Journey×Journeyと山本ジャーニーの冒険-独立・開業と「旅食」の航海日誌-

秋葉原の多国籍・無国籍のダイニングバー「Journey×Journey」。独立開業までの過程とオープン後の日々を綴る、山本ジャーニーの営業日報。

第1位「ハーリング」への冒険

オランダという国に何を思い浮かべるだろうか。

チューリップ、風車、運河など美しいものを想像する人もいれば、「飾り窓」や大麻合法などダーティーなものをイメージする人も少なくない。この一般的なイメージは全てオランダという国に相違なく該当する。街並みは美しい、けれど、一歩内側に入るとアンダーグラウンドな世界が惜しげもなく広がっている。世界有数のエレガントなファンキータウンと言えるだろう。

けれど、それもオランダという国の表層でしかない。もう一段階踏み込むと僕たちはオランダについてほとんど何も知らないということに気づかされる。例えば、僕たちはオランダ人の国民性について、何かしらのイメージを持ち合わせているだろうか。シンボリックな建造物や観光資源もなく、有名人と言えばゴッホくらい(ちなみにクリス松村はオランダ生まれだ)、歴史の教科書に大々的に取り上げられることもなく、印象にしろバイアスにしろ、その性格的特徴は見えてこない。わりと取っ掛かりのない国だ。

世界的に見ると「オランダ人は倹約家」という見方が強い。オランダ人は英語で「ダッチ」という俗称で呼ばれることがあるが、「ダッチアカウント」(割り勘)や「ダッチワイフ」はこのオランダ人の倹約気質に由来される。先に歴史の教科書で大々的に取り上げられることはない、と書いたけれど、日本史においては「江戸時代の鎖国政策の中、中国とオランダだけは交易を許されていた」というのがオランダのハイライトであり、考えてみれば、なんでオランダだけ?、ということになるのだが、当時スペインやポルトガルが交易とともにキリスト教の布教に励む中、幕府はこれをよしとせず両国を始めキリスト教国家を排除。一方、オランダは「我々は商売一筋、他には絶対に何もしないから」と猛アタックし、日本はこの下手な口説き文句さながらのアピールに落とされ、長崎出島にて友人以上恋人未満の微妙な交際をスタートしたのだ。島原の乱の際には幕府に協力して、籠城中の日本人キリシタン(オランダ人からすればある意味同胞)に大砲までぶっ放すという歴史的ビジネスライクを全世界に公開、欧州諸国はこの拝金主義に「おいおい、マジか」とドン引いたそうです。


っていうことなんて知らないし、そんなイメージも全然ないんだよね、オランダ。


僕にとってはもはやただひたすらにニシンが美味しい国、オランダ。


チューリップに見惚れるもよし、飾り窓に興じるもよし、けれども、オランダを訪れるのであれば、是非ハーリングが解禁された直後をおススメしたい。以前は解禁日前にフライングでハーリングを売り出す業者も多かったみたいなのだけど、政府はこのフライングを2007年にきっちり法律で禁じております。際どいラインが色々と諸々と合法なのにもかかわらず、ハーリングの解禁をズルしたら厳罰に処す、というとことんよくわからない国なのであります。


エッセイ風に書く以上、結びに何らかのカタルシスを導きたいんだけど、ほんと取っ掛かりもつかみどころもないんだよね、オランダ。


まあ、人のこと言えないんだろうどけどね。

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今ひとつつかみどころのないオランダの、今ひとつ美味しさが伝わってこないハーリングを、今ひとつの反応の中、

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めげすによくやるよね。

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