Journey×Journeyと山本ジャーニーの冒険-独立・開業と「旅食」の航海日誌-

秋葉原の多国籍・無国籍のダイニングバー「Journey×Journey」。独立開業までの過程とオープン後の日々を綴る、山本ジャーニーの営業日報。

TOKYO都台東区アキバ系路地裏経済論①

10月1日より消費税が10%となる。ニュースやネット記事で見かける世論調査を眺めながら思うのはこれがどう影響を及ぼしていくことになるのか結局よくわからないな、ということ。あまり気にしていないような人もいるし、過剰反応を示す方もいる。けれど、2014年の時のような駆け込み需要はなさそうで、それは日本が増税に対して賢く冷静になったのか、あるいは感覚的にただ単純に鈍くなったのか、それも判然としない。僕個人がそんなこと知る由もない。駆け込みがないということは増税後に反動的な冷え込みもないだろう、という希望的な観測もできる。仮に反動があったとしても、迫る東京オリンピックに向けて劇的な落ち込みはまぶされたまま、なんとなく推移していくようにも思える。

僕は経済のことはさっぱりわからないけれど、オリンピックを一年後に控え、メディアをはじめ各業界がこぞってこれを打ち出しているわりにはポジティブな景況感はあまり感じない。正直に言って「こんなもんかー」という肩透かしの感が強い。実際に帝国データバンクが発表している景気動向調査は「国内景気は8か月連続で悪化」とし、日経平均も今年一年大きく上下することなく20,000〜22,000で推移している。安定していると言えば安定しているのかもしれないけど、これだけオリンピックで沸き立ち、街はインバウンドで溢れ、オフィスビルとマンションとホテルがラッシュで建設され続けているのにも関わらず、経済的な盛り上がりは欠けているようにも見える、そして実際的な数字は実際的に特にもたらされていない(勿論、ダイレクトな恩恵を受けているところも多々あるが)。

 

前回の東京オリンピックは1964年。終戦からわずか19年しか経っていないのだ。東京大空襲を受けて焼け野原になった街に次々と近代的なビルが建ち並び、スタイリッシュな高速道路が立体的に首都を張り巡らし、空を突き刺すような真っ赤なタワーが聳え、見たこともない外国人と文化とコミュニケーションが完全なるオフラインで行き交う。ほとんど全てが既視感のない未体験領域だったはずで、そう考えればその時の東京の、国全体の高揚感たるやすさまじいものがあったのではないかと思う。そして、その熱狂を携えたまま高度経済成長はより熱を帯びて加速していくことになる。

 

何から何まで新鮮であったろう1964年と、ほとんど全てが既視感の洗練と更新である2019年ではやはり関心も消費活動も経済動向も同じにならないのは当然だ。というより、スポーツというのは本質的に時代や情勢を超越したものであり、文化や言語を凌駕したものであるから、尊く、夢があり、とりわけオリンピックはそうしたものの集合であり、だらからこそ世界一の祭典なのだ。本来的にはそれだけでいい。スポーツを楽しもう、というシンプル。だがそのまわりにホテルが建つから、そのシンプルは別のシンプルを伴う(東京都の試算では「東京2020大会開催に伴う経済波及効果」は全国で32兆円にのぼるとしている)。


長々と書いてきたけれど、話を戻すとその中での「増税」なのだ。

 

今回も「延期」について検討されたのだろうけど、この機を逃したらいつ上げられるんだ、という話になる。僕がそれを決定する人だったとしたら、多分、何が何でもこのタイミングで施行すると思う。飲食店の僕としてはほんとに憂鬱なことだけども、まあ仕方ない、もう仕方ない。

 

まあ仕方なく、もう仕方ないという状況の中であれこれ考えたことを「TOKYO都台東区台東アキバ系路地裏経済論」と題して、つらつらと綴っていこうと思う。繰り返すが僕は経済のことはさっぱりわからない。信号待ちの時にスマートニュースの経済欄を流し読みするくらいだ。路地裏の飲食店でビールを飲みながら日本経済をよくわからないまま憂えているに過ぎない。

だから、路地裏経済論。