Journey×Journeyと山本ジャーニーの冒険-独立・開業と「旅食」の航海日誌-

秋葉原の多国籍・無国籍のダイニングバー「Journey×Journey」。独立開業までの過程とオープン後の日々を綴る、山本ジャーニーの営業日報。

全滅まで③

前回に続き「採用」、広く言えば「人」の問題です。採用をどうするか、というより採用すべきなのかどうか、も色々と悩ましい、という話ではありますが、ここにも「そもそも」が立ちはだかります。前回のブログでも少し触れましたが、そもそも「応募があった20名のうち面接にまで至ったのは3名」なのです。面接まで至らなかった17名のうち、まず10名が「応募はしたけど応募しただけ(=それ以降は無反応)」、残りの7名のうち面接の日程は組んだけど面接に来ずが4名(そのうち連絡があったのは1名)、そして面接をしたのが3名、採用したのは2名、採用はしたけれど一度も出勤せずそのままフェイドアウトが1人、働いてくれたのが1人(のち、3か月後退職)。なかなかシビアな世界です。

勿論、ここにも様々な要因が絡んでいるので一概に何がどうとは言えません。今の世の中こんなの普通なのかもしれないし、僕ができるのはお店の中のことだけで、お店の外に関してできることはほとんどありません。けれども、この20名の方とのやりとりを通じて感じたのは「採用活動に取り組んでいるのではなく、何か別のものと戦ってるような感覚」でした。「面接をセッティングしたのに時間になっても来ず、そのままバックレ」が続くと、面接に対する期待は自ずと低下し(やっぱ、つらいんで…)、中途半端なモチベーションのまま、なんとなく気持ちが雑になっていくというのを自分で感じます。ので、まずは自分自身がこのあたりの無重力感を改めないな、と思います。

一方、自分のマインドセットと病める現代社会はともかく、現実的には今いる既存のスタッフと人数でまわさなくてはいけません。そこで初めて導入してみたのが「Timee(タイミー)」。

timee.co.jp

橋本環奈さんがCMしてます。「この時間だけ働きたい働き手」と「この時間だけ働いてほしい雇用主」をつなぐ、スキマバイトアプリ。自店の場合、昼のパートさんは保育園などの事情により突発的な欠勤があったり、ランチはある程度単純作業に落とし込めるので、その点においてタイミーは有効です。さらに言えば、タイミーはワーカーさんを直接、採用することを禁止していないので、もし双方お互い条件があったりすれば、そのまま採用につながる可能性もあります。場当り的な採用活動よりもタイミーの中から模索するほうがいいかもしれません。

あとは近隣店舗と提携して、人的補完を構築するのも有効な一手でした。人手不足のお店もあれば、逆に人が余っていたり、売上と人件費が見合わずシフトを作れていないというケースもあるので、店同士がつながってそうしたスキームを作ったり、予防線を張るというのも、これからの飲食業にとっては必要なことだと考えます。

あとは「業務委託」。「間借り」という言葉が今どれほど一般的なのか、僕は中の人間なのでわからないけども、「空いてるスペースと時間を貸して有効活用したいテナント」と「飲食業、飲食店を試しにやってみたい方」をつなぐための仕組みとして取り上げられますが(物件の転貸借は賃貸借契約上NGなことも多いので個々に確認は必要ですが)、業務委託として外部の方に自分たちでまわせない部分を部分的、一時的に担ってもらうのも、ケースによっては人手不足による損失の軽減にもつながるかもしれないし、飲食業の利益構造の改善にもなりうるかもしれい、と捉えています。

といった具合で、採用や「人」の問題がその折々において変遷するように、その解決策も形を変えていくし、新しいパターンも出てくるので、それを自店の状況に合わせて当てはめていくことが重要だと思うし、何よりも「人がいないならいないでフォーメーションAで、ダメならBで」という状況を作れるかどうかが、もしかしたら抜本的なのかもしれないな、と。

というわけで、人手不足の問題はずっと続いているわけですが、タイミー、他店舗との提携、業務委託など新しいやりくりでなんとか凌いできたというのが今です。そして、そうして築いてきたその身軽さゆえ、全滅でもまだ冷静でいられるという逆説。では今後はどうすべきか。今まさにそれを考えていて、そして答えは今まさに出ていません。