内見と現調に行ったのは2月の初旬。16時に到着後、すぐに取り掛かったが、2月ということもあって、すぐに日が落ちた。この時、まだ物件に電気が通っておらず、ちょうど同日に電気屋さんを呼んでもらっていたがまだ来ない。僕らは電気が通るまでの間、真っ暗闇の中、現調とヒアリングを進めた。
クライアント先でこういうのも不謹慎かもしれないが、この感じが楽しかった。自分がお店を開業する時に似た感覚で、まさに暗中模索。何もかも手探りの中で、どうすれば自分が実現したいイメージを形にできるか、形にしてもらえるか。はじめてだからこそ不安でもあり、はじめてだからこそ楽しみでもある。
そうこうしているうちに電気が通り、現調も終わり、次はテーブルに座って、詳細の確認を進めていく。大工工事、塗装、クロス、左官、電気・水道などの設備関連など項目は多岐にわたる。ひととおりのヒアリングを終えたあとは、こちらのターン。用意していた外装のプランを提案する。
反応は上々だった。
けれど予算は限られている。ただデザインを提示するだけでは有効ではない。あらかじめ共有いただいていた各項目ごとの見積もりから、「この部分はこれだけ減らせる」、「ここをこうすればもっと抑えられる」など一つずつ提案し、「その予算を外観にまわしませんか?」と筋を立てた。こうしたアプローチはJ×Jの一つの強みであると認識しいてる。内装業者と言ってもその意味合いは広く、上記のようにそれぞれの専門職があり、そうしたそれぞれの職人仕事を全体的に管理する立場を工務店や施工会社が担う。が、一口に工務店と言っても、デザイン・設計からワンストップで担当する会社もあれば、そうした部分は外注して管理と施工だけに徹する業者もある。内装部門のスタッフがハヤカワ1人しかいないというのはどうにも弱味ではあるが、ハヤカワ自身はデザイン・設計まで含めオールマイティーに知識があり、そして、それぞれに少なからずの経験がある。僕自身で言えば、そうした存在はとても頼もしい。
施工を地元の工務店に依頼するか、あるいはJ×Jかの判断はこの日には決まらない。結果どうなるかは勿論わからないけれど、まずは現調が無事に終わったことと、施工可能な物件であること、そして、自分たちが提案したいことを伝えることができたことに安堵した。
高速に続く大きな国道沿いに焼肉バイキングのお店を見かけた。ファミリーが車に乗りつけてくるようなお店だ。普段は自店ばかりで、こうして遠出することもそうそうないし、こういうお店にも久しく行ってない。
「焼肉でも食べちゃいます??」
「いいっすね」
何でもないようなことが特別だったりする。久しぶりの焼肉バイキングはとても美味しかった。