Journey×Journeyと山本ジャーニーの冒険-独立・開業と「旅食」の航海日誌-

秋葉原の多国籍・無国籍のダイニングバー「Journey×Journey」。独立開業までの過程とオープン後の日々を綴る、山本ジャーニーの営業日報。

J×Jの冒険-2015年4月⑭「表裏と強弱」vol1-

話が行ったり来たりしてしまって、ブログがややこしいことになってしまったのだけど、ここでいったん元の軌道に戻そうかと思います。

去年の9月から12月まで、「商売不繁盛論」と題して、オープン当初、自分がお店の運営をどのように考えていたのかを書き続けた。書き上げるのに約3ヶ月かかったけれど、「商売不繁盛論」は自分の基本姿勢なので、できるだけ丁寧に、そして慎重に、形にしておきたかった。

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この商売不繁盛論は独立に際して思い立ったものではなく、飲食経験の中でじっくりと培われてきた。本格的に飲食業に従事したのは26歳からだけど(と言っても大手チェーンの居酒屋だけど)、アルバイトを含めれば18歳から携わってきたし、その中で実に様々なお店で働くことができた。僕が数店舗での経験しかなかったとしたら、それなりのスペシャリティを磨くことはできたかもしれないけど、おそらく商売不繁盛論には至らなかったと思う。

2000年 千葉のビジネスホテル内にあった中華ダイニング
2003年 神保町の居酒屋、神宮のビアガーデン
2004年 東京駅構内の居酒屋
2009年 地元の大手居酒屋チェーン、千葉のエスニックレストラン
2010年 地元の大手居酒屋チェーン、地元のフレンチレストラン
2011年 地元の大手居酒屋チェーン、地元のお好み焼き屋さん
2012年 世界中で出会った世界中の飲食店(客として)
2014年 秋葉原のトラベラーズダイニング

それぞれのお店に学ぶところがあり、自分には不向きであると思うところがあり、と言うか、そもそも無理だろ、ということが多々あり(資金及び技術面で)、そんな自分が生き抜くためにはどうすればいいかを長い間、黙々と考え続けた。それぞれのそれぞれを抽出してパッチワークのように繋ぎ合わせてできたのが「商売不繁盛論」で、ここから先はその「商売不繁盛論」という理論や哲学の「実践」となる。


要は「売上・健康・従業員」の最適化のために最初から焦らずゆっくりいこう、という話なのだけど、そのゆっくりの中で何をするかが大事なわけで、一つはお店の弱点を潰していくこと、もう一つはお店の強みを活かせるような仕組みを作ること。身動きがとれるうちにこの2点に対して集中して取り組む。それもまた商売不繁盛論の本懐の一つだった。

 

オープンしてから3年の間で3~5割のお店が潰れるとかよく聞くけど(この数字の信憑性も疑わしい)、生き抜くお店は何らかの強みやキラーコンテンツを持っている。


まずは自分の弱点を理解し、逆に強みを見出す。そして、それを知ってもらう。そこさえクリアすれば、「骨格」は形成され、店としてある程度たくましくなる。逆に3年以内に骨格を形成できなければ潰れる。そう思っていた。


では「強み」とは何か。


例えば、多国籍料理店であること。


確かに差別化のポイントとして見れば、強みとも言える。けれど、同時に弱味でもある。多国籍料理であるからこそ選ばれる時もあるかもしれないけど、多国籍料理店であるがゆえに選ばれないこともある。おそらく自店の立地を考えれば、後者の方が多い。


物事に表裏があり、側面があるように、強みと弱みというのも常に抱き合わせであり、一体であると思う。強みを前面に押し出すことによって、同時発生する弱味のリスクを埋められない限り、強みはすなわち弱みになる。


そう考えれば「多国籍料理」だけでは100%の強みには成り得ない。ここに美味しさや接客が加わったとしても同様だと思う。そういうことじゃなくて、僕はもっと別の場所に自店の強みを据えていた。