楽しみ方の違いについて僕が自問自答し始めた2日目の昼、オーナーがゲストハウスにて他のバックパッカーの方と会話しているのをボーっとしながら聞いていた。
「へー、二人で秋葉原でお店やってるんだー」
「そうなんですよ。だから今回もタイ料理の勉強も兼ねてるんです」
(・・・・あっ!やべっそうだった。)
「だから明日はこの辺で開かれてる料理教室に参加するんです」
(・・・・えっ!?マジ?!)
「そうなんだ!カトーくん頑張って勉強しなきゃね!」
「あっ!は、はい!!そうなんですよ!!」
この時、僕は思い出した。
2/27に全く料理が出来ない自分が〝奇蹟〟を起こさなくてはいけないことを。
3日目 朝9:00
料理教室開始。
今回作る料理は「グリーンカレー」「トムヤムクン」「パッタイ」。
王道のタイ料理を3品。料理を教えてくれる僕のマスターは英語が話せるタイの方。
そして一緒に参加する生徒は僕以外にカリフォルニアから来たステイシーとメイガン。
どうやら僕が得意とする日本語は出番がないようだ。
はじめにグリーンカレー。この食材がのちにカレーになる。
まずは材料を細かく切り、
石臼でペースト状にすりつぶす。
このペーストを使い、グリーンカレーを仕上げていく。
それと同時並行でトムヤムクンも作っていく。
現地の市場で揃えた食材ひとつひとつが自分の手により、「料理」へと変わっていく様はいつも横でオーナーがやっているのを見てるにも関わらずとても新鮮だった。
「美味いな!ステイシー!!」
「What`s?!」
「!!!・・・ア~・・アイラブカリフォルニア!!」
「Yeah!!」
今度は事前に英語も勉強してこよう。
最後にパッタイを作る。
パッタイは日本でも一度作ったことがあったが、現地の不思議な形をしたフライパンを使い、現地では当然のようにパッタイに使われる現物のタマリンドを見るのも初めてで料理は僕の軽いノリとか、勢いで習得出来るものではなく、ましてやお客様に提供するのであればそれ相当の知識と努力が必要だと改めて感じ、〝2/27奇跡を起こします〟とか〝魔法をかけます〟とか言っていた自分が恥ずかしくなった。
2/27は僕の現状出来る全てを出し、来て頂いたゲストの方達に日頃の感謝と僕頑張りますという
真剣味を伝えようと決意したのと同時に、緊張からかもしくは前日に呑んだテキーラのせいか
僕は気持ち悪くなりながらも無事、料理教室を終えた。