Journey×Journeyと山本ジャーニーの冒険-独立・開業と「旅食」の航海日誌-

秋葉原の多国籍・無国籍のダイニングバー「Journey×Journey」。独立開業までの過程とオープン後の日々を綴る、山本ジャーニーの営業日報。

J×Jの冒険-2015年5月前編「迷走」-

2号店、間借り3号店のオープン、そして2回目の『嵐ツボ』出演など、怒涛の半年間を過ごし、ようやくこのブログの主旨である独立物語とその後の営業日報に回帰。今後もイレギュラーな投稿は随所に出てくるとは思うけど、本筋は本筋で進めていきたい。

 

前回投稿は「2015年4月」で止まっている。つまり、J×Jをオープンさせた最初の月で終わっている。25記事にわたる一大巨編となったが、以前も書いたようにこの時に考えていたことをその後の営業に反映させていったので、最初の1年はこの25話において完結しているとも言える。
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J×Jの冒険-2015年4月㉕「オープン1か月」-

http://blog.hatena.ne.jp/journeyjourney/journeyjourney.hatenablog.com/edit?entry=8599973812282171331

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けれど、当然、思うように進んだ部分なんていうのはほんの一握りで、ほとんどがうまくいかないことばかりだ。ブログではそのうまくいかなかった部分を中心に取り上げていくことになる。

 

まず初めの誤算はランチの客数が想像していた以上にシビアであったこと。何せ人目のつかない裏路地にあるし、一般的なメニューを提供しているわけでもないので、いきなり結果がついてくるとは考えいなかったけれど、他に同じようなお店がないため認知は自然と広がっていくだろうと甘く算段していたのは否めない。特に男性客に関しては全く取り込めず、店内はほぼ女性ばかりだった。女性をターゲットに進めていくのであればそれはそれでよかったのかもしれないが、夜の貸切宴会にどうつなげていくかがポイントである以上、そのイメージは何とか打破していかなければならない。当時はテーブル・イス含め全面真っ白という内装だったので、その時点で敬遠する男性も少なくない。ただ、内装に関してはすぐにどうこうできるものでもない。そして、男性客が呼び込めないからと言って、早々にメニューをいじるのもリスキーだ。

 

とは言え、何も手を打たないというわけにはいかない。

 

そこで、既存のランチメニューのままで少し変化をつけて、様子を探ってみることにした。まず第一にレギュラーのカオマンガイが800円、日替わりが900円で提供していたがこれを試しに期間限定で800円の同一価格としてみた。今では日替わりの方が出数が多いのだが、当時はカオマンガイに編重していた。まずはカオマンガイを知ってもらいたかったので、それはそれでよかったのだけど、日替わりも認知されない限りカオマンガイ屋さんになってしまうし、余った日替わりの在庫の問題も出てくる。値段を合わせ、日替わりは男性が好みそうなメニューを中心に組み立てた。

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当時の日替わり。パエリアやタンドリーなどできるだけメジャーなものを。

次に試したのはボリュームだ。男性からすれば物足りなく感じている可能性は十分にある。カフェ仕様というイメージがつくのも恐れていたため、男性にはご飯の量を多めにしていたが、これも適正量なのか判然としなかった。日替わり800円の施策を終えるとともに、今度は大盛無料にしてニーズを引き出そうと試みた。結果的には結局、マチマチなものだった。値段を合わせれば当然日替わりに流れる数は多くなるし、大盛無料ににすれば大盛を頼む人も増える、けれど、そうした数値的な現象よりもそれにかこつけて「量どうした?」、「もっと食べられますか?」などを直接聞いてみるのが最も効果的に感じる。ただそうしたコミュニケーションをとる余裕は当時の僕らにはなかった。

 

結局、決定的な手応えも手掛かりもないままセールを終え、僕は店の前を通り過ぎていくサラリーマンの背中を悔しく追った。

 

【追記】

①日替わりについては翌月800円に価格変更 *2018年現在も同じ


②ボリュームについてはその後も迷走。適正量は人によってやはりマチマチなのだけど、結論、僕らの提供量は多かった。女性でも大盛頼まれる人が当時はちらほらいて、余計に混迷。尋常じゃないくらいの量を出していた時期もあります。無理をして食べてもらっていたことも多々あるかと存じます。その節は大変失礼しました。ごめんなさい…。

 

嵐ツボサンドイッチを召し上がっていただいた皆様への感謝とお正月の味への冒険

1月3日に放送されたフジテレビ「嵐ツボ」放送から早一か月以上経ちました。放送後、2号店「BOX」にたくさんの方にお越しいただき、またサンドイッチを楽しんでいただくことができ、大変嬉しく思っております。

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一か月経過し、大分落ち着いてきましたが、まだまだご予約のお客様はいらっしゃいますし、期間限定としながらも当面は引き続きご提供してまいります。なので、ここで改めてメニューを紹介させていただきます。

嵐さんに食べていただいたのは3つのサンドイッチです。2号店ではランチ、ディナー問わず、3種類の盛り合わせセット(下記写真、¥1,200)とともに、単品(各¥800)での提供もしております(なおサンドイッチは2号店のみでの取り扱いとなります。ご了承くださいませ)。

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単品ごとで言えば、まずメキシコの「トルタ・アホガーダ」。

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下半分がトマトスープに浸かった半身浴サンドになってます。松潤さんが番組内でちらっとおっしゃってましたが、甘めのトマトソースではなく、ほんのり辛く、ほんのり酸味のある現地の「サルサ」に近いトマトスープに仕上げてます。ゆえにパクチーとの相性がよく(メキシコ料理ではパクチーが多用される)、提供時にはパクチーをおつけするかどうかを事前にお伺いするようにしております。

番組内でも触れられたとおり、問題点は「食べづらさ」であり、こうした事情により放送直後はご提供するかどうかを迷っていたのですが(当時は2種盛り合わせだった)、「嵐さんが体験した食べづらさも同じように体験したい」というファンの方の声もあり、急ぎメニュー化した次第です。

なお、このトルタ・アホガーダについてはランチ時にテイクアウトメニューとしても販売しております。

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続いて、アメリカの「ジャイロサンド」です。ジャイロはギリシャの「ギロピタ」という料理に由来し、日本でもよく見かける「ケバブサンド」にも近いのですが、特徴の一つに挙げられるのはそのパンの形状。日本で流通しているのはポケット状のピタパンが主流であり、ジャイロに見合ったパンがなかなか見当たらず、頭を悩ませたのですが色々試作した結果、ジャイロに適したパンを見つけることができました。この生地がジャイロの最大のポイントであり、また、3種類の中で最もオーソドックスに人気たらしめてる理由ではないかと推察してます。

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最後にオランダの塩漬けニシン「ハーリング」を使ったサンドイッチです(下写真手前)。

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 「映え」が重要項目になる今の流れにおいて、いかんとも「映え」のないサンドイッチであります。もともと生(に近い)ニシンを食べる習慣がないので、他の2種と比べて好き嫌いの分かれるところではありますが、ハーリングに施されている塩味がおつまみに向いていることもあり、お酒を飲まれる方には好まれる傾向があるように思います。サンドイッチを召し上がっていただいたあとに、本店に移動して飲まれたお客様がいらっしゃったのですが、追加注文で単品のハーリングを頼まれることもありました。ハーリングファンとしては嬉しい限りです。

 

 サンドイッチについての改めての説明は以上になります。

 

ご来店いただいたお客様の中には他のご友人を連れられて、リピートしてくださる方もいらっしゃいます。本当にありがたいことです。また飲食店ゆえ、なかなかゆっくりお話しできず恐縮に思うことも多々あるのですが、こちらの状況にご配慮、お気遣いいただけてることにも心より御礼申し上げます。

 

「実際会ってみてどうでした?」というご質問が最も多いのですが、2回目で僕自身がある程度リラックスできていたということもあり、オーラや「カッコよさ」もさることながら、今回はそれと同様に「フランクさ」が強く印象に残りました。超多忙にもかかわらず、自然体で気さく、というのが率直な感想であり、改めて嬉しく思いました。

最後に、2号店の店内にはスタッフが書いた似顔絵を飾っています。順次描き進めてもらったので5人全員が揃うまでにお時間いただきましたが、先日完成。

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 そして、つい最近においては、

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 少し離れた端っこのほうに僕のイラストも位置させていただいております(誠に畏れながら)。


ハーリングがお正月の味になれるよう、微力ながら邁進してまいります。引き続き、よろしくお願い致します。

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第1位「ハーリング」への冒険

オランダという国に何を思い浮かべるだろうか。

チューリップ、風車、運河など美しいものを想像する人もいれば、「飾り窓」や大麻合法などダーティーなものをイメージする人も少なくない。この一般的なイメージは全てオランダという国に相違なく該当する。街並みは美しい、けれど、一歩内側に入るとアンダーグラウンドな世界が惜しげもなく広がっている。世界有数のエレガントなファンキータウンと言えるだろう。

けれど、それもオランダという国の表層でしかない。もう一段階踏み込むと僕たちはオランダについてほとんど何も知らないということに気づかされる。例えば、僕たちはオランダ人の国民性について、何かしらのイメージを持ち合わせているだろうか。シンボリックな建造物や観光資源もなく、有名人と言えばゴッホくらい(ちなみにクリス松村はオランダ生まれだ)、歴史の教科書に大々的に取り上げられることもなく、印象にしろバイアスにしろ、その性格的特徴は見えてこない。わりと取っ掛かりのない国だ。

世界的に見ると「オランダ人は倹約家」という見方が強い。オランダ人は英語で「ダッチ」という俗称で呼ばれることがあるが、「ダッチアカウント」(割り勘)や「ダッチワイフ」はこのオランダ人の倹約気質に由来される。先に歴史の教科書で大々的に取り上げられることはない、と書いたけれど、日本史においては「江戸時代の鎖国政策の中、中国とオランダだけは交易を許されていた」というのがオランダのハイライトであり、考えてみれば、なんでオランダだけ?、ということになるのだが、当時スペインやポルトガルが交易とともにキリスト教の布教に励む中、幕府はこれをよしとせず両国を始めキリスト教国家を排除。一方、オランダは「我々は商売一筋、他には絶対に何もしないから」と猛アタックし、日本はこの下手な口説き文句さながらのアピールに落とされ、長崎出島にて友人以上恋人未満の微妙な交際をスタートしたのだ。島原の乱の際には幕府に協力して、籠城中の日本人キリシタン(オランダ人からすればある意味同胞)に大砲までぶっ放すという歴史的ビジネスライクを全世界に公開、欧州諸国はこの拝金主義に「おいおい、マジか」とドン引いたそうです。


っていうことなんて知らないし、そんなイメージも全然ないんだよね、オランダ。


僕にとってはもはやただひたすらにニシンが美味しい国、オランダ。


チューリップに見惚れるもよし、飾り窓に興じるもよし、けれども、オランダを訪れるのであれば、是非ハーリングが解禁された直後をおススメしたい。以前は解禁日前にフライングでハーリングを売り出す業者も多かったみたいなのだけど、政府はこのフライングを2007年にきっちり法律で禁じております。際どいラインが色々と諸々と合法なのにもかかわらず、ハーリングの解禁をズルしたら厳罰に処す、というとことんよくわからない国なのであります。


エッセイ風に書く以上、結びに何らかのカタルシスを導きたいんだけど、ほんと取っ掛かりもつかみどころもないんだよね、オランダ。


まあ、人のこと言えないんだろうどけどね。

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今ひとつつかみどころのないオランダの、今ひとつ美味しさが伝わってこないハーリングを、今ひとつの反応の中、

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めげすによくやるよね。

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【嵐ツボ】第2位「ジャイロ」への冒険

「世界を一周しよう」と思い立った時、まずはじめにそのコースについて考えることになるのだが、「西からまわるか、東からまわるか」で大きく2極化される。傾向からすると西周りを選ぶ人の方が多い。まずはアジアでならしてから(あるいはフィリピンでの英語留学を経てから)、徐々にハードルを上げ、クライマックスに南米やアメリカを持ってくるパターンだ。

 

僕の場合、アジアはそれまでにも何度も行ったことがあったので、東周りを選んだ。そして、まず最初に訪れる国はニューヨークだと前々から決めていた。世界の政治・経済・文化の牽引役であるニューヨークを旅のスタートとしたかった。

 

きらきらしたものを想像していたけれど、そううまくはいかず、空港でのっけからぼったくりに遭うわ、タクシー運転手にはスラム街で乗り捨てられるわ、次につかまえたタクシー運転手には再びぼったくられるわ、で散々な滑り出しだった。おまけにこの日のマンハッタンは大雨でユースホステルに着いた頃にはずぶ濡れだった。「こんなんで本当に世界一周できるのか」と不安いっぱいの初日となった。

 

ふんだくられた分を少しでも取り戻すため、初日の晩御飯は抜きにして、翌朝、ホステルの近くでクリームチーズとハムを挟んだベーグルをテイクアウトした。ホステルのエントランスでベーグルを頬張りながら、コーヒーを飲んでいると、宿泊客が続々とチェックアウトしていく、そして、続々とチェックインしていく。寄せては返す波のようにひたすらに人が入れ替わっていく。まだ朝7時にも関わらず。

 

あまりの混雑っぷりにびっくりして、ピークが落ち着いた頃を見計らって、

「毎日こんな感じなの?」と聞いてみた。

するとエントランスのお姉さんは「毎日こんな感じよ」と答えた。

「毎日600人が世界のどこかからここを訪れて、毎日600人がここから世界のどこかに飛んでいくの」

 
「すごいね」

「Welcome to New York」とお姉さんは言った。

 
そのいかにもな言い回しに、僕は心が弾み、初日の失態を忘れて、ニューヨーク観光を多いに楽しんだ。2日目は特にトラブルに見舞われることなく、ホステルへと戻り、近くの食堂で初めての晩御飯を食べた。それが「ジャイロ」だった。

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「ジャイロ」は円盤状のピタパンにスパイスで味付けした肉を乗せ、レタス、玉ねぎ、トマトなどを野菜たっぷり重ねたものをくるんで食べるベンダーフード。中東のケバブサンドに似ているが、特徴としてはケバブに使われるピタの多くがポケットに具材を詰め込むスタイルに対して、ジャイロは具材を乗せてそのままくるむ。ジャイロの由来はギリシャの「ギロ」にあるとされ、では「ギロ」と「ケバブ」の違いは?、「ジャイロ」と「ギロ」の違いは?、ところで僕が食べたジャイロの生地はインドのナンの食感に近かったがこの関連性は?、と調べれば調べるほど混迷を極める。


ひっくるめて、ニューヨークらしい食べ物だな、と思う。


ユースホステルのチェックインカウンターがそうであったように、ニューヨークは人々の往来が無限に繰り返される街だ。人々の往来とともに、世界中の情報が届けられ、世界中の文化が運び込まれる。確立された内的なものに外的なものが入ってくる場合、排他的な反作用が起こりやすくなるが、ニューヨークにその傾向は見られない。果てしない新陳代謝の中で、その新陳代謝そのものがニューヨークをアイデンティファイしているように思える。「確立しない」ということで「確立している」、という逆説をニューヨークは体現する。ジャイロもまた、ニューヨークという新陳代謝が体現したハイブリッドの一つであるように思えた。


少なくとも、2011年の11月まではそう思えた。今はどうなっているだろう。


日本から日本的なものが消失してしまったら悲しいように、ニューヨークからニューヨーク的なもの、僕にとってそれはすなわち「何者も拒まない新陳代謝」なのだけど、それがなくなってしまったらやっぱり寂しいだろうな。この街に魅せられた一旅行者としては。

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ちなみに本場のジャイロもきっちり食べづらかったです。でも、そこが醍醐味でもあります。思いきってかぶりつこうじゃありませんか。Yes,we can.



【嵐ツボ】第3位「トルタ・アフォガーダ」への冒険

先日、メキシコ中部のハリスコ州で17歳の青年が殺害された。友人たちとバーでパーティーを楽しんでいたところに武装集団が青年を襲撃、15発もの銃弾を浴びせた。青年はメキシコ国内で有名なユーチューバーで、麻薬カクテルのボスを揶揄した動画を投稿していた。襲撃の原因はその動画にあるとされている。青年は即死した。

また、メキシコ本土の西海岸と並行するように細長くのびるバハ・カリフォルニア半島では橋から宙吊りにされた6人の遺体が発見された。これも麻薬カクテルがらみの事件とみられている。

といったように、メキシコではアウトレイジ全開の事件が多発している。それはそれで事実ではあるのだけど、かと言って、一般旅行者がそうした血生臭さを感じるシーンは少ないように思える。少なくとも僕自身はそのような危うさを体感することはなかった。メキシコは極めてピースな国だった。


僕はアメリカの西海岸サンディエゴから陸路でメキシコに入国し、国境の町ティファナに数日間滞在した。陸路での国境越えはそれまでも何度も経験しているが、サンディエゴ-ティファナ間ほど「むこうは別の国である」という当然のことを知らしめられる国境線は少ない。街ゆく人の出で立ちは変わり、英語はぴたりと通じなくなり、建ち並ぶビルや家の様相はがらっと変わる。とりわけ、飲食店が一変する。

当たり前のことと言えば当たり前なのだけど、国境線を超えると、そこはもうメキシコで、とにかくタコス屋さんばかりなのだ。タコス、タコス、そして、タコスだ。

けれども、タコスと同じくらいに「トルタ」と書かれる看板も多く見かけることになる。「トルタ」というのはメキシコでサンドイッチ全般のことを指すのだが、このトルタ屋さんも非常に多い。

トルタには実に様々な形状とスタイルがあり、中に挟む具材も多岐に渡る。安くて、美味しいのはタコスも同様だが、利便性という点ではトルタが勝る。移動の多いメキシコ旅行において腹持ちがよく、気軽に食べられるトルタは貴重だ。実際に、国境の街ティファナからバハ・カリフォルニア半島をバスで30時間かけて南下したのだけど、この間、食事はほぼ「トルタ」だった。

メキシコ滞在中、多くのトルタを食べたがその中でも最も印象的だったのが第3位に取り上げた「トルタ・アフォガーダ」。番組内でもご紹介したとおり、下半分をスープにつけた半身浴サンドであり、「食べやすさ」に関してはこのトルタは該当しない。が、美味しい。スープの染みたパンとサルサで和えられた具材のマッチングが絶妙なのだ。

トルタ・アフォガーダはメキシコ中部の街グアダラハラの郷土料理としても知られる。グアダラハラハリスコ州の州都で規模としては首都メキシコシティに次いで2番目に大きく、マリアッチ(メキシコ音楽を演奏する楽団)やテキーラの発祥の地としても有名だ。

西部の真珠と呼ばれるグアダラハラの街並みは美しく、歴史的な建造物も多い。街の中心に位置するソカロ(広場)には何をするでもなく、人々が集まり、家族連れもお年寄りもカップルもそれぞれが思い思いの時間を過ごしている。この国で先にあげたような凶悪な事件が起きているとは到底思えない。石畳の道に馬車が心地よい蹄の音を鳴らし、正装したマリアッチが陽気なメキシコ音楽を奏でている。


そんな溢れんばかりの異国情緒の真ん中でトマトスープが染みたトルタ・アフォガーダにナイフとフォークを入れる。蹄の音が響き、マリアッチが弾み、パンは真っ赤に染められ、僕はメキシコに魅入られていく。半身はアウトレイジを警戒してもいいのかもしれない、旅行者に油断は禁物だ。でもけしてそれだけではない、もう半身はメキシコという国の魅力にすっかり身を委ねてみてもいいのではないだろうか。

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まあ、大野さんには「別々で食べたい」と言われ、松本さんには「パスタで食べたい」と言われてしまったけれどww

 

【嵐ツボ】『2018年絶対に流行る日本ほぼ未上陸サンドイッチ』への冒険

僕は「Journey×Journey」という飲食店を秋葉原で運営している。2015年に1号店をオープンして、去年、こじんまりとした2号店を開き、その一か月後に間借りのカレー屋さんを始めた。3店とも半径100メートル内にある。

カレー屋さんを間借りさせていただいてる間に新しい一手を打ちたいとは考えているけれど、それ以上の多店舗展開は今のところ考えていない。新規出店はその「必要性」がある時に取り組むべきもので、必要性がないかぎり、新規にお店を出す必要はない。

今年は既存店舗の基盤固めを第一とした上で、何か別の新しいことにアプローチしていきたい。その中の一つが小説「Journey×Jounrey」。と、去年も同じ時期に同じことを言っている。

www.journeyjourney-blog.com

去年の6月、2号店の計画が急浮上したため、持てる全てのリソースを2号店に注ぐことになり、下半期は小説はおろか、ブログすら1行も書けなかった。


今年こそは、と思うのだけど、小説「Journey×Journey」は空いた時間に少しずつ進めるよりも、まとまった時間をとって一気に書き上げたほうがベターだと考え直した。今までの傾向から思うに、「少しずつ」では一生書き上げられないだろう。

 

文章を書くのが好きで、だからこそこのブログを立ち上げた。脱線も多いけれど、基本的にはJ×Jの「独立物語」であり、「営業日報」であるこのブログは自身の日記とするとともに、これから飲食店を開業しようと思う人にとっての参考資料になったら嬉しいな、というモチベーションも働いている。けれどもそうである以上、内容はビジネスライクになりがちで、一般的ではない。去年の7月で止まったままになってしまっているので、これはこれで再開しなければならないのに、正月早々にリスタートさせるのも気が引ける。

つまり、文章は書きたいけれど、小説「Jounrey×Jounrey」も通常ブログの再開もなんだか重たい、という状況にある。久しぶりに長距離を走るのであれば、その前にちゃんとストレッチしたい、そういう心地だ。

というわけで、ここ一か月ほど何らかの脱線(ストレッチ)を画策していた。そんな折、ひらめいたのが、「世界一周中に食べた“料理”にまつわる“小話”を書いてみよう」ということだった。職業柄、料理の説明やレシピの共有をする機会は多くあれど、その定型句にちょっとした物語性を付与してみよう、という試みだ。この切り口で、3皿くらい書いてみたい。

では、1165皿食べてきた中から、どの「料理」をピックアップしようかという話になるのだけど、それについては1月3日に放送された『嵐ツボ』で紹介したサンドイッチを題材にしてみようと思う。ランキングに入ったそれぞれのアイテムは制作チームの取材と編集によって、番組内で丁寧に紹介されているが、ここにストーリーやエトセトラを加えることによって、「料理そのもの」だけでは発しえない「立体的な膨らみ」をもたらせるかもしれない。

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まずは第3位だった「トルタ・アホガーダ」から。

*1月4日からJ×Jの2号店「Box round」で番組内でご紹介したサンドイッチの一部を販売しております。是非、お試しくださいませ☆

【2018年版】百姓「山本ジャーニー」のジャニーズ「嵐」への冒険

2017年12月某日。僕は疲れきっていた。

繁忙期である12月、初めての3店舗運営、新年を見越しての新しい仕事への準備、年度末の経理業務などが一手に押し寄せる12月ならではの疾走感の中で、キャパオーバーのラインをぎりぎりにさまよいながら、その朝、重たい体を起こし、普段着ない上着を羽織って、普段背負わないリュックの中にサロンを入れた。

湾岸スタジオまで」と運転手に言った。去年は局側が手配したタクシーが店まで迎えに来てくれたので自分の口から行先を告げることはなかった。「湾岸スタジオまで」。後にも先にももう2度と口にすることはないだろう。

間もなく始まる収録に意識を集中させる。同じ轍は踏まない。今回は2回目なのだ、緊張してただただそこに佇むことしかできなかった去年とは違うんだ。

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痛ましいほどの強張りと、苦々しいほどの硬直。結局、何らの手応えもなく、何らの爪痕も残せずまま、スタジオを後にしたあの日の記憶が蘇る。

www.journeyjourney-blog.com

去年の反省を活かし、事前にイメージトレーニングしようと何度か試みたが、結局まとまった時間が取れないまま当日の朝を迎えてしまった。湾岸スタジオまではまだ時間がある。集中して、イメージを膨らませよう。あらかじめパターンを想定し、自分なりの受け答えを用意して、リラックスすれば何か一つくらいは気の利いたことを言えるはずだ。嵐さんを前に、何か一つくらい気の利いたことを言えれば上出来だろう。

「あの、お客さん…」

意識は完全にシミュレーションの中のスタジオにいたが、運転手さんに声をかけられたことで車内に呼び戻された。

「はい…?」


運転手は寺尾聡に似ていた。渋い。

「あの、不躾なことをお聞きするようですが、お客さん、もしかして俳優さんですか?」

「い、いえ…」

「すいません、湾岸スタジオなんて年に一度行くかどうかなんで、つい…」

「そうですか…」

アキラはその風貌に似つかわず、どことなく弱気で、腰が低かった。まあいいや、と気を取り直して、脳内をスタジオに再シチュエートした。まずは立ち位置だ。去年は出だしからまず立ち位置を誤ったのがよくなかった。収録前にバミリ(人や物の配置を示す目印。業界用語)は事前に確認していたのにも関わらず、僕はそれを大幅に無視し、自ら出鼻を挫いた。あの時点ですでに自分を見失っていたのだ。

「じゃあ、いわゆる文化人さんか何かですか?」

 

意識が右から左へとウィンカーのように揺れる。ブンカジンサン?何だかサンフジンカみたいだ。ていうか、「文化人ですか?」っていう質問に対して「はい、文化人です」って答える文化人なんているのか?

「いや、違いますね…」

 

「あ、そ、そうですか。す、すいません、何度も変なこと聞いちゃって…」

 

アキラよ、あんた、さてはミーハーか。まあ、寺尾聡的な渋い紳士系ミーハーがいたとしてもおかしいことではない。そもそも俺が今、タクシーに乗って湾岸スタジオに向かっていること自体がおかしいのだ。車は月島から晴海方面へ左折し、意識はアキラからアラシへと右折した。

それと今年も「ジャーニー」と「ジャニ―」をかこつけて、何かいじってくれるかもしれない、去年はそれに対して、へつら笑いを浮かべることしかできなかった。今年はどうする?「ユー」とか差し込んでみるか?否、そんなことしたら…、否、そもそもそんな勇気が…。

 

「いやね、私も長いことこの仕事やってるんで…」

 

はい、わかりました。はい、100%諦めるよ、アキラ。こんな付け焼刃であれこれ考えたって、どうせ実際現場にいったら全部ぶっ飛ぶんだ。っていうか、アキラ、いきなりハンドル切ったね。さっきまでミーハー感滲み出してたのに「いやね、私も長いことこの仕事やってるんで…」って、いかにも渋いイントロダクションじゃないか。だが、申し訳ないんだけど、俺はアキラのキャラとペルソナの設定に時間を割くことはできないんだよ。

「なんとなくわかるんですよね。私はね、お客さんのこと見て只者じゃないなって思いましたよ」。

いや、只者だよ、筋金入りの只者だよ。俺の行先が「湾岸スタジオ」だったから、そう思っただけで、行先が「上野」だったら、「この人朝から飲むんだ」って断定しただろうよ。つーか、俺がタクシーの運転手で乗客に俺が乗ってきて、行き先が湾岸スタジオだったら、ADとかマネージャーだとかもっと一般的な洞察を一般的にすると思うよ。

 

「じゃあ、何かの有識者かな?」

「い、いや…」

 
有識者と言えば、有識者なのか俺は…、どうなんだ…。って、そんなこと律儀に考えてる場合じゃないんだ。一応、有識者だから呼ばれてるんだが、去年はガチガチに緊張しすぎて何もできなかったし、何も言えなかったんだよ。だから、今、この時間を使って集中したかったんだよ、アキラ。

 

「お客さんが入ってきたときに、普通の人にはない圧、のようなものを感じたんですよ」

 

そりゃ、体型の問題だろうよ。俺だって全国放送前に少しは痩せようと思ったんだ。でも12月はとにかく忙しくて、食事を気にしてる余裕もないんだよ。

 

「圧、と言ったら、語弊があるかもしれません。どういう言葉で表現すればいいんでしょう?、オーラっていうか」

じゃあ、はじめからオーラって言えよ!!こういう場合、どちらかと言うと「アツ」より「オーラ」の方がすっと出てくる言葉だろうよ!!なんでこの局面で俺が今さら自分の体型と体重のことに気を揉まにゃならんのだ。

僕はアキラに投降した。この戦、もはやどうにもなるまい。

「運転手さん、内容のことはあんまり言えないんですけどね…、云々、昔バックパッカーをやってまして…、云々、今は飲食店をやってるんですけど…、というわけで詳しいは詳しいかもしれませんが、素人です、なんか申し訳ないんですけど…」

 

と僕が現状を説明すると、アキラは遠くにうっすら見えるレインボーブリッジを見ながら、

「やっぱり」

と言った。

ルビーの指輪』を渋く歌い上げたあとの聡のような表情をアキラはしていた。

「…」


「…」


いやいやいやいや、ちょと待てちょと待て。「Aだと思ったら、Aだった」、この場合に用いられるのが「やっぱり」。「Aだと思ったら、Bだった」に「やっぱり」は使わないし、使えないから。アキラ、最初、「俳優さんですか?」からスタートしてるんだよ?そのあとの「文化人」も「有識者」もかなりファジーだからね、その澄ました「やっぱり」って何?何と何がどう「やっぱり」?

その「やっぱり」を言い放ったあとは「的中させて俺はもう満足」と言わんばかりに、アキラは沈黙した。僕としては今さら沈黙されても、思考の行き場がない。これ以上詮索するのは野暮だ、なんて思っているんだろうか。どうせならもっと色々聞いてほしかったが、アキラは番組に興味があるわけではなく、乗客の身の上(と、それを言い当てること)に関心があるだけかもしれない。寺尾聡的な渋い紳士系ミーハー、は誤解だったのかもしれない。


やがて、湾岸スタジオが視界に入り、僕の緊張感は急激に高まった。もはやいかなる予断も余談も許されない、僕は精神を研ぎ澄ました。集中、そして集中。


「あのお客さん、もし差し支えなければ放送日を…」



聞くんかい!!
沈黙破るんかい!!
ミーハーかい!!



「1月3日の16時15分、フジテレビの『嵐ツボ』です。もしよかったら是非…」


というわけで、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。


1月3日の16時15分、フジテレビの『嵐ツボ』も重ねてよろしくお願いします。



追伸:運転手さんへ

 

実はなかなかタクシーがつかまらず困ってました。 ありがとうございました。そして、おそらく運転手さんとお話しできたことで幾分、緊張が和らぎ、去年よりはリラックスして臨めたと思っております。重ねて御礼申し上げます。テレビの前でお会いできるのを楽しみにしております。

 

 

「やらなきゃならないことをやるだけさ」。

2号店「Box round」の壁は映画のチラシで埋め尽くしている。学生時代、映画研究部に所属していて、その時の部室(ボックス)に倣って、2号店の壁面も同じようにした。オープン当初は時間がなくて、映画のチラシを取り扱っている神保町の書店に見繕ってもらってまとめて購入。だから貼ってある映画の全部が好きな映画というわけではないし、一部、見たことのないものもある。

 

落ち着いてから改めて書店を訪れ、3時間くらいかけて約50枚を厳選した。その作業は2017年に行った全ての業務の中で最もエキサイティングで、最も楽しい仕事だったかもしれない。膨大な枚数の中から(おそらく万単位の在庫がある)、大好きだった映画を抜き取るのは「旧友との再会」に似ていた。「おまえ、あの時、ああだったよなー」なんていう昔話に花を咲かせてるみたいな心地になった。

奥の4名テーブルに側面に貼ってあるチラシの中で、最下段の横一列はとりわけ親交の深かった旧友たちだ。『スワロウテイル』、『ニューシネマパラダイス』、『あの頃ペニーレインと』など、青臭い少年だった自分にとっての憧れであり、拠り所でもあった。その中に『アイデン&ティティ』という映画がある。

アイデン&ティティ』はみうらじゅんの原作コミックを田口トモロヲが初めてメガホンをとり、宮藤官九郎が脚本を担当、主演は銀杏BOYSの峯田和伸が務めている。バンドブームに乗って、メジャーデビューを果たし、デビュー曲はヒット、売上もファンも増えたが、その一方で「自分のやりたい音楽」と乖離していくことに苦悩する。「本当のロックとは何か」と葛藤し、「本当のロックとは何か」を模索する、ストレートな青春映画と言える。

「やりたいことをやろうぜ」というスピリットが全編にわたって描かれていて、当時20代前半だった自分にとって、奮い立たせられる内容だったのだけど、それだけでは他の多くの青春映画同様の位置づけの中で収まっていたと思う。最下段の中央に貼られることはなかっただろう。

 

この映画の中で最もインパクトが強かったのは、ラストシーンのライブ会場で中島(峯田)が観客に放つ一言だ。ありがちな「やりたいことをやろうぜ」感全開でストーリーが進んでいく中、中島の最後の台詞は、

 

「やらなきゃならないことをやるだけさ。だからうまくいくんだよ」。

 

そして、ボブ・ディランの名曲『ライク・ア・ローリングストーン』ともにエンドロール、という流れ。この展開と転回に唸り、僕の中で今でも生き続ける映画となり、今でも生き続ける言葉として、刻まれている。

 

「やりたいことをやろう」なんて、言うまでもない当たり前のことのように思える。ここは日本であって、紛争地域ではない。ましてや今は2017年だ。農家に生まれれば農家になるしかない、という時代は150年前に文明開化とともに終わったのだ。やりたいことがあってもできないのは、あるいはやらないのは、「やりたいことよりもやらなきゃいけないことを優先させている」か「他の何かのせいにしているか」の2つしかない。

作中の「やらなきゃならないことをやるだけさ」にネガティブなニュアンスはない。「本当にやりたいこと」というのは段階を経て、自分にとって「やらなきゃいけないこと」として昇華されるはずで、その領域のことを指しているのだと解釈している。いわゆる一流と呼ばれる人たちは「やりたいことをやってる」という意識を飛び越えた場所で、自分がやらなければならない役割を果たそうと努めているのではないだろうか。イチローが「自分はやりたいことをやってるんです」という意識でプレイしてるとは到底思えない。アスリートだけでなく、芸人であれ、政治家であれ、一般会社員であれ、飲食店店主であれ。やらなきゃいけないことをやってる人は強い。母は強し、と言うけれど、本当にそうだと思う。

 2017年は「やらなきゃいけないこと」を整理して、整理した分、増えた一年だった。

かつての「やりたいこと」は少しずつ、「やらなきゃいけないこと」へと移ろい、

2018年は見渡す限り、やらなきゃいけないことだらけだ。でもそれでいい。その分、きっと新しい地平が見えるはず。自分の想像を超えた冒険が待ってるはず。

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 2017年の最終営業日のランチは茜が作った鶏肉とカブのインドカレーで、ディナーのコース料理の〆も茜が作った鶏肉とカブのインドカレーだった。J×Jがその一年で最後にお出しする料理が茜の一品になるとは思いもよらなかった。そして、茜が作るそのカレーは俺が作るカレーよりもずっと美味しい。来年も想像を超えていきたい。

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 一年後はどうなっているだろう、とわくわくできるのはハッピーなことだ。そんなハッピーをもたらしてくれるスタッフとゲストに心から感謝。

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 というわけで来年はやらなきゃならないことをバリバリやって、店としての地力をバリバリに固める一年にしたいと思っているのだけど、最後にもう一つ、個人的な目標を立てるとすればバリバリに「遊ぶ」こと。

 

世界一周で365連休をとったから、当面は休日返上で取り組んできたけど、あれから5年経ってそろそろペイしたかな、と。とにかくひたすら働いている。とりわけこの一年はとにかくひたすら働いた。やらなきゃいけないことだけやって、あとは胸張って遊ぼうと思う。来年はどうぞ一緒に遊んでください、よろしくお願い致します。

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Journey×Journey Box roundの冒険

Journey×Journey2号店、BOX roundについて改めて自己紹介。

前回投稿した内容と重複する部分もあるけれど、お店の概要を説明したいと思います。

お店の場所は本店から徒歩2分。秋葉原駅からの場合、ファミリーマートを背に海老専家さんを右折して来られる方がほとんどだと思いますが、

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その角を曲がらず、そのまま直進。そうすると左手にガソリンスタンドが見えてくるので、その十字路を右折。

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50メートルほど歩くと左手にBOXが見えます。

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詰めれば16名くらいは入れると思いますが、デフォルトでは12席の小さなお店です。お昼は店内営業をしながら、店頭でお弁当を販売(和のお弁当を作るのがけっこう楽しい)、

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夜は本店よりも少しカジュアルにバル仕立て。

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メニューは本店同様、多国籍料理のお店となりますが、できるだけわかりやすく、そしてコンパクトにまとめてます。コースは2時間飲み放題で4,000円。ドリンクは本店ほど種類はないけれど、定番はあらかた揃えてます。価格帯も本店よりも低めに設定し、生ビールが480円、ウーロンハイ・緑茶ハイ・紅茶ハイは350円です。言ってしまえば、普通の居酒屋と同じような感じです。普通の居酒屋と同じようにラフなお店にしたいのです。狭いお店ではあるけれど、その分、身内でワイワイするには適しているのではないかと考えてます。

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貸切は8名様から承ります。

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毎日ひたすら働いてるけど、早いとこ落ちつかせて俺が早く飲みたい。ご無沙汰してる友達集めて、俺が貸し切りたい。心おきなく飲みたい。ああ、心おきなく飲みたい。

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前回も書いたけれど、BOXというのは大学時代のサークルの部室の通称でもあります(当時映画研究部でした)。無限大にやりたい放題やってた頃、基地はボックスで、ボックスから始まり、ボックスに帰っていくという毎日でした。僕の青春はどっぷりあのボックスに詰まっているのです。学生のようにはいかないけれど、ちょっとでもああいう感じを出せればいいなと、2号店はあの頃のボックスに寄せて作った部分もあります。だから、新しいお店を作っているのにも関わらず、懐かしさや郷愁が込み上げてくるという逆説的なお店作りとなりました。新しいボックスで新しい何かが始まるのが今からとても楽しみです(ちなみに大学の閉鎖時間は22時だったと思うんだけど、BOXも22時閉店となります。ここが一番のネックなんだけど一身上の都合があってのことなので悪しからずご了承くださいませ)。

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そして、本店の近くにBOXが生まれることによって、通常営業とのバランスを考えなければならない負担が減ります。つまり、

①本店が貸切の場合においても、BOXにご案内することができる

②本店に団体客がいても、BOXにご案内することができる

③本店ではできなかったイベントなどが打てるようになる

④料理教室の開催やケータリングなど、できることが増える

といった具合に、導線もパフォーマンスの幅も広がることになります。


最後に肝心のスタッフですが、今回の新規出店に際して、新しく4人の仲間が増えることになります。僕は行ったり来たりしながらも基本的には本店におり、新しいスタッフがBOXを担います。一人一人紹介していきたいところですが、それはまた別の機会にするとして、来月11月4日(土)に遅ればせながらのオープニングパーティーを開くので、その時にスタッフ全員をご紹介できたらなと思っております。

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ーJ×J Festival Box roundー

日程:11月4日(土)
時間:17時~23時予定
会費:2ドリンク2000円+キャッシュオン制
*希望者には飲み放題チケットも用意する予定です。

本店、BOXともに開けて、スタッフも変わりばんこに飲みながら(僕はずっと飲んでる予定)、ラフな感じでゆるゆるできたらいいなと思っております。
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何卒よろしくお願い致します☆


あー、飲みたい!!f:id:journeyjourney:20171009211450j:plain

 

J×Jの2号店への冒険

「丸三年で一店舗目を軌道に乗せ、体制を整え、4年目に2店舗目を出店する」というのがオープン当初からの目標だった。そして、2店舗目を展開するのであれば同じ台東1丁目で出したいと前々から考えていた。今すぐには難しいけれど、将来的には役に立つだろうと思って、以前から物件に関する情報サイトには登録し、通知が来るたびに参考程度にチェックしていた。

ところが、希望する台東1丁目の物件情報は全く上がってこなかった。台東2丁目だとか、隣合わせの番地だとかの周辺の物件はたまにアップされることはあったし、少しでも可能性を感じる場所には行ってみることにしていたけれど、ピンと来る物件は一つもなかった。まあ、どのみち今は無理だし、とりあえずチェックだけして気長に待とう、そして本腰入れるようになったらWebだけでなく、実際に足を使って不動産屋にあたってみよう、

と思っていた矢先、

「台東1丁目 12坪 家賃24万」という物件情報がサイトに上がった。5月末のJBQが終わってちょっと一息ついた6月上旬のことだった。坪単価はけして高くない。立地も間取りも間口も、2号店として理想的だった。こんなドンピシャな物件が出てくるとは、と晴天の霹靂に胸が高鳴った。と同時に、この条件であれば中堅や大手が出てくるだろうと見越して、はじめから諦め気味でもあった。でも、とにかく内見だけはしておこうと思い、問い合わせした。内見後、思いのほか話はスピーディーに展開し、あれよあれよと事は進んでいった。早々に降ろされるだろうと思っていたレースは予想に反して、いいポジションを保持したまま中盤戦にさしかかっていった。3回までに3失点で済めば上出来、と思っていた投手が4回まで無失点に抑え、5回のマウンドに立とうとしている。そんな感じだ。

その過程で当初の提示金額である24万の家賃が途中で30万に跳ね上がった。「途中で金額を吊り上げるなんてちょっとありえないし、私も抗議したんですが…」と仲介業者は言った。僕自身はこれを受け、当然それなりの疑念や不信感を抱いたけれど、それでも魅力的な物件だという認識は変わることなく、この値上げで他の応募者がふるいにかけられるのであればかえって好都合だと、最後まで突っ走ってみることにした。

交渉が大詰めを迎え、今日が天王山という時分で、同じ「台東1丁目」の物件情報が出た。今まで全然出て来なかった台東1丁目の物件が短期間に立て続けに出たことに、そしてそれが交渉の大一番の局面だったことに困惑しながらも、とりあえず申し込むだけ申し込もうと半ば強引に滑り込んだ。

結局、当初本命だった物件には弾かれた(正確には9回裏の完投目前で自らマウンドを降りた)。

そして、滑り込んだ2つ目の物件を抑えることに成功した(ここに至るまでの過程がなかなかにドラマチックでスリリングだったのだけど、その物語はいつか別の機会に触れたいと思う)。

 

つまり、2号店の出店が確定した。

2017年9月1日に契約開始。

9月20日にプレオープン。

(もともとお弁当屋さんだったので、まずはお弁当販売から始めた)。


そして、10月2日にひっそりとグランドオープンした。


お店の名前は「Journey×Journey Box round」。本店との区別のために「ボックス」という愛称で定着したらいいなと思う。

 

お昼はお弁当が主体となるので、「ランチボックス」のイメージで「ボックス」というワードを抽出した。これにかこつけて、ディナータイムでは「ボックスメニュー」を提供している。ボックスメニューは各種料理を詰め合わせている。サラダボックスは世界のサラダの3種盛り合わせ、チキンボックスは世界のローストチキンの3種盛り合わせ、という案配で、世界の料理を少しづつ、幅広く楽しんでいただきたいと思っている。

また、僕の大学時代、所属したサークルの部室の愛称が「ボックス」だったことにも由来している。14席ほどの狭いお店ではあるけれど、友人や同僚など身内でワイワイするには本店よりも過ごしやすいのではないかと感じている。

 

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ボックスは本店から徒歩2分の場所にある。
(住所:東京都台東区台東1-33-4 山上ビル1F)


今、僕が行ったり来たりしているように、ゲストの皆様もシーンに応じて使い分けしたり、ハシゴしてくれたりしたらいいなと思う。そして、そういうふうにしてもらえるようにBOXを育てていくのがスタッフ一同の使命。


BOXは平素のご愛顧の賜物であり、これに厚く御礼申し上げるとともに、

秋葉原旅食ダイニングJourney×Journeyならびに、
Journey×Journey Box roundを、

今後ともどうぞよろしくお願い致します。