群馬の施工が終わり、GWまでは自社案件はなく、人工の仕事に取り掛かることになるかなと思っていた矢先に、重量級の依頼が飛び込んできた。
「虎ノ門にあるお店(カジュアルフレンチの洋食屋)が立ち退きにあって、銀座に移転する。自分が対応できればいいが、ちょっと手が回らないのでハヤカワ、ここの施工やってみないか?」ということだった。
声をかけてくれたのはハヤカワの元の職場関係の方で、プランニングオフィスを経営している。元請け業者は別にいて、この方は下請けにあたり、そこから来た話なので自分たちはいわゆる「孫請け」となる。とはいえ、部分的に任されるのではなく、施工そのものはまるっと対応することになる。スケルトン(骨組みの状態)からの挑戦だ。
場所が銀座と近場であること、20坪くらいの大きさで、技術的にもそれほど難易度は高くない、現実的に十分対応できる、というのが先方の見立てだったし、ハヤカワの所感でもあった。ただし動かさなければならない金額が大きい。いわゆるキャッシュフローの問題で、最終的な入金があるまで、自分たちの資金だけで施工を続ける/完了させる体力があるかどうかが論点だった。
お金の流れとしては、
施工が完了する→クライアントへと明け渡す→クライアントが元請けに支払う→元請けが下請けに支払う→下請けが孫請け(僕ら)に支払う、という図式になる。前金、半金という形で先に施工に必要な金額が入ってくればよいけれど、それはケースバイケースであり、今回は前金は見込めない状況だった。
となると、孫請けである自分たちがそこから職人さんと手配したり、業者さんを呼んだ場合、彼らへの支払いサイトがどうなっているのか、あるいはどう調整できるかを事前に確認する必要がある。最終的な入金まで待ってもらえるか、月末締め翌月10日か25日か、末日か。もしくは即金、または前金が必要なのか。
今回の話を受けるかどうかの争点はその点だったが、結果的に「先出しはこのくらいの金額でおさまるだろう」とハヤカワは見当し、僕としても「それであればGO」ということになった。
想定通りに物事は進まない、という想定を飛び越え、ここから銀座との死闘が始まる。
死闘が始まる。