Journey×Journeyと山本ジャーニーの冒険-独立・開業と「旅食」の航海日誌-

秋葉原の多国籍・無国籍のダイニングバー「Journey×Journey」。独立開業までの過程とオープン後の日々を綴る、山本ジャーニーの営業日報。

『J×Jの冒険』への冒険vol31.『各種手続き-金融機関-』編

酒屋との調整保健所との攻防と並行して、各業者との打ち合わせが連日のように続いた。

 

 

その一つが銀行。「打ち合わせ」というよりも、「口座を開かせて」というお願いに近い。

 

 

 

 

個人事業主の場合、「店の預金口座」を持つ必要はない。個人の口座だけで完結できる。むしろ、複数の口座を持つと出し入れ(お金の流れ)が面倒なことになって厄介だったりもする。ということを聞いていたけれど、多少煩わしくても店は店、個人は個人で口座は別に持つべきだと思っていた。

 

 

ベンチャー企業の場合、どこの銀行の口座を持っているかというのも与信やステータスになるとのことだが(各金融機関によって審査の難易度も違うらしい)、自店においては当面無縁の話だろう、ということで、単純に近場にある信用金庫を選択した。自店の周辺においてはこの信用金庫が最も「地域」と密接で、自店のような小さなお店も融資を受けやすい(これもまた当分先のことだけど)という情報も事前に聞いていた。

 

 

口座名に屋号を入れるかどうかを検討する個人事業主も多い。どっちでもよかったが、何となく入れることにした。ただ「J×J」の「×」はNGとのこと、通帳には「×」を除いた屋号と代表者名が手書きで記載されている。手書きの場合(そしてその信用金庫の場合)、ATMで通帳繰り越しができない仕組みになっていて、繰り越しの度に窓口に行かなくてはならない。とか、何だかんだ言って、何だかんだがある。面倒くさいと感じる人は初めから個人の口座で一括するのが得策だろう。

 

 

個人事業主には「給与」という概念はない。「売上-仕入れ-経費」で求めた額全てが自分の所得になる。50万残れば、50万がその月の所得だし、0であれば所得は0。自分が頑張った分だけ所得になると考えればシンプル。けれど、広義に水商売をやっている以上、他の業種以上に、月毎の売上及び利益は顕著に変動する。その前提を考えれば自分の所得は一定に据えた方がベターだろうと判断した。個人事業主の会計にのっとるのではなく、法人における会計の体系を模倣したほうが管理しやすいし、数字をより正確に把握できると思った。

 

 

つまり、「残った金額が全て自分の所得」ではなく(確定申告上はこれが自分の所得なんだけど)、自分の所得は「店の預金口座」から毎月一定金額を給与のように支払われるものとし、スタッフに渡す給料とともに給料日に引き落とし、そのまま個人の口座に振り込むようにしている。個人事業主の帳簿上では貸借対照表において「事業主貸し」として処理することになるが、法人における「役員報酬」のイメージに近い。

 

 

と、言ってもいたずらにややこしくなるだけだし、細かく見れば、これは正確とは言えない。「経費」や「税金」の話も出てくるし、損益計算書や貸借対照表の概念も絡んでくる。でも、ここではこれ以上追うのはやめてく。言いたいのは、自身の生活費として「事業主貸し」として捻出し、仮にこの金額を30万に設定すると、50万残ればそこから30万を引いて店のストックが20万増えた、逆に0だった場合、そこから30万引いて店のストックが30万減った、という具合に僕が個人的に捉えるようにしたということ。そのためにも、「店の口座」と「個人の口座」を分けた、という話。

 

 

上記、

 

 

「面倒くさいと感じる人は初めから個人の口座で一括するのが得策だろう」、これはこれでそうだと思うのだけど、そうしてしまうと「店のお金」というイメージを持ちづらくなる。僕としては自分の所得が月毎によってどう変化するか、ということよりも、店のストックがどう増減しているかで考えたかった。そうした方が中期的な戦略が立てやすいし、キャッシュフローの可視化にもつながる(このあたりはおいおい別の機会に、別の記事で触れていきたい)。

 

 

通帳はその場で発行されたが、カードが届いたのは一週間後くらい。営業担当の方がカードとともに必要書類を持参し、その際、諸々の手続きを全て終えた。

 

 

この時、同時に定期預金も組んだ。金額は小さいけれど、少しでも定期預金を入れておくことでのちのち有利に働くことが多い。「有利」とはすなわち、「融資」が絡んでくる話になるわけど、先述したようにこのあたりの話が顕在化するのは当分先の話だし、情報は不透明で、おまけに流動的だ。今はコツコツした金額をコツコツと貯めているという単純なニュアンスに近い。

 

 

定期預金を組んだことにより、営業担当の方が毎月決まった日に集金に来る。わざわざ集金に来てもらう必要なないのだけど(引き落としか集金かは預金者が選べる)、僕は集金してもらうことをお願いした。お金を渡して、定期預金の通帳に印鑑をもらうだけのシンプルなやりとりだが、その時にちょっとした世間話ができる。直近だと「マイナス金利」などがその話題となる。マイナス金利もまたスケールの大きい話で、自店のような個人店にダイレクトに関係する話ではない。しかし、だからこそこうしたコツコツとした情報をコツコツと貯めていきたい(行員に言えるのはとても限られた範囲ではあるにせよ)。

 

 

 

 

本当は『各種手続き-その他諸々-』編にするつもりだったが、店の口座を開設するかどうか、なんて誰もフォーカスしないようなトピックで随分と長くなってしまった。

 

 

 

今、タイトルを『金融機関』編に変更した。