Journey×Journeyと山本ジャーニーの冒険-独立・開業と「旅食」の航海日誌-

秋葉原の多国籍・無国籍のダイニングバー「Journey×Journey」。独立開業までの過程とオープン後の日々を綴る、山本ジャーニーの営業日報。

小説『Journey×Journey』の冒険

2017年1月、「年内中に小説『Journey×Journey』を書ききる」ということを新年の抱負とした。

その理由と意気込みを1年半前、下記のように書いている。

www.journeyjourney-blog.com


「反証作業はできるだけ実利的でないほうがいい。かつ、店舗運営と直接的でないほうがいい。より地道で、よりクラフトでなければ、反証としての価値はない。そして、店舗の運営者でありながら、プレイヤーでもある今取り組むからこそ意味がある。万が一、出版されたとしても、さして利益は見込めないだろう。と言うか、実利はほぼないに等しい。でも、書く。ありったけのエネルギーを注いで、書く」

と書いたけれど、いやはや、本当に地道だった。そして、本当にありったけのエネルギーを注ぐことになった。目標としていた一年内にはおさまらなかったけれど、とにもかくにも書ききることができた。

一年半前の時点で、構成はもう出来上がっていて、

www.journeyjourney-blog.com

あとは頭の中にあるものをとにかく書き起こしていく作業だった。このブログの中にもあるように、タイのバンコクボリビアのアマゾン、オーストラリアの「12人の使徒」、エチオピアのアワサ、インドのプリーを舞台に5人の旅人がそれぞれ旅をする。

それぞれが独立した旅(物語)ではあるが、それぞれの旅はそれぞれに繋がっている。

旅人は旅において、他の旅人とすれ違うことなく旅をすることはできない。東に向かう旅人と西に向かう旅人と道ですれ違った時、それぞれの旅がその後どのように展開したのか、そうした群像を俯瞰して捉えた物語を書きたかった。

僕はこの小説を4月末までJ×Jで働いてくれていたスタッフにまず贈った。彼女は今月より世界一周の旅に出る(出た)。もともと世界一周したいと思ってJ×Jにジョインしてくれた彼女だったが、働いてくれていた2年間、ほとんど旅の話はせず、もっぱら仕事の話ばかりだった。だから、最後の最後の滑り込みで自分の旅の全てを詰めた小説を渡せたことにほっとしている。せめてもの罪滅ぼしであり、同時に、できるかぎりの激励でもある。

というわけで、ここで一区切りついたのだけど、小説『Journey×Journey』の冒険は終わったわけではなく、むしろ、ここから始まる。今のところ、読者は世界中でまだその元スタッフの一人しかいない。今後は生みの親として、この生まれたての赤ん坊をどう旅させるかを考えていかなければならない。

ひと昔前において、書き上げた「小説」の旅先(形にするための)というのは新人賞に応募するか、もしくは自費出版(あるいは共同出版)するか、しか選択肢はなかった。けれど、webが発達し、身近になった今、「形」に固執する必要はないようにも思える。一方で、パブリックなものとして何とか流通に乗せたいという気持ちもやはりある。

逆に言えば、「必ずこうしたい」という明確な意思も希望もないので、この小説の旅先と旅のスタイルは旅先で培っていく旅人のように自然に育んでいければいいなと思っている。きっと然るべき時に、然るべき形をこの冒険は纏うはずだ。