2015-08-01から1ヶ月間の記事一覧
「山本さんからの最初の提示金額が○○万円だったりしたら、どうしようかと思ってました。この話、白紙に戻すことだって考えてましたから」 橘さんは笑いながらそう言っていたが、僕は身のすくむ想いだった。危ない、非常に危なかった。 橘さんとの造作譲渡を…
賃室申込書に僕が設定した家賃を記入し終えると、池尻さんは神妙な面持ちで「本当にその金額でいいんですか?」と僕に尋ねた。 その質問の意味が僕にはよくわからなかった。他に応募者がいないのであれば、オークションのように設定する家賃について駆け引き…
2015年2月13日の金曜日の時点において、僕は自分の他に当物件にどれほどの応募があるのか、そして、どんな応募があるのか、全く知らされていなかった。不動産会社にとって“誰と契約するか”の判断材料は「資金力」と「与信」の他になく、僕にはそのどちらもな…
橘さんが2月いっぱいでお店を閉めることを決断したのが1月上旬。契約解除の申し出は管理会社に速やかに受理され、この物件の担当である池尻さんは早速、各媒体に物件情報を公開した。その募集に対して手を挙げた人間が管理会社と面接する。まずはそこでふる…