Journey×Journeyと山本ジャーニーの冒険-独立・開業と「旅食」の航海日誌-

秋葉原の多国籍・無国籍のダイニングバー「Journey×Journey」。独立開業までの過程とオープン後の日々を綴る、山本ジャーニーの営業日報。

30代の終わりに、初めて空港の外に徒歩で出てみることにした。

1月の3連休を使って、故郷である山口に墓参りに行く予定を立てていた。そして、そのまま休暇を兼ねて、山口から福岡、福岡から沖縄と旅行し、沖縄から東京に戻る計画だったが、まさにピンポイントで沖縄と山口が感染急拡大に見舞われ、むざむざ渦中に飛び込むのもいかがかと旅行そのものを諦めることとした。

と言っても、せっかく休みだしなということで、適当なところにふらっと行ってみようかと考え直した。一人旅で、誰とも会わないのであれば、それこそどこでもよかったのだけれど、あれこれ考えているうちに「日帰りでも楽しめそうなところ」という条件を加えることにした。せっかく旅行に行くのだから泊まりでゆっくりしたい、と思うのが当然だし、僕も常々そう考えている。交通費だって勿体ない。けれど、立ち止まって思うに、「日帰り」と「一泊」では検討しなければならない項目の数が劇的に変わることになる。勿論、一泊する場合、「どこに泊まるか」が旅行全体の重要事項となり、それを中心に時間配分やルートを構築していくことになる。このように、ある意味では一泊することによって「制限」が増えるわけだけど、片や、「一人旅で日帰り」であれば、前もって決めなければならいことは正直、ほとんどない。他の誰かの嗜好に合わせることもなく、調整も妥協も仕事の心配もパッキングの必要もなく、ただ手ぶらで空港に行けばいい。

行先は香川に決めた。香川のうどんを食べてみたいというのと、その日、日帰りの往復チケットが取れるのが香川だった。

朝5時半に起きて、羽田に向かい、7時半の飛行機に乗った。午前8時40分、香川の高松空港に到着。

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旅行者はここで、高松市内に向かうか、琴平か、丸亀かを問われることになるのだけど、僕としては急ぐ理由はないし、どこに向かったっていいわけだから、飛行機の到着時間に合わせて用意されているルートやレールに乗っかる必要もなく、どのバスに乗るべきかの見当をつけることができなかった。考えてみれば、世界一周時含め、全てのフライトにおいて、空港からの移動はあらかじめ用意されている何かしらの交通手段をほぼ無意識に使用し続けてきたわけで、そこから逸脱したことはかつて一度もないことに気づかされる。せっかくだから歩いてみるか、ということで、僕は初めて徒歩で空港の外に出てみることにした。

自分はもう39歳で(このブログを書いている今は40歳になった)、テンションの抑揚はよかれあしかれ大分鈍くなってしまったような気がするけども、それでも初めてのことを試みるのは爽快だった。道程、心躍るような何かがあるわけではない。けれど、単純に、普段であれば家で寝ている時間に自分は香川にいて、空港と市街を車両が往来するだけのために作られた道を歩いているのはとても心地よかった。

しばらく歩くと、うどん屋さんが見えてきた。店舗面積も駐車場もとにかく広い、団体の旅行客及びファミリー利用向けのお店で、通常であればまず入らないようなお店だが、僕はとにかくうどんを食べにきたわけだし、とにかくお腹が空いていたのでまずこのお店に入ることにした。午前9時45分、店内には誰もいない。

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お店の推しは鍋焼きうどんのようだったが、香川に詳しい友人から、複数店舗まわりたいなら「かけ」の「小」を注文すること、というアドバイスをもらっていたので、その助言に極力沿った。「天婦羅は我慢すること」とも言われていたが、それについては堪えきれずに海老天を別途注文したが、正解だった。開店前に入れていただいたおかげで、揚げたての海老天にありつくことができた。

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ただ、揚げたての海老天よりも何より単純にうどんが美味い。店構えからして、はなまるや丸亀とさして変わらないだろうと推し量っていたが、その邪推はあっさり覆された。普通に超うまい。さすが本場、と結論づけてもいいかもしれないが、このお店のこのうどんがこれだけ美味しいのであれば、事前に目星をつけていた評価の高い店は一体どれだけ美味しいのだろうと想像と期待を好きなだけ飛躍させてもいい。けれども、「なんかちょっと違うかも」と思った。多分、このお店のうどんがこれだけ美味しいのは、「空港からここまで歩いてきたから」ということが少なからず由来している。そして、ごく自然に、お腹が減っていたからだ。このお店に関する情報が事前にあったからではなく、むしろ、何も情報がないまま、ただ、たまたま、そこにあったからであり、お腹が減っていれば、輪をかけてそもそも全てが美味い。

だとすれば、自分が今から行こうとしている、もともと目星をつけていたお店は本当に美味しいのだろうか、とごく自然に疑わしい。自分の知らない誰かが「美味しい」と言った、そのうどんは本当に美味しいのだろうか。




 

秋葉原路地裏酔いどれ経済論2021④(10月~12月)

10月からに関しては⑭通常営業の準備⑮通常営業をまわす、という単純な2点に終始した。少し予想外だったのは夏場の感染状況から、どういうわけか劇的に改善し、それに伴い、時短や酒類提供の制限もあっというまに解除されたこと。もう少し段階を踏むだろうと想定していたけれど、個人的には、もはや日常化した非日常が急速に日常化した感覚だった。少なくともランチはずっと営業していたのにも関わらず、これなのだから全面的に休業していたお店にとっては相当振れ幅が大きかったのではないかと思う。

もう少し段階があったらまた違う展開もありえたなとは思うけれど、全面解除となれば面舵いっぱいして全てのリソースを日常(通常営業)に注ぐことになる。実際にそうした動いたのだけど、ジャッジが難しかったのは2号店の営業をどうするか、ということ。いずみとオミがいれば、俺とオミが本店、いずみが2号店としてディナーを両店通常営業することもできたけれど、そうなると今度は自分も現場に集中しなければいけなくなる。それぐらい忙しければ勿論それが一番だけども、客層が近隣事業所の会社員がメインの自店の客足が解除されたからと言って、劇的に回復するだろうかと疑問だった。

いずみが12月末で退職することは決まっていたので、またすぐに休業してしまうかもしれない2号店を無理に開けるよりも本店に集中し、また、自分はある程度自由に動けるような余地を作り、その時間を使ってかねてから考えていた、⑯2号店のプチリニューアルを11月のうちにコミットしたほうがいい。そして、もし12月に感染がぶり返すようであれば本店だけにして2号店は諦め、もしそうでないなら、2号店は少人数貸切のみ対応することに決めた(⑰2号店の少人数貸切の推奨)。結果的には幸いなことに本店も2号店も例年通りとはいかないものの、自分の想定をはるかに上回るご予約をいただくことができた。でもこれはあくまで結果であって、10月後半の全面解除時点ではむしろこうなることを想像することは難しかった。

2号店を希望する予約を多くいただけたことが嬉しい誤算だった。少人数での貸切や「個室」のリクエストは想像以上に多かった。だからこそ嬉しい誤算であると同時につらい読み違えでもあった。閑散期である1月、2月は2号店は諦めてもいいと思っていたが、ここまで埋まるのであれば、いくら閑散期と言えど、その流れを自ら断ち切るのは勿体ない。それにせっかくリニューアルしたと言うのに人手不足を理由にクローズしたままであるのは勿体ない。悩ましいところだけども、少し予定よりも早く、スタッフを募集して、体制を整え、年が明けたあとも最低限、予約の問い合わせがあったときは両店開けられるようにしたほうがいいのではないかと考えた。なので、12月中に⑱採用活動も始めた。


年の瀬に始めても応募は来ないだろうと思っていたが、それなりに反応はあった。が、結局、採用には至らなかった。やはり、新年、はじめの喫緊の課題は採用だと息巻いていたところに劇的な感染再拡大。おまけに懐かしきマンボーまでチラつかされる始末で、2022年もまた振り回される一年となりそうで辟易するが、ろくに営業できなかった2021年でさえ、さまよえる蒼い弾丸のごとくさすらったわけだから、2022年もまっすぐ、さまよいたい。

B'z的に言えばこうなるし、

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ジュラシックパークのマルコム博士的に言えば、こうなる。

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生命は道を見つける。

秋葉原路地裏酔いどれ経済論2021③(7月~9月)

それまでは時短や酒類提供禁止を要請されたとしても、やりたいこと、やらなきゃいけないことがたくさんあって、暇することはなかったのだけど、宣言の相次ぐ延長の中で、いよいよやることなくなったな…と感じたタイミングがあった。デリバリーやECに取り組むことによって商品化したメニューもそれなりにあるし、通常に戻ったとしても推せるのだから、暇なうちに新メニューを既存のメニューに加えることにした。

でもそうこうしてるうちに、既存のメニューも変えたい衝動に駆られた。でも過去に何回かリニューアルの経験もある自分はリニューアルがどれだけ大変かは身に染みている。いざ変えるとなるとたとえ小幅であってもかなりしんどい作業になる。膨大な時間がとられることになる。でも、この先、それができる時間があるだろうか。またとないチャンスなのではないだろうか、と考え、意を決しました。

というわけで、⑪グランドメニューのリニューアル。そして、マイナーチェンジではなく、原型とどめないくらいに大幅に変更することにした。A.基本的に事前予約とコースを主体としていたこと、そして、B.スペースがないこと、C.単品が充実すればするほどスタッフへの引き継ぎが難しくなる、という事情があって、単品に関してはブレーキをかけていたけれど、まずそもそもAの前提が崩れる、Bは2号店裏の改装と本店2階のスペースを得たことで改善できる、Cに関してはコロナ禍において前々からやりたいことはある程度できたので、自分が現場中心になることは問題ない。であれば、とことんやってやろうじゃないかということで、それまで50品程度だったメニューを120品くらいまでに広げました。これが本当に途方もない作業だった。

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でも大変だった甲斐あって、相応の手応えも感じています。宣言解除後、すぐに忘年会シーズンに入ったので結局コース主体だったけれど、ここからは単品・アラカルトも増えてくると思うので、うまくバランスを取りながら満足度を高めていきたい。

そして夏場に取り組んでいたもう一つの大きなことは箱根で何か事業を起こせないかと計画したこと(⑫箱根事業)。内装担当である早川から「箱根にいい物件があるんです」と声をかけられ、7月に一度見に行ったところから、プライベートも含めて立て続けに3回行った。可能性は十分あると感じたけれど、資金やヒトの問題で結局決めきれなかった。けれど、線が全く途絶えたわけではないので、今後も箱根には注目しながらチャンスを伺いたいとは思っている。

もう一つは自分たちなりのSDGsに取り組んだこと。もともとは自分自身が今年、ここぞとばかりに健康診断など病院に行く機会が多かったことと、時短のみならず酒類提供も禁止されたことに端を発している。この機に「せっかくだからお酒を抜いてみよう」ところから自分たちにとってのSDGsの考察を始めた。食や健康はSDGsの概念の中の一部に過ぎないし、自分たちにできることはミクロなことだけども、だからこそイチ飲食店ができるSDGsとは何かを探り、それを「世界一周SDGsコース」として表現した。

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このコースもまだまださっぱり認知されていないけれど、曖昧な形ではなく一度きちんと体系化できたのは良かったと思ってるし、この取り組みを通して、栄養弁当やインジェラなど新しく定着したものがあることや、何より自分自身の健康への意識に変化があったのが成果。2022年もできるだけ毎日10㎞歩けるように頑張りたい。

 

 

 

 

秋葉原路地裏酔いどれ経済論2021②(4月~6月)

2020年の春、コロナが始まってすぐにEC構築に取り掛かった。ECは元々取り組んでみたいと思っていた分野だったので、コロナによる強制的な暇はある意味では好機だった。とは言え、商品がないと売ろうにも売れないし、商品があっとしても許可や免許の問題が絡んでくる。そこでまずは販売許可を整えた上で、J×Jのパン職人であるゆかさんのパンを商材とすることした。これに加え、いずみが考案した燻製ジャムと掛け合わせることにより、今の東京ロマンティックベーカリーが出来上がった。

tokyoromanticbakery.com

けれど、パンに関して言うと、ゆかさんが基本的にシフト内で焼いていることと、設備的な問題から生産量はどうしても限られてしまっている。スタッフが通常の飲食店勤務をしながら、自分のネットショップを持つというのは有意義な試みであることは間違いないし、今後もこの動きを他のスタッフに横展開していきたいとは思っているけれど、拡販を目指していくのであれば、それとは別の商材が必要だった。あれこれ勘案したけれど、⑦オリジナルの激辛調味料を作るのが最も妥当であると結論を出した。激辛調味料であれば在庫スペースも取らないし、保存性もある程度担保されるし、オリジナリティも出しやすい。そのようにして開発したのが『世界一周した弱激辛ジャム』だった。

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この動画は2020年11月のもので、去年よりもさらに前から取り組んでいたものだけど、まがりなりにも本格的に流通させていくのであれば自家製だと諸々問題が出てくるので、この激辛調味料に関してはOEM(外部委託)して、工場で作ってもらうこととした。その依頼を受けてくれるメーカーを探し、ECサイトを作り始めたのがちょうどこの頃だった。結局、全ての行程を経て、正式にオープンしたのは2021年の9月頃だった。

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オンラインだけでなく、オフラインでも売れるのは強みで、今のところ、実店舗での販売の方が多い。それはそれで嬉しいことだけども、やはりネットでの販売を構築することが本懐なのでここは今年の課題。

去年はこの弱激辛ジャムとはまた別にもう一つECサイトを立ち上げた。⑧『Spiceholic&Hungry apartment』というサイトで、

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スパイスを商材に、「ECの間借り」をイメージして制作した。コンセプトとしては面白いと思うのだけど、結局、運用が大変で、手つかずのままになってしまっているので、ここもどうしていくか今年考えなければならない。ちなみにこの一連の取り組みは小規模事業者持続化補助金コロナ特別型という制度を活用させていただいた。


4月~6月は⑨採用・教育にも取り組んでいた。合計3人のスタッフがジョインしてくれたけれども結局、一か月ほどしか続かず、コロナ禍における採用と教育の難しさを痛感した。けれど落ち着くかと思えたコロナはそれ以降も暴れまわり、もはや懐かしきマンボーと宣言が継続的に続いたことを考えれば、正直、何とも言えない部分もある。また、こうした状況だったからこそ、その後、⑩オミのジョインという奇蹟的とも言える採用につながっていったわけだから、何がどこで繋がるか、どう紡がれるかはやはりわからない。

 

 

秋葉原路地裏酔いどれ経済論2021①(1月~3月)

一年の多くが緊急事態宣言下にあり、営業時間も酒類の提供も制限され、多くの飲食店にとって、本当にどうにもどうしようもない一年だった、2021年。J×Jも全面的に要請に従い、ディナーはほぼほぼ休業、にも関わらず、僕にとって、J×Jにとって、2021年はかなり忙しい一年だった。休もう休もうと思いながら、結局、ひたすら働き続けたし、ブログの更新も、SNSの投稿もオープン以来、最も少ない一年だった。

さすがに気が早いけれど、きっと2022年もろくに振り返ることなく、あっという間に過ぎていくのだろうから、2021年がどんな一年だったかを記録として残しておこうと思う。


まず、2021年は新年早々、緊急事態宣言が発出されるところから始まった。のっけからこれか…、という暗澹たる気持ちがありがならも、営業自粛と縮小を余儀なくされる飲食店への補償がこのタイミングを機に手厚くなり、また店舗数に応じて対応いただけることとなり、とても安堵した。同時に、感染拡大防止と損益収支の観点からすれば休業するのが一番なのだろうと思う一方で、これに甘んじて、動きを止めてしまっては自分もお店もだらけてしまうような気がして、営業は継続することを決め、その上で自分たちに何ができるか、何をこの先に繋げられるかを模索することにした。

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まず初めに取り組んだのが①デリバリーの拡充。この時点ではまだゴーストレストランの一店舗しか展開していなかったけれど、自店のアカウントで3店舗、追加で出店した。それぞれ「激辛・旨辛」、「羊・ラム肉」、「オリジナルカオマンガイ」をコンセプトとし、ニッチなニーズをピンポイントですくえるように図った。激辛・旨辛に関してはそれなりに動いたけれど、他の2店に関してはさっぱりだった。けれど、カオマンガイに関してはその後、テレビ取材につながったので、何がどこでどうなるかわからない。また、ウーバーなど既存のプラットフォームは使わずに自店でデリバリーを構築できるよう、台東区の新ビジネスチャレンジ支援という助成金を活用させていただいた。


これに付随して、飲食店営業ができないのであれば、ウーバードライバーの待機所を作るのはどうか、という事業案も出た。「②ウーバーヲマーツ」という名前でビラを作ったり、実際にドライバーさんに案内したりもしたが結局、実現化には至らず。けれど、デリバリーの拡充やマーツ事業の構想があったからこそ、③2号店のバックヤード改装に着手することができた。包材などの在庫やデリバリー用の自転車やバッグを保管するためのスペースを作った。

 

こうした動きは飲食のマイナス分を補填するための展開であったが、メインである店内営業をどうするかに関しては、営業時間を拡大して新規顧客にアプローチするしかないと考えた。もともとは団体や貸切の利用を獲得することで、費用対と満足度をできるだけ最適化することが第一義だったけれど、その道が絶たれたのであれば、逆に営業時間を拡大して来店動機と利用シーンを広げるしかない、と(この頃は「昼飲み」が問題にもなっていたし、話題にもなっていた)。営業時間をどれだけ絞っても、どれだけ広げても家賃は変わらないし、20時までしか営業できないのであれば土日も開放しようとしたが、そうなると今度はバックオフィス業務など自分の仕事が進まない。それにスタッフが休憩できる場所もない。であれば…、と考えたのが、④本店の2階の新規契約とオフィス化だった。この内装工事を助成金と絡められないかと思索したけれど、感染防止のためでもなければ、「事業」でもないので断念。イニシャルもランニングもかかるし、リスクを負い続けることにもなるけれど、長い目で見れば投資すべき事案だと判断し、契約。今では2021年に取り組んだ物事の中で最も良かったことの一つだと感じている(しかし、営業時間に関しては結局、従来のままとなっており、今後どうするかも今のところ考えられていない)。

メニューに関して言えば、この頃から「激辛」に精力的に取り組んでいた(⑤激辛メニューの開発)。本来、既存の激辛にはないオリジナルの激辛メニューを打ち出すべく、「世界の料理×激辛」というコンセプトで「世界一周弱激辛コース」を推していきたいと考えていたが、営業時間が限られている中、コースの推奨もやはり厳しいので、単品メニューとして畏れ多くもラーメンもメニュー化することにした。まだまだ認知されていないけれど、透明な激辛「白虎」は今後も粘り強く推していきたいメニューの一つ。

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できれば「激辛」というピンポイントなワードを強くしたかったし、昨今の激辛ブームにのって、ここをフックにあわよくばメディアに露出して、時短の中でも売上を作れるようにしたかったが、その思惑とは別にスポットライトが当たったのは「ガーリック」だった。たまたまネットニュースのインタビューに応じたことをきっかけに、複数のニュース番組に取り上げていただき、その後、激辛はいったん退いて、⑥「ガーリック」と「ガリガリカオマンガイを積極的に打ち出すことにした。

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放送が立て続いたのは3月下旬だったけれど、その後しばらくして9月に今度はバラエティーで取り上げていただいた。

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結果的に2021年は最もテレビに出させていただいた一年となったが、ほとんど全て宣言下での取材だったので客数としての反響はそこまでではない。けれど、通常では到底出せないアクセスがあったので、SEO的にこれは大きな収穫だった(多分)。


 

 

いずみの冒険

2020年1月、お店をオープンして以来初めて、休暇でヨーロッパを旅行した。ドイツ、チェコハンガリーオーストリアを5泊6日で旅をして、とても充実したいい時間だったのだけど、帰国後、超重量級の想定外に立て続けに見舞われ、瞬く間にかなりシビアな状況に追い込まれた(少し前の2019年の12月もトラブル続きだったので、そのヨーロッパ旅行はまさに隙間を奇蹟的に縫った一週間だった、と言える)。

思いがけぬ窮地に立たされ、どうしたものかと思い悩み、とりあえず酒でも飲もう行きつけの居酒屋で不貞腐れていると、その場にたまたま居合わせたお店の常連さんが「飲食店への転職を考えている」ということを聞き、ダメ元で誘ってみることにした。二人ともかなり酔っぱらっていたので、何はともあれ、改めてちゃんと一回面接しよう、という話にその時は落ち着いたが、後日、改めて改めた面接もほとんどただ飲んでるだけのラフな感じとなった。が、このコがウチで働いてくれてたら、お店がパーッと明るく拓けるな…、と強く感じた。

一方、この頃ちょうど(2020年2月中旬)、日本でもコロナが少しずつ騒がれ始めていた。この時点で影響はまだ限定的だったが、J×Jはまさに直撃で、2月の貸切予約がほぼ全てキャンセルとなり、顔面蒼白したのを今でも鮮明に覚えている。けれど、僕にとってより深刻だったのはキャンセルよりも、もしあのコがウチで働きたいと言ってくれた場合、この状況できちんと彼女に給料が払えるかどうか、という不安だった。

いや、でも待て。そもそも、彼女がウチを見送ることだって十分ある。というかむしろ、そっちのほうが可能性高いでしょ?、他にも色々誘われてるみたいだし、選んでくれるかも、なんておこがましいわ…?、だよねだよね…、ですよねですよね…。

でもさ、もし彼女が働いてくれるってなったら、おまえ、どうすんの?


コロナって、空前絶後の前代未聞の未知との遭遇なわけだけど、腹括る覚悟あんの?もしかしたら、J×Jがコツコツ積み上げてきた全部、吹っ飛ばすぐらいの嵐になるかもしれないけど、ほんとに雇っちゃって大丈夫なの?いやでも、そのわけのわからないものにビビッてこの千載一遇のチャンスを自ら棒に振るのか?どうなのよ、どうするよ。



どうする?

 

という、ぐるぐるの中で、


「お疲れ様です!あれから色々考えた結果、略、ジャーニー×ジャーニーで働きたいと思い、略、努めます!」というLINEが届いた。この瞬間、ぐるぐるはビシっとした一本道となった。


どうするも、ああするこうするもないわな。GOする一択。

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という経緯を経て、2020年4月、いずみは入社しました。そして、一週間もしないうちに緊急事態宣言というSTOPがかかったわけですが、半ばヤケクソと泣きべそで、それを無視して突っ切ることにしたのです。

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入社したばかりだし、いきなり休みじゃあれだから、やれる範囲で営業してみようぜ、という意味合いでの見切り発車だったわけども、結果として、その見切り発車から約2年、結局そのまま動きを止めることなく、突っ切り切りました。

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国や東京都からの要請には沿ったけども、結局一度も休業することはなく働き続けてくれました。時短要請の営業補償とは別に雇用調整助成金や休業支援金というシステムものちにできわたわけだから、ランチも含めて全面的に休業するという選択肢もあったわけだけど、そうしなかった理由の主たる部分はいずみが占めたように思えます。チープな言葉になるけれど、いずみと働いていると、もっと働きたいという気持ちになる、もっと頑張りたいという気持ちになる(いずみからすればノーサンキューだったかもしれないが)。何がそうさせるか、と言うと、よりチープな表現になるけれど、ひとえに彼女が頑張り屋さんだから、ということに帰結するんじゃないかと。誰かの器用さや要領の良さに憧れを抱くことはあれど、人が人の胸を打つのは結局のところ、そうしたひたむきさ以外にそう他にない、と僕は思います。多分、時代も、社会も関係なく。

 

とは言え、別の側面からすれば、ある意味自分のわがままに付き合わせてしまったわけだから、それについては申し訳なく思う部分も少なからずあります。感染拡大防止という大義のもとに休業して、部屋でゴロゴロしながらNetflixを貪っていたらどれだけ楽で、どれだけ楽しかっただろうかと思います(今まさに僕はNetflixに夢中なので、まんざら皮肉でもない)。けれど、大変だろうと、リスクがあろうと、赤字が拡大しようと継続を継続したからこそ、見えてくる風景もある。僕にとってそれは「ちょっと、いいお店になったかも」という感触を得たことだった。


勿論、この手の話に終着はなく、どこまで行っても何かが足りなくて、埋めても埋めても埋まらないものだけど、この前、いずみが接客しているのを見て、「ちょっと、いいお店になったかも」と感じました。いずみの接客が良かったからとかそういう表面的な話ではないのだけど、その景色にいずみがいたからこそ感じることのできた実感的な感触だったと思います。日々頑張っていても、こういう感触はあまり得られるものではあない。

だからこそ、改めて御礼とお疲れ様を言いたい。コロナ禍というこの死線を一緒に働けて本当に良かった。しばらくはゆっくりしたいかもしれないけれど、頑張り屋さんだから新しいところでも頑張っちゃうことでしょう。だから、あまり頑張りすぎないようにしてほしいし、無理しないでね、と、多くの人と時代と社会は言うかもしれないが、それは多くの人と時代と社会が言ってくれるので、俺は別のことを言いたい。

 

健康には気をつけつつも(飲みすぎですよ)、そのひたむきさを以って、また誰かの胸を打つような仕事をしてほしい。この路地裏で、俺やオミや、まるやゆかさんや、ダイシ君の胸を打ったように。

 

 

 

 

社員、フリーター、アルバイト、短期、スポット、業務委託、単日間借り、まとまった期間のスペース貸し、全て幅広く募集します。

2021年もまもなく終わります。昨年の今頃は12月だというのにも関わらず、全然12月っぽくない暇な日々を過ごし、じわじわと増える感染者数にびくびくしながら、細々と営業していましたが、今年は一転、日常に戻ったとまではいかないものの、かなり忙しい毎日で、もうくたくたです。そのくたくた感がとても嬉しいです。

宣言の全面解除のあとすぐに12月を迎えられたのは自店にとってはありがたく、ウチは当面シビアだろうなと思っていたけれど、ちゃんと予約で埋まったので、それなりの手応えを感じることができたし、来年もこの調子で自分たちらしく頑張っていきたいと思います。

けれども、ここで大問題。頑張ろうにも人がいない。スタッフのいずみが抜けることは前々から決まっていたので、それは織り込み済み。1月、2月は閑散期なので採用はせず、2号店はクローズしたまま、じっとしておこうと考えていたけれど、想定していた以上に12月の勢いがすごく、できることならこの流れを断ち切ることなく、繋げていきたい。2号店も開けたい。けれど、人がいない。2店舗あるのに社員は1人、パートさん2人じゃ営業しようがない…。というわけで、少し計画を前倒しにして、J×Jはこのタイミングで積極採用に踏み切ることにしました。

社員、フリーター、アルバイト、スポット、短期、業務委託、単日間借り、まとまった期間のスペース貸し、全て幅広く募集します。もし興味を持っていただける方がおりましたら、080‐4096‐5577(担当山本)までお電話いただくか、また下記HPよりお問い合わせいただけますと幸いです。何卒、何卒、よろしくお願いします!

journeyxjourney.world

 

 

 

12月の営業についてのお知らせ

2021年、色々ありましたが、あっというまに12月です。はやいですねー。

どうなることかと思ったコロナもとりあえずは落ち着いてくれていて、今また新たな脅威がごにょごにょと蠢いておりますが、飲食店にとって12月は大一番なので、どうにか頑張らせていただきたいものです。

実際どう営業していくか色々考えましたが、下記のとおりにしたいと思います。

基本的に本店は通常営業です。ランチは平日のみ、11時45分~14時半で、ディナーは18時~23時までとなります。土曜日はディナーのみの営業となりますが、今月に関しては12日と19日の日曜日は18時から23時まで営業いたします(5日と26日はお休みです)。例年よりも少人数での貸切を承っており(本店は10名様以上、2号店は5名様以上)、ちょいちょいご予約いただいておりますので、ご来店の際は事前にご連絡いただけますと幸いです。

12月のおススメメニューはずばり「鴨飯」です!要予約メニューではありますが、この機会に是非かぶりついてくださいませ☆

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フルサイズは3,800円ですが、ハーフや4分の1カットもできます!

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鶏肉とは違う弾力や野性味をお楽しみいただければと!

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2号店に関しては通常営業はせず、5名様以上での貸切予約が入ったときのみ、営業いたします。先週リニューアルしたので、通常営業したいのはやまやまなのですが、スタッフ不足につき、引き続き上記のような営業となります。少人数で仲間内だけでわいわいしたい方や、2号店は喫煙可能店舗となっておりますので喫煙者の方にはおススメですね!

なお、本店の2階も友人や知人、常連のお客様にはレンタルスペースとして一部開放しております。

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飲食店ではなく、あくまでレンタルスペースとしてのご利用になりますが、クラフトビールのタップ、プロジェクターとスクリーン、雀卓など様々なオプションをご用意しておりますので、シーンに応じて様々な活用ができるかと存じます。お気軽にご相談、お問い合わせくださいませ。簡単な鍋パとかもできます!

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今後の予約状況にもよりますが、ランチ及びお弁当の営業は12月28日まで、ディナー営業は30日までの予定で考えております。また25日はお店の忘年会兼クリスマスイベント兼、スタッフいずみのお疲れ様会です。

コロナや予約状況によって、変則的な一か月になりそうですが、一年の最後をビシッと締めくくれたらいいなと思っております。何卒よろしくお願いします!

 

 

12月25日はスパイシークリスマス2021②

前回のブログの続きです。

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というわけで、12月25日はクリスマスイベントを兼ね、忘年会を兼ね、弱激辛のプロモーションも兼ね、兼ねに兼ねてのイベントになるわけですが、一番の趣旨はスタッフのいずみのお疲れ様会であるということです。去年の4月、緊急事態宣言とともにJ×Jに入社したいずみが年末でクランクアップとなります。

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今回はイベントについてのブログなので、いずみのことはまた別のブログで触れたいと思いますが、いずみの特徴の一つに「辛さに強いこと」が挙げられます。僕自身、辛いものは好きですし、それなりに強いのですが、いずみは桁違いです。

去年、飲食店のグループ利用や営業時間やお酒を飲むことそのものが封じられていく中で、「おひとり様、短時間、食事メイン」というシチュエーションの上で、どういうメニューを推していくかを考えるにあたり、思い立ったのが「世界の料理×激辛」でした。そこに彼女の異次元の激辛耐性も相まって、いずみとともに激辛料理の調査を本格的に始めることにしました。これが去年の夏頃ですね。

www.youtube.comそして、その過程で生まれたのが「弱激辛」という概念です。実際、色々と食べ歩いたり、取り寄せたりする中で「激辛と謳いながら全然物足りないもの」と「辛すぎて全く旨味を見い出せないもの」のどちらかに触れることがほとんどでした(大部分は前者)。だからこそ、激辛の少し手前である「弱激辛」、健康で文化的な最低限度の激辛がJ×Jにとってのテーマとなりました。

一方、そうした激辛活動の中で最もセンセーショナルだったのが神保町にある石黒商店さんの蟹味噌ラーメン『鬼神』です。

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いやはや辛かったですね…。食べ終えたあと、目まいがしたくらいです。けれど美味しかった。勿論、ラーメンのプロであり、激辛のプロである職人が作った激辛ラーメンなので、これを目指すとは言えないのですが(それに辛すぎる)、最も印象的だったのがこの一杯であり、僕がイメージする弱激辛はここにありました(と言っても辛すぎるんだけど)。

ところがこの鬼神、さらに『風神』という一段階上があり、その先には『雷神』という激辛業界のエベレストが聳え立っているのです。鬼神でギリギリだった僕からすれば、雷神なんて『イカゲーム』くらい絶望的なのですが、いずみは鬼神戦後、程なくして、風神を完食し、雷神への挑戦権を手に入れました(風神を食べないと雷神は注文できない)。さすがに雷神は…と躊躇していましたが、結局、このエベレストに登ることを決意したのです。

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結果は惨敗でした。もしかするともしかするかも、だなんて、僕もちらっと思いましたが、甘かったです。

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さすがエベレストだけあって、JTV史上ぶっちぎりの再生回数とエンゲージメントですが、コメントも荒れております。彼女へのバッシングはありませんが、付き添いだった僕が一番、誹謗中傷されていますww


というわけで、雷神の前に全く歯が立たなかったいずみですが、J×Jクランクアップの前にもう一度、これに挑むことを決めました。何が彼女を駆り立てるのかわかりませんが、「そこに山があるから」的な境地なのだと思います。決戦は2021年12月25日。イベントの前に雷神に再挑戦します。そんなこんなで、12月25日はスパイシークリスマス。


一番の趣旨はいずみのお疲れ様会なのですが、勝負の行方によってはこうなってるかもしれません。

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一回目の雷神戦、直後。

ご武運を。メリースパイシークリスマス。

12月25日はスパイシークリスマス2021①

飲食店への営業制限が全面解除されて早一か月。どうなるかなと思っていたけれど、コロナはすっかり息を潜め、もはや話題にものぼらないような感さえあります。ヨーロッパや諸外国では依然荒れていることを考えると、なんでなんだろうなと感じるけども、まあ僕がどう考えたところでどうにもならないので、リバウンドの可能性も少し頭に入れながら、毎日の営業を頑張るのみであります。

客足が戻った店もあれば、まだ日常には程遠いお店も色々あるかと思いますが、J×Jに関して言えば、何とも微妙なところです。予想よりもいい部分もあるし、想像よりも鈍い部分もあって、結果、何とも言えないっていうのが率直な感想です。僕的には月内はともかく、来月の忘年会の行方は気になります。勿論、例年通りにはならないだろうけども、果たしてどれぐらい予約がはいるのか、また新規のゲストはどれぐらい来てくれるのか。来年をどうしていくかの指標です、12月は。

忘年会と言えば、お店の忘年会も開催したいと思っています。ちゃんとしたイベントは久しぶりになるわけですが、今年はあえて12月25日の土曜日に開きます。多分、結果的にちょうどいい感じになるんじゃないかと。忘年会ではありますが、25日に開催ということで、テーマは「スパイシークリスマス」。2年目に同じ名前でイベントしたことがあるので、久しぶりのリバイバルですね。

とは言え、J×Jの「スパイシー」に懸ける想いは当時とは比べものになりません。なんと言っても、自分たちのオリジナル商品を作ってるくらいですからね。

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オリジナルのラーメンのコンセプトも「弱激辛」です。

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世界の唐辛子と世界の激辛料理を同時に楽しめる「世界一周弱激辛コース」というのもメニュー化しました。

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というわけで、「弱激辛」は2021年のJ×Jの大きなテーマだったわけですが、今年は立ち上げるだけで、育てることができなかったので、2022年も引き続き取り組んでいきたい項目の一つです。

とは言え、クリスマス開催で、かつ激辛(弱激辛)としてしまうと全くお客さん来なくなってしまうので、実際的にはピリ辛程度に抑えると思いますし、辛くないメニューも用意します。であれば、何故「スパイシークリスマス」なのか、という話になるのですが、それは年末でクランクアップとなるスタッフのいずみが同日、おそらくは日本で一番辛い食べ物「石黒商店の雷神」に挑戦するからです。

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