緊急事態宣言という長いトンネルを抜けると、そこは何故かニンニクであった。
どのようにしてここに至ったかを自分なりに推測するに、まず最初のきっかけとなったのはフリーライターのAさんからの電話だった。2月27日(土)、美味しいダルが食べたくなって近所のバングラディシュ料理に出掛けた際にその電話は鳴る。「お店のニンニクの使用量についてお聞きしたいのですが…」。ちょうどこれから食べる時だったので、あとでかけ直してもらうことにした。ニンニクの使用量?
元ネタはぐるなびの下記プレスリリース、
Aさんはこのプレスに注目して、実際はどうなのか?、と「海外ニンニクグルメ」を扱う多国籍料理店にヒアリングを行っているところだった。J×Jが何店舗だったのかはわからない。プレス内には例としてガーリックシュリンプやガパオが取り上げられ、両方ともJ×Jのディナーの通常メニューにあるのでこのあたりがよかったのかもしれない。けれどディナー営業はそもそもやっていないようなものだし、ランチも事業所立地なのでニンニクは控えめにしている。お役に立てず申し訳ございません、と電話を切ろうと思ったが、ふとデリバリーメニューではトッピングにフライドガーリックを頼まれることが多いことを思い出した。「でもトッピングにフライドガーリックは確かに多いですね」と返すと、好反応。Aさんの質問にそのまま答えていたらその後の展開はなかったが、ここで潮目が少し変わる。
「ヤマモトさん、ちなみにガパオライスはどうでしょうか?」と聞かれ、そもそもガパオのアイデンティティにニンニクの要素はないんじゃないかなと思ったが、おそらくプレスリリースの内容に則った調査がしたいのだろう、と推測した。「デリバリーでガパオはやってないんですけど、カオマンガイなら出してますし、お作りすることもできますよ」と返答し、3月2日に取材に来ていただけることになった。ガパオ同様、カオマンガイのアイデンティティにもニンニクはないが、実際に出しているものだし、まあいいだろうと捉えた。
元々、デリバリーのカオマンガイは他にいくつかメニューがあるうちの一つだったが、ちょうど同時期にカオマンガイだけを切り離し、ウーバー上で専門店を立ち上げる予定だった。他と差別化するためのあえて「創作&無国籍」とし、また「ボリューム」を訴求したボリュームカオマンガイとして出す予定だったが、この取材を受けて、もっとニンニクを前面に打ち出してみようと路線を少し変更し、「ガリガリカオマンガイ」とすることとした。
そして3月14日(日)、Aさんの記事がURBAN LIFE METROにて配信される。東京メトロが運営しているWebマガジンで『東京で「つながる」を見つける』をコンセプトとしている。
同日14日(日)、この記事がYahoo!ニュースに掲載される。
Yahoo!ニュースにも載るのかあ、すごいなーと思いながらも、集客にはつながらないだろうというのが正直な見立てだったし、実際、それ以降は緊急事態宣言明けの営業をどうするかと、2階及び2号店裏の工事のことでてんやわんやだった。そうした状況下で、3月18日(木)、日テレの「news every.」から電話がかかってきた。「すいません、先日、ネットでニンニクについての記事を拝見したのですが…」。ここからそれまでのてんやわんやが何でもないくらいのワイルドスピードでJ×Jのニンニクが加速していく。