7月の中旬からお弁当販売を始めた。
本来は8月のお盆明けからのスタートを考えていたが、諸々の状況により、予定よりもかなり前倒しで始めたことになる。予定が遅れるということは多々あっても、スタートが一か月も早まるなんていうことは本当に稀で、それだけ今のお店にとって重要でかつ切実な取り組みであったということを示している。
勢い余った付け焼刃の取り組みが失敗するのは往々にしてあることであり、実際、販売初日は全く売れなかった。そして、事業主は拡張のためにあれこれ手を打つのは往々にしてあることだが、その大半が失敗に終わることもまた往々にしてあることだ。少なくとも僕自身はそうだ。いろんなことを試みるけど、その多くは大体失敗に終わるか、もしくは期待値を大きく下回る。
けれど、そんな中、この本店での弁当販売は数少ない成功事例と言える。販売初日こそ売上は立たなかったけれど、徐々に認知は広まり、今では想像を超えた実績を作れている。
ただこれがこの先もずっと続くとも思っていない。競争はあくまで厳しい。
J×Jは普通のお弁当屋さんにできないことや埋めれないことをただひたすらに、ただひたむきにやっていくしかない。弁当は弁当であるがゆえに表現を狭まられることもあるけれど、弁当だからこそできるアソビの部分も多くある。その上で近隣会社員の昼食の選択肢の一つになりえれば、それで十分幸せだ。
「カプサロン」という商品がある。今後育てていきたいアイテムだ。オランダ発祥のメニューではあるがメインにトルコ風に味付けしたケバブチキンを用い、ソースはかつて植民地であったインドネシアのサンバルを用いる。そして「カプサロン」とは「床屋」という意味だ。なんのこっちゃ、というアイテムではあるけれど、このボーダレス感であったり、出鱈目感がウチっぽくていい、という緊張と自信が同時に走る。
とにかく、できるだけ自分たちにしかできないことをやっていきたい。
例えば、自分たちが作る弁当だってそうで、
例えば、カプサロンだってそうだ。
普段、タコライスを狙ってご購入いただけるゲストが「今日はじゃあ、カプサロンで」と注文する。
それでいい(それがありがたい)。
これがいい(これがありがたい)。
来週もJ×Jにしか作れない弁当を作る。