Journey×Journeyと山本ジャーニーの冒険-独立・開業と「旅食」の航海日誌-

秋葉原の多国籍・無国籍のダイニングバー「Journey×Journey」。独立開業までの過程とオープン後の日々を綴る、山本ジャーニーの営業日報。

J×Jの冒険-2015年4月㉕「オープン1ヶ月」 

Journey×Journeyをオープンした2015年4月のことを書き始めたら、結果的に全25話の大長編になった(書き始めたのは去年の9月…)。本当はもっとテンポよく書き進めていきたいが、オープン時の構想や、イメージしていたことがその後に繋がっていくわけで、ここを丁寧に書かない限り、この先の話と整合性を結べなくなる。

とは言え、あまりに細かく深く落とし込むとそれこそ回収できない事態になりそうなので、オープン時についてはこのあたりで切り上げ、2015年5月に話を進めていきたいと思う(書きたいことはもっとたくさんあるのだけども)。

その前に一度整理しておきたい(自分自身、一度整理しておかないとこの先を書くのがしんどくなってきそうだから)。

オープン当初の一ヶ月について、僕は大きく二つの観点で章を分けた。第1章はディナータイムについてで、第2章はランチタイムについて。

ディナーは終始、消極姿勢を貫いた。認知拡大のためのセールは打たず、ビラやチラシを用意することもなく、告知と宣伝は身内だけにとどめた。オープニングに乗じて、一気呵成にかっ飛ばしていきたい気持ちもあったけれど、加速すればするほど転倒するリスクが高まるのは明らかで、仮に転倒することなくリターンがあったとしても、それは目先の売上でしかない。重要視したいのは一回ぽっきりの利用ではなく、継続性のある価値を感じてもらうことであり、当時、いっぱいいっぱいだった自分にそれができるとは思えなかった。まずはとにかく自分たちと、お店のコンディションを整えることに集中した。4月中、おそらく3,4回ノーゲスの日があったと思うが気にせず、課題と問題点を粛々と潰していった。

こうした考え方や姿勢についてを僕は「商売不繁盛論」とネーミングしている。

www.journeyjourney-blog.com


勿論、準備万端でスタートから抜かりなくベストパフォーマンスを出せる自信があるのであれば、全くお呼びでない考え方になるけれど、状況によっては有効だと僕は思う。

身内ではなく一般客に初めてコースをご予約いただいた時のことを今でもよく思い出す。近くの大企業にお勤めの方で金曜日に6名で予約してくれた。張り詰める緊張感の中で僕なりにベストを尽くしたのだけど、今思えば、メインディッシュはああすればよかった、〆はこうするべきだったと反省点は多い。実際、その6名様が再訪してくれることはなく、覚悟できていたこととは言え、落胆は隠せなかった。

が、2年後の2017年4月、その時の幹事の方が貸切で予約を入れてくれた。これは本当に嬉しかったし、多いに安堵した。


一方、ランチは最初からできるだけ積極的にいこうと決めていた。

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が、結局攻めきれなかった自分を認めざるを得ない。随所に消極性が出て、本来できたはずのパフォーマンスより明らかに劣っていたと思う。これによりランチの安定化は当初考えていたイメージから大幅に遠のき、一年にわたり頭を悩まされることになった。


オープン当初からランチに通い続けてくれているゲストは全体の数の3%くらいじゃないかと思う。例えば300人に対し10人ほどで、その290人に対して申し訳なく、そして悔しく感じるとともに、今でもご来店いただけてる10名様に対し、心より感謝したい。


以上がJ×Jをオープンした最初の一ヶ月のアウトラインとなる。今後はそれが実際にどのように推移していったかを記しておきたい。もう少しテンポよく。


それと最後に、これから独立する方の中で居抜き店舗で営業を始められる方はトイレをよくチェックすることを勧めます。衛生状態や水がちゃんと流れるかも勿論そうなのだけど、「水がどれくらいの時間でタンクに溜まるか」を計っておくのも大切です。自店の場合、カフェからの居抜きだったので、もともとお酒を飲むゲストが少なく、ゆえに「トイレに人が並ぶ」という状況がなかったんだと思います。オープンしてから気付いたことですが、タンクに水が溜まるのが異常に遅く、このためにトイレが回転せず、レセプションでゲストを大混乱に陥れることになってしまいました。その後業者を呼んで直してもらい、貯水時間が30秒縮まったことに心から歓喜したのを今でもよく覚えてます。まあ、稀なケースだと思うけど、念のため、一応。