Journey×Journeyと山本ジャーニーの冒険-独立・開業と「旅食」の航海日誌-

秋葉原の多国籍・無国籍のダイニングバー「Journey×Journey」。独立開業までの過程とオープン後の日々を綴る、山本ジャーニーの営業日報。

J×Jのタイへの冒険④-失踪「序」-

「ロングラックゲストハウス」を訪れることも今回の旅の目的の一つだった。

 

 

友人がこの宿を運営している。彼女とは世界一周の際、最終地であるバンコクで出会った。最後の晩餐は独りかな、と思っていたけれど、滑り込みで思わぬ華を添えられることになった。僕も華も、盛大に酔っ払い、晩餐の後半の記憶はきっちりさっぱりない。

 

 

チャオプラヤーの川沿いで酔っ払って、木登りする華。

 

 

 

 

チャオプラヤーの川沿いで酔っ払って、木から降りれなくなる華。

 

 

 

 

最終日の朝は超重量級の二日酔いとともに迎えることになった。

 

 

 

あれから3年経って、そんな彼女がバンコク(カオサンの近く)でゲストハウスをオープンすることになった。僕がここを訪れた2月上旬はまだ準備中で、

 

 

 

 

色々と大変そうだったけど、

 

 

 

 

先日、プレオープン。グランドオープンは来月とのことだけど、もう宿泊はできる模様。広々とした一軒家スタイルのゲストハウス。この居心地、バンコク、とりわけカオサン付近にはそうはないはず。おススメです。ちなみに「ロングラック」とはタイ語で「恋する」という意味のようです。

 

 

 

 

僕は彼と一緒に行ってしまったので、「ロングラック」は次回にお預けです。

 

 

 

 

 

最終日。目的はあらかた終え、残すミッションはまず「ルーフトップバー」に行くこと。いつもひもじい旅行ばかりなので今回はこういうところにも行ってみたかったのです。そしてもう一つは「ラドナ」。ラドナというのは簡単に言えば「あんかけ麺」のことで、15年前、タイ在住のいかにも怪しげな日本人に紹介してもらって以来、バンコクに来る度に訪れ、必ずこのラドナを食べるのです。

 

 

まずはこのラドナを食べようと中央駅を目指す。どぎつい渋滞にぐったりしながらもようやく中央駅に到着。ここから歩くのだが、目当ての食堂はかなり奥まったところにある。観光客がふらっと訪れることはほとんどないだろう。

 

 

「ラドナ」が作られる工程を動画に収める加藤。

 

 

 

 

これがラドナ。

 

 

 

 

全体を覆うように被さる玉子を崩すと中から麺が出てくる。餡と玉子とこの麺が絶妙に絡まり、そこにしっとり柔らかい豚肉とシャキシャキの空芯菜が重なる。相変わらず、たまらない一品だった。

 

 

 

 

これでミッションの一つはクリア。残すはルーフトップバー。渋滞で想定外の時間が取られてしまったけれど、慌てるほどではない。ラドナとバーの間にマッサージに行きたいなと思っていたので予定通り、マッサージを受けることにした。ちょうど中央駅の駅舎の中にあったのでお願いしてみると「15分くらい待って」と言われた。

 

 

ほんとに「15分」だろうか、と訝しむ。大体において海外の「ファイブミニッツ」は平気でその5倍くらいに上乗せされる。15分。微妙な数字だ。かと言って、他を探すのも億劫だ。ここはこの店にベットすることにした。

 

 

そして、待っている間に加藤が「ヤマモトさん、俺、昨日言ったと思うんですけど、Tシャツが買いたいんですよね。その時間ありますか?」と聞いてきた。

 

 

しまった…、すっかり失念していた。「ごめん、その店、どこにあるんだっけ?」

 

 

加藤が示した場所はルーフトップバーからそれほど離れてはいない。よし、まあ大丈夫だろう、と算段する。

 

 

「15分」の待ち時間は結果、「20分」に落ち着いた。上々だろう、でも、ここは慎重に進めたい。

 

 

 

「申し訳ないんだけども、1時間のコースを45分にまとめてもらってもいいでしょうか。値段はそのままでかまわないので」とマッサージ師に伝える。

 

 

 

 

タイに来てまで時間に追われることになるのか…、と思ったけれど、Tシャツを忘れていたのは俺のミス、かと言ってマッサージを諦めるのも惜しい。

 

 

 

 

 

この時、僕らは気付いていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

間もなく、冷や汗がたっぷり滴る分刻みの疾走を余儀なくされることを。

 

 

 

 

 

そして、その疾走の中で加藤がバンコクの闇に失踪してしまうことを。

 

 

 

 

僕たちはそんなことつゆにも思わず、全身の筋肉を気持ちよくほぐされていた。

 

 

 

 

まるで、目前に迫る激走のための準備運動かのように。