ちょうど去年の今頃、ハンガリー、オーストリア、チェコ、ドイツを5泊6日で爆走しました。
2012年の世界一周以来のヨーロッパ、寒かったけれどオフシーズンということでホテルは安いし、観光客は少ないし、僕的には最高でした。
けれども美しい風景や荘厳な建造物より何より印象的だったのはチェコの「世界で一番美しい村」と称されるチェスキー・クルムロフでふらっと入った酒場です。ここでの時間が最も楽しくて、心から心打たれました。
最初は静かに飲んでいたのですが、そこにふらっと流しのバンド(と言うのかなんというのか)がやってきて、
徐々に場があったまってきます。
そして、狭い店内でお客さんが踊り始めます。
最終的には、このどんちゃん騒ぎ。
一年経った今、これを見るといろんな感情を通り越して、何だか悲しくなってしまいます。密閉、密集、密接の三冠達成、おまけにはち切れんばかりの大声と、今であればオールNG、全員、国賊扱いになるでしょう。
この一年で在り方は劇的に変わり、ニューノーマルと折り合いをつけることが正解で、それに寄り添っていくしかないのが現状。その過程の中で、物理的な距離とは別の領域を通して(デリバリーやECなど)、新しい発見や感謝を見出せたのは事実であり、それはとても嬉しいことではあったのだけど、でもやっぱり、興奮とか感動というのは往々にして、密なるものから生まれてくるのではないかと思ってしまいます。
距離を取れ、
声を潜めよ、
動きを止めよ、
と言われ続けた一年、それはまだしばらく続くだろうし、酒場の店主としては非常に堪えることではあるけれど、だからこそより耳を澄ませていきたい。ニューノーマルに隠れて脈打つ「密」の大切さが枯れないように、粛々と働く。
俺ははやくあの密な酒場で、また密なビールが飲みたいよ。恥ずかしくて踊れなかったけど、今度は思いきって踊ってみようと思うよ。酔って、踊って、伸びきったディスタンス、縮めようじゃないか。