というわけでのっけから出鼻を挫かれ、せっかくのGWも解消されたわけだけど、①解体の工程はクリアし、②現場調査へと進み、まっさらな状態(スケルトン)から厨房と客席を実際的にどう区画するかを決定した。
そして、③左官工事。
左官とは建築物の壁を塗る職人のことを指し、土やセメントなどを水で練ったものをコテで塗り、漆喰(しっくい)などで表面を美しく仕上げるのが主な仕事になる。けれど、同時にお店の基礎や土台となるレンガやブロックを積んだり、タイル張りをしたりなど「下地作り」をするのも広義に左官の仕事に含まれ、ここで言う③左官工事というのはまさに後者にあたる。お店を作っていく上での「基礎作り」だ。
この銀座の物件を取り組むにあたっては、各工程にそれぞれの職人さんを手配している。電気工事においては電気屋さんを呼び、水道工事においては水道屋さんを呼んでいるように、左官工事は左官屋さんに担ってもらう。ハヤカワはそれぞれの工事に立ち会いながらディレクションし、全体のスケジュールをチェックする「施工管理」が主な仕事になる。通常、各工務店や内装業者は自分たちのチームやネットワークを持っていて、ある程度気心の知れた者同士でお店作りに取り組むことになるが、ハヤカワ及びJ×Jにとっては今回が初案件となり、すでに出来上がっているチームというのはなく、この銀座の物件に合わせて初めて編成されたチームで挑むことになる。勿論、電気屋さんはハヤカワの元々の友人であったり、水道屋さんは前の職場からの知り合いだったりするのだけど、中には初対面となる業者さんもいた。左官屋さんはまさにその初めての業者だった。
何事においてもそうだけども、仕事のクオリティやスピード感は実際に一緒にやってみないとなかなかわからないものだ。そうした文脈において、ハヤカワはもともとそのあたりのことを心配していたが、左官屋さんに関しては不安が的中してしまった。詳しくは割愛するけれど、シンプルに言うなれば、左官屋さんの仕事はハヤカワのイメージ通りではなかった。結果、左官の仕事は業者さんを外し、ハヤカワが自ら対応することになった。これによって①の解体に続き、③の左官も当初の予定よりも大幅な遅れをとることになった。
このようにしてお店の基礎が出来上がる。ここの寸法を間違えると全ての計画が崩れてしまうので慎重にならなければならない。