1月3日のフジテレビ『嵐ツボ』の放送から早一ヶ月。
この放送を見て来店されたゲストのほとんどは「番組で紹介していたメニューが食べたい」とおっしゃられます。まあ、当然の話です。でも、あれは「2017年絶対に流行る 日本ほぼ未上陸グルメ」として世界一周中に食べた1165皿の中からランキングしたものであって、お店のメニューから選んだものではないのです。
ゲストに尋ねられる度に気まずい回答をする自分。最近では気まずさを通り越して、罪悪感すら覚えるようになりました。
この罪の意識から逃れるための手立てはただ一つ。自ら作るしかないのです。
というわけで、ご紹介した5つのうちの4品、自店で開発しました。自分が現地で食べたものを完全に再現してるものではないけれど、味自体はかなりニアなところまで寄せることができたのではないかと。また「作れる」ことと「オペレーションに乗せて提供する」ことは同じではなく、この点をどう克服するかも課題だったのだけど、色々と工夫して(若干強引に)、通常メニューとして提供する段取りもつけることができました。
それでは「2017年嵐を起こすメニュー」、順にご紹介していきたいと思います。まずは第5位のタイの「ムーガタ」。
出鼻を挫くようですが、こちらは調理器具と設備の問題で断念。でも近いうちにタイから直接取り寄せようかと考えてます。コースメニューの中に「ムーガタコース」を組み込むのも面白そうだな、と。
第4位のボリビアのパパ・レジェーナ。
番組内では「南米発のコロッケ革命」と説明しましたが、これはほんとになかなかの革命だと思ってます。このコロッケ革命をJ×Jで表現すると、こんな感じ。
写真では何が何だかよくわからないけども、この衣のないコロッケと野菜サラダの取り合わせがけっこういけます。ここからさらにぐちゃぐちゃに混ぜ合わせて、召し上がっていただきます。
続いて、第3位の「ポジョ・コン・モーレ」はメキシコのスパイシーチョコレートチキン。アメリカとの国境の街ティファナの食堂で食べたモーレはこれ。
モーレは現地の味に近づければ近づけるほどキツくなるので、お店で提供するモーレはベースを残したままちょっと柔らかめに仕上げています。
第2位、トルコのミディエ・ドルマ。ムール貝の中にピラフを詰め込むという斬新さ。提供する側としてはその斬新さよりも、仕込みの大変さに意識が行きます。下記、写真の後方を見ればわかるように山のようなムール貝に、山のようなピラフを詰め込んでいく必要があるのです。
僕がミディエ・ドルマ屋さんであればいいのですが、多国籍料理店ゆえ、ミディエ・ドルマだけに時間をとられるわけにも行きません。そこで考えたのが、
こういったパエリアのようなスタイル。本場のミディエ・ドルマと同じような味付けで米とムール貝を一緒に炊き込んでいます。おススメはスプーンではなく、貝殻でピラフをすくって食べるスタイル。お好みでレモンを絞って、ムール貝と一緒に食べればぐっとエキゾチックに。
最後に、第1位。オランダで食べた塩漬けニシン「ハーリング」。実際にオランダで食べたのがこれで、
提供するのはこちら。
見た目は限りなく実物とイコールです。勿論、お店でお出しするハーリングも美味しいですし、美味しいからこそ提供させていただくのですが、正直に言うと、僕がアムステルダムで食べたハーリングはこの美味しさをはるかに凌ぎます。
築地に朝届いた魚をその日に捌いてその日に提供するお店の魚が美味しいように、このハーリングにも同様のことが言えます。美味しいハーリングスタンドは生のニシンを塩漬けにして一日寝かして、翌日に提供します。このタイミングこそが旨味を最大限に引き出すポイント。そして、ニシンの旬は初夏で、この時期もっとも脂がのります。僕がアムステルダムで食べたのも解禁したての5月。なので、僕が食べたハーリングはハーリングの中でも抜群のものを食べたのだと思います。
そうとは言っても、このハーリングの魅力を最大限に引きだすために色々と試行錯誤しました。付け合わせの玉ねぎの切り方、相性のいいピクルス、レモンを絞った方がいいのかどうか、オリーブオイルはどうだろうか、など、このシンプルな料理にも工夫の余地はあります。J×Jを通して、ハーリングの美味しさを伝えていきたいのです。
以上4品がこれからJ×Jで提供する「2017年嵐を起こすメニュー」です。「嵐を起こす」と嵐の皆さま及び不特定多数の視聴者の前で言い放ちましたが、放送から一ヶ月経った今(2017年の12分の1が過ぎた中)、このメニューたちが嵐を起こす気配はありません(弱気)。
なので、これより「嵐を起こすメニュー」改め「2017年嵐を起こすのかメニュー」として(弱腰)、J×Jにて提供してまいります。皆様のご来店、心よりお待ち申し上げます。
【その他のお知らせ】
2017年度の採用活動を始めています。