「ミナサン、帰りはホテルに20時15分シューゴーです。デモ、遅れるといけないカラ、デキレバ、20時にはいるよーにお願いしマス」
と、空港からホテルまでの送迎バスの中で旅行代理店が手配したタイ人のガイドが言っていた。今回は航空券だけではなく、3泊分のホテルもついたパッケージで買っていて(航空券だけよりも、そっちのほうが安かった)、その中にホテルまでの送迎も含まれていた。自分たち含めて15人くらい。ほとんどが大学生だった。
「イイデスカ、ミナサン、デキレバ20時にはいるよーにお願いしマス」とガイドは繰り返していた。はじめから20時にすればいいのではないか、と思いながら、久しぶりのドンムアン空港からの景色を眺めていた。
ホテルに荷を下ろして、早速、街に出た。初日の夜はムーガタを食べる予定で考えていた。ムーガタはタイスタイルの焼肉&鍋。日頃から「焼肉が食べたい」と加藤が連呼していたからというのもあるけれど、目当ての店は焼肉の他に一般的なタイ料理を10種類くらいビュッフェ形式で提供しているので、一度にいろんな料理を少しずつ食べられる。初日のお腹が空いた状態にうってつけだった。
主目的は休暇であり、そして本場の「タイ料理」なのだ。限られた時間の中で、できるだけ多くのメニューを効率よく網羅したい。
ムーガタ(食べ終わったあと)。
ビュッフェはこんな感じ。
タイ料理を単純に味わうのではなく、タイ・ラウンドで提供するメニューの参考にするというのが課題だった。勿論、行き当たりばったりではなく、事前にある程度検討はつけてもらっている。加藤がチェックしたいメニューを聞き、それがありそうな店に僕がアテンドする、そういう段取りだった。
でも、そんなことよりも何よりも、まずはムーガタのお店のウェイトレスがかわいかった。
滞在した3日間を無駄なくフルに使って、チェックリストを片っ端から塗りつぶしていく。
加藤がピックアップしていた「ナムトックム―」(豚肉のハーブ和え)、
続いて「クン・オップ・ウンセン」(海老と春雨の蒸しもの)、
「ソムタム」(青パパイヤのサラダ)、
メジャーなタイ料理も抑える。
自店でもレギュラー「カオマンガイ」、
「パッタイ」、
「空芯菜炒め」、
日本では挽肉のイメージが強いけど「ガパオ炒め」、
実際に食べてみて「これは使えそう」と思えるものがある一方で、「あれはちょっと…」と思い直すものもあった。前菜、サラダ、冷菜はかたまったのだけど、コースの〆をどうするかが難航した。
一緒に色々と検討した結果、
〆の候補としてあがっていたカオカ―ムー(豚足煮込みご飯)を、
〆ではなく、同じ味付けで豚バラ軟骨を使ってメインディッシュに据え、そして「立食では蟹が食べづらい」という難点があったプーパッポンカリーをアレンジして、蟹ではなくシーフードで代用、
これにライスを合わせて〆にする、ということでまとまった。
そして、料理教室にも参加。
この時の様子はこちらをどうぞ。
と、こんなふうに書くと随分真面目な旅行だったなあ、と思うけど、実際、「料理」に関しては特にオチも可笑しみもユーモアもなく、それなりに真面目だったのです。