Journey×Journeyと山本ジャーニーの冒険-独立・開業と「旅食」の航海日誌-

秋葉原の多国籍・無国籍のダイニングバー「Journey×Journey」。独立開業までの過程とオープン後の日々を綴る、山本ジャーニーの営業日報。

加藤君のタイへの冒険【前編】Written by Kato.

「タイ良いなぁ~」

 

 

 

 

「楽しんできてね~」

 

 

??

 

 

「羨ましい私も行きたいなぁ」

 

 

???

 

 

タイに行く前に色んな人がこのような反応をするのに対して僕は「なんで?」とだけしか思っていなかった。

 

 

確かに一見、バカンス感漂っていて10人中10人が「楽しい」と感じるのだろう、しかし僕が一緒に行くのは自分のオーナーであり、日頃から自身のだらしなさに対してよく怒られている相手と3泊5日、しかもタイ料理を勉強するという名目のもと行動しなければいけない。さらに行ったことがない場所、経験したことのない文化。

 

 

当然、初海外の僕は色んな心配があった。

 

 

「体力が続かなく、ホテルでダウンするのではないか」

 

 

「また何かしらやらかしてしまい、オーナーに怒られるのではないか」

 

 

「気を使い、顔色を伺い、結局楽しむことなど出来ないのではないか」

 

 

出発前の成田空港、僕の中にあったのは楽しむ、新しいことを知る意気込みではなく、頼むから何も起こらないでくれという不安しかなかった。

 

 

1日目の夜、タイスタイルのBBQ&鍋「ムーガタ」。

 

 

僕の不安というしょーもない「リトル加藤」は姿を消し、ただひたすら自分の中の「最高」という感情を抑えるのに必死だった。隣のテーブルに偶然居合わせたタイ人は僕に「こうやって食うと美味いんだ!」「飲み放題なんだからもっと飲め」と知らないイープン(日本人)に対して話しかけ、ビールの栓抜きがなくても、瓶ビールのキャップの開け方を教えてくれた。タイ語はおろか英語もしゃべれない僕にだ。

 

 

 

2,3日目の夜、オーナーの知人のゲストハウス。

 

 

言葉は確かに通じる相手だが、皆バックパッカー。次は「どこの国に行くか」「あの国のあそこが良かった」などの完全にベテランの方達。今回が初の海外の僕なんて相手にされないと思っていた。ただ異世界の旅の話を皆がしているのを黙って聞いていようと思っていた。

 

 

 

「えッ!?初海外なの??」

 

 

「はい、そうなんですよ」

 

 

「へー」

 

 

(これで僕のターンは終了、あとはメジャーリーガー達の華麗なプレイを指をくわえて見ていよう)

 

 

「で!タイはどんな感じ??」

 

 

「〇〇〇〇は行った?」

 

 

「カトーくんおもろいキャラしてんな!!」

 

 

 

 

 

!!!!!!!!

 

 

 

 

拙いリトルリーグの僕のプレイをメジャーリーガー達は自分のことのように感動し、共感し、なんなら面白がってくれる。

 

 

 

 

僕は調子にノッた。

 

 

 

 

 

よく東京でうるさいと言われ、オーナーによく怒られ、人によっては嫌われてしまう「ビック加藤」が懲りずに再登場した。こいつが出てくると本人だけが楽しくなり、そこにいた人達の時間は無駄に奪われる。