Journey×Journeyと山本ジャーニーの冒険-独立・開業と「旅食」の航海日誌-

秋葉原の多国籍・無国籍のダイニングバー「Journey×Journey」。独立開業までの過程とオープン後の日々を綴る、山本ジャーニーの営業日報。

A→「C」→B→D→E「#王様のブランチに抗議します」

以下2記事の観点に基づき、

www.journeyjourney-blog.com

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①先回りできることは先回りし、


②そうすることで創出した時間で他のことに取り組み、


③あとでもフォローできること(多数派が取組み、主流になること)については予想される課題やストレスを測定、改善しながら追随


という、「C→A→B→Z→Z→D→E」のサイクルをいかに作れるかが、J×Jが生き残るための道であるように思える。昨日、『王様のブランチ』で都内有名店のテイクアウトが特集されていたが、いかなる努力とロジックを動員したとしても辿り着ける境地ではない。

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あまりにも美味しそうすぎて、あまりにも安すぎて、テイクアウトしたすぎて、逆に飲食業界全体にトドメを刺すためにTBSが放った刺客ではないだろうか、と思うほどだ。東京中の飲食店をまるごと巻き込んだ無理心中を図りたいのかと訝しく感じる(片っ端から全部注文したい。特に数寄屋バーグ弁当、税込1500円)。武力のスケールが違いすぎるこの合戦に一兵卒として身を投じるぐらいであれば、本当に満足してもらえるであろう一定の層に集中的にコミットし、あとは潜水して隠密行動に徹した方が賢明だと考える。


2月に端を発したコロナ禍はDのタームからEのタームへと進もうとしている。政府や東京都と出口とその先にある社会の在り方を模索しているように、お店もどのようにしてトンネルを抜けるかと、そして抜けた先にまずどの島を目指すかを明確にする必要がある。でも、もしかしたら「明確にしないこと」を明確に表明すべきなのかもしれない、ともちょっと思っている。今後の行動指針と計画はできるだけ明確にせずに、ふわふわとクラゲのように漂ってみてもいいのかもしれない。はやる気持ちを抑えて、前のめりにならず、極力ニュートラルに。

そもそも今は本当に「D→E」なのか?、というのが疑問だ。宣言解除後に来るであろう第2波や第3波への懸念ではなく、もっと長期的に捉えた視点が必要だと感じる。確かに飲食店としては宣言解除に伴う制限緩和は一つの区切りにはなるし、A→Eのシーズンを終えることにもなるだろう。でもその一方で、まだ巨大な「A」の中にいるのではないかとも思う。今、うっすらと輪郭が見えてきているのが次の巨大な「B」というステージで、社会全体で考えればきっとそうなのだろう。

社会生活の中で前線に立つ飲食店、ライブハウスや劇場、美容院などリアルビジネスは言うなれば海沿いの街で、この大きな津波はそのエリアを丸ごと飲み込んだわけだけど、津波はそれで引いたわけではなく、これからじわじわと内地に押し寄せていくだろうという見立てはけして過剰な悲観論ではないと考える。海岸線に立つ飲食店は内地に暮らす人々に訪れてもらって初めて経営が成り立つのであって、被害が内地に及べばマーケットそのものが消滅することになる。そうなれば店舗運営は「新しい生活様式」だとか「入場制限」だとかを遥かに凌駕したレベルで改めて逼迫することになる。

コロナ禍の初期の段階で被害を軽視していた事業体がその後、苦難と不安を余儀なくされたように、社会全体の中で「自分は大丈夫」と思っていた層に津波がどこまで到達するかは誰にもわからない。「飲食店や事業主はいいよね、まだ政府が補償してくれるうちに被害にあってさ」なんて言われる日が来る可能性だってゼロではないような気がする。おまけにこの津波は長い目で見れば、ほぼ同時に全世界を襲撃している。日本が今、食糧自給率を改善しなきゃと危機感を募らせているように、世界中の国々がそう考えている。桁違いの被害と損失を被り、惜しげもなくAmererica Firstを前面に打ち出すアメリカは今後どうするだろうか。アメリカの意向次第で輸出入の世界地図はいかようにも変容し、当然、それは日本経済にも連動し、直結する。飲食店運営の立場とすれば、今世界各国から輸入され、流通している食材や調味料の在庫と価格はどうなるのだろう?、ぐらいだけど、それぐらいの心配で済むことを祈ってる。

 

だから、5月末までの営業をどうしようか、とか、6月からどうしようかというのも当然考えなきゃいけないことなのだけど、それよりも間もなく来る巨大な「B」の前に、先回りして「C」にどれだけ取り組めるか、そういう視点を大切にしたい。先行きなんて全然わからないけど。


公務員はそれでも守られるかもしれないけど(羨ましい)、個人事業主/従業員、社長/会社員、フリーランス/フリーター、そういうあらゆる境いがなくなって、個々のサバイバルの幕が開け、みんなが等しくインディーズというのも過剰な悲観論ではなく、もうすでに始まってるのかもな、とうっすら思ったりもする。