げ交渉に踏み切…

<完結編>『J×Jの冒険』への冒険vol41.【沈没と船出】②

配水管から噴き出る水の圧力は未だかつて僕が経験したのことない未曽有のエネルギーだった。ゲリラ豪雨のように上から下に降り注ぐ雨にずぶ濡れになったことはあっても、遊びで滝に打たれたことはあっても、下から上へと突き上げるエネルギーに触れる機会と…

<完結編>『J×Jの冒険』への冒険vol40.【沈没と船出】①

2015年の3月28日にレセプションの初日を迎え、それから3日間を最終的な準備期間に充て、予定の通り、翌4月1日、無事オープンに漕ぎつけることができた。ランチ営業から始めた初日、初めてのゲストは2人組の女性だったと記憶しているけれど、気持ちが宙に浮い…

『J×Jの冒険』への冒険vol39.【レセプション編】

飲食店を始めるにあたり、どのタイミングでスタートを切るのがもっとも適切か、というのは以前から考えていた。個人的には3月か4月がいいと思っている。この時期は人が「動く」シーズンだし、また気候的に「動きやすい」シーズンでもある。勿論、立地にもよ…

『J×Jの冒険』への冒険vol38.【所信表明と桜演説③】

ゲストの「今日、楽しかったね」を作ること、 それが自分にとっての飲食業であり、ライフワークであるということが桜演説の前文。この前文をその他一切の前提とし、またその他一切の重心に据える。今後、やれやれなことは多々あろうが、しんどくなったらここ…

『J×Jの冒険』への冒険vol37.【所信表明と桜演説②】

まだ物件が決まる前、2014年の12月、休みの日に中野に飲みに行った。12月という繁忙期の真っ最中で、僕はくたくたで、とにかく疲れていた。気分転換にと思って中野に向かったわけだけど、飲めば飲むほど自問が頭の中を駆けまわる。 「自分にとって飲食業とは…

『J×Jの冒険』への冒険vol36.【所信表明と桜演説①】

3月1日の契約開始から27日のレセプションのまでの26日間、 内装工事を進め、 スタッフが秋葉原に引っ越し、 立地を検証し、 商圏を調べ、 他のお店に勉強に行ったりした。 その上で、 ランチについてあれこれ考え、 ディナーについてあれこれ考え、 ドリンク…

まるちゃんの冒険

昨年11月から今年の2月末までお店を手伝ってくれていた「まるちゃん」。 今回は彼女の冒険について。あれから3ヶ月経って、ようやく書ける。それが嬉しい。 まるちゃんは以前勤務していたお店の同僚で、ほぼ同時期に入店した(僕が2014年の3月、彼女は同年4月…

『J×Jの冒険』への冒険vol35.【馬喰横山歩道橋下黄昏メニューブック編】

メニュー作成は出店する人間にとって、最もわくわくする仕事の一つ。空間や接客を含め、飲食店はトータルなもので問われるけれど、その中心にあるのはやはりメニューだと思う。 独立する前の一年、僕は多国籍料理のダイニングバーでお店のメニューを提供しな…

『J×Jの冒険』への冒険vol34.【内装工事】編④

内装工事3日目の朝はオーブンと冷蔵リーチインケースの搬入から始まった。 厨房機器の大きな買い物はこの2つのみ。オーブンはガスを使うので、メーカーからの搬入の日程とは別に東京ガスに入ってもらう日程も調整しなければならない。そこでまず東京ガスに連…

『J×Jの冒険』への冒険vol33.【内装工事】編③

ここのところ話があっちにいったり、こっちにいったりしていましたが、ここでまた本編に戻ります。すでに33話目になるこの『「J×Jの冒険」への冒険』というややこしいタイトルのシリーズも間もなく終わり、オープンを経て、ようやく『J×Jの冒険』が始まりま…

Kの冒険【蛍の光編】

3月に入り、Kが再びお店を休むようになってから、シフトフォローの手配に追われた。まるちゃんは2月末にクランクアップ。これ以上のフォローはお願いできない。僕は速やかに、何が何でも、誰かの協力を仰がなくてはならなかった。ディナーはいざとなれば独…

Kの冒険【退職編】

今回のブログはスタッフの退職に関した記事です。前もってアナウンスさせていただきますが、けしてポジティブな退職ではないし、最後まで読み通したとしても何ら救いのない内容になっています。であれば、わざわざ書く必要があるのかという話にもなるけれど…

J×Jのタイへの冒険⑥-失踪「急」-

「ヤマモトさん!!、オレ、金持ってないっすよ!!」 加藤はヘルメットを被りながら、大声で俺に言った。 「大丈夫!!着いた先で俺がまとめて払う!!」 この時、“財布からお金を出し、加藤に渡す”というほんの数秒を正しく費やすことができれば、また違った展開に…

J×Jのタイへの冒険⑤-失踪「破」-

年末から年明けにかけてのドタバタで蓄積された疲労に加え、タイに来てからのハードスケジュールによって、くたくただった身体にマッサージは思った以上に有効で、まさに会心の時間となった。 マッサージ屋を揚々と後にし、次のミッションへと速やかに移行す…

J×Jのタイへの冒険④-失踪「序」-

「ロングラックゲストハウス」を訪れることも今回の旅の目的の一つだった。 友人がこの宿を運営している。彼女とは世界一周の際、最終地であるバンコクで出会った。最後の晩餐は独りかな、と思っていたけれど、滑り込みで思わぬ華を添えられることになった。…

J×Jのタイへの冒険③-疾走-

滞在中、それなりに観光もした。バンコクには何度も来てるので、観光意欲は特に湧かないけれど、かと言って、飽きることはないし、アテンドすることを億劫とも感じない。加藤にとっては初めての海外なので、できるだけ堪能していってほしいと思うし、何度も…

J×Jのタイへの冒険②-実食-

「ミナサン、帰りはホテルに20時15分シューゴーです。デモ、遅れるといけないカラ、デキレバ、20時にはいるよーにお願いしマス」 と、空港からホテルまでの送迎バスの中で旅行代理店が手配したタイ人のガイドが言っていた。今回は航空券だけではなく、3泊分…

J×Jのタイへの冒険①-思惑-

ブログで書き進めている開業物語、2015年3月28日の一回目のレセプションまであと一息というところで、現実ではそれよりも先に一周年を迎えてしまった。ドキドキでワクワクだったレセプションからちょうど一年、2016年3月28日は特に感傷に耽ることなく、と言…

『J×Jの冒険』への冒険vol32.【各種手続き編-その他-】編

レセプションまでの限られたた時間の中で、詰めなければならない項目は他にもたくさんある。 食品卸業者との契約もマストの1つ。 メニューを決めた上で、必要となる食材をピックアップしていかなければならない。また、この段階においてはサンプルを通常価格…

『J×Jの冒険』への冒険vol31.『各種手続き-金融機関-』編

酒屋との調整や保健所との攻防と並行して、各業者との打ち合わせが連日のように続いた。 その一つが銀行。「打ち合わせ」というよりも、「口座を開かせて」というお願いに近い。 個人事業主の場合、「店の預金口座」を持つ必要はない。個人の口座だけで完結…

『J×Jの冒険』への冒険vol30.【各種手続き-保健所-】編

開業に至るまでの過程を描いたこの長編も第30話まで到達。ほんとは「リアルの一周年」と「ブログ内での開業」を合わせて、パラレルな感じにしたかったのだけどどうもそれは難しそうです。なんせ、レセプションの初日は2015年の3月28日。あと一週間しかないの…

『J×Jの冒険』への冒険vol29.【丸くなるな、星になれ】編

3月1日の契約開始とともに各業者との打ち合わせが連日のように続いた。どういった業者と、どういう打ち合わせが必要だったか、については次回の記事で書こうと思うが、まずともかく頭を悩ませたのは酒屋との打ち合わせだった。酒屋自体は直前まで勤務してい…

加藤君のタイ料理への冒険。

楽しみ方の違いについて僕が自問自答し始めた2日目の昼、オーナーがゲストハウスにて他のバックパッカーの方と会話しているのをボーっとしながら聞いていた。 「へー、二人で秋葉原でお店やってるんだー」 「そうなんですよ。だから今回もタイ料理の勉強も…

加藤君のタイへの冒険【後編】Written by Kato.

しかし「ビック加藤」が猛威を振るっている最中もメジャーリーガー達はいたって通常運転。 「カトー、アホだなぁ」 「良いね良いね♩」 「カトーくん、こーゆーのどう思う?」 ???????? 僕の中で「ビック加藤」は必殺技であり諸刃の剣。 その場を自分…

加藤君のタイへの冒険【前編】Written by Kato.

「タイ良いなぁ~」 ? 「楽しんできてね~」 ?? 「羨ましい私も行きたいなぁ」 ??? タイに行く前に色んな人がこのような反応をするのに対して僕は「なんで?」とだけしか思っていなかった。 確かに一見、バカンス感漂っていて10人中10人が「楽しい」と…

『J×Jの冒険』への冒険vol28.【商圏マーケティング-メニュー(遠征)編-】

前回の記事に書いたようにお店の近隣の調査についてはオープンの準備の合間に進めた。その一方で、秋葉原ではないけれど、行っておきたいお店がいくつかあったので時間を取って出かけることにした。 まず、渋谷の「ガイトーンTokyo」。2014年にバンコクから…

『J×Jの冒険』への冒険vol27.【商圏マーケティング-メニュー(近隣)編-】

立地特性の他にもう一つオープン前に調べておきたかったこと、それは肝心のメニューについて。近隣の店舗がどのようなメニューをどのように出してるかを把握しておきたかった。とは言え、調べたからってすぐに自店のメニューやオペレーションに反映させるこ…