Journey×Journeyと山本ジャーニーの冒険-独立・開業と「旅食」の航海日誌-

秋葉原の多国籍・無国籍のダイニングバー「Journey×Journey」。独立開業までの過程とオープン後の日々を綴る、山本ジャーニーの営業日報。

J×Jの冒険-2015年4月⑮「表裏と強弱」vol2-

「物事に表裏があり、側面があるように、強みと弱みというのも常に抱き合わせであり、一体であると思う。強みを前面に押し出すことによって、同時発生する弱味のリスクを埋められない限り、強みはすなわち弱みになる」

前回の記事において、そう書いた。

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近隣にはない多国籍料理店であること、
主体者が世界一周の経験者であること、
その世界一周の中で食べた料理を再現・アレンジしていること、
「旅/旅行、世界/海外」をコンセプトとしていること、

こうした要件は自店を差別化せしめ、自店の座標を明確にしうるポイントではあると思う。近年の飲食業界全体の風潮がそうであるように、何か強烈なキラーコンテンツを引っ提げて臨むか、一点に特化した専門店として押し出すかが個人店が飽和から抜けるための有効な一手であることは最近の傾向からすれば間違いないだろう。

ただ、それを積極的に打ち出せば打ち出すほど、店はリスクを負うことになる。僕が多国籍料理店をやるということは多国籍料理に興味のない人からの選択を失うことになり、僕が旅や旅人だけをフォーカスするということは、その照準に重ならないゲストの来店を遠ざけることになる。

「とがる」というのはその分、形状が固定化されるということでもある。尖れば尖るほど、研ぎ澄まされていく斬れ味とともに柔軟性をスポイルすることにもなる。この点をどう考えるかは主体者の意向と判断に委ねられると思う。自分が望む在り方とアプローチで、自分が望むバランスをとるのが主体者の仕事だろう。シーソーの右と左に何をどこにどう置くか、絶妙なものを目指していくためには絶妙な配置が求められる。

最も懸念すべきリスクは軌道修正の余地を失うこと。尖らせていくことで、融通と応用がきかなることが怖い。僕はそういうことをそういうふうに考えるタイプだ。

だから、冒頭に上記した要件は必要以上に押し出さないことにした。それらは自店のアイデンティティではあるが、自店の「強み」は別のところにあると思っていた。正確に言えば、「より汎用性のある強み」が自店にはあると確信していた。

 

ずばり、お店の「間取り」。


これが一番の強みだと思っている。それ以外はゴルフで言えばアイアンや、パターのようなもので適宜、適所で活用すればよく、一打目でまず手に取るべきドライバーは僕の今までの経験やパーソナリティではなく、「お店の作りそのもの」だと思っていた。ドライバーで遠くへ飛ばし、アイアンで適切に距離をつめ、パターでホールに沈める。僕がJ×Jの間取り、レイアウトを上手に訴求することができれば、多国籍、世界一周、旅、世界といったワードもより強くゲストに届き、より確かにお店をアイデンティファイするはずだと想定していた。さすれば、最小のストロークでホールをまわり、次のラウンドに移ることができる。


では、どうすればその「強み」を最大化できるか。