Journey×Journeyと山本ジャーニーの冒険-独立・開業と「旅食」の航海日誌-

秋葉原の多国籍・無国籍のダイニングバー「Journey×Journey」。独立開業までの過程とオープン後の日々を綴る、山本ジャーニーの営業日報。

そもそも発酵食品は何故、身体にいいとされているのか。

毎日インジェラを食べ続けながら、インジェラと合わせるおかずを変えていく中で、ふと思いました。スーパーフードと称されるテフ粉を発酵させたインジェラを、発酵食品と食べ合わせたら、より身体にとって有効なのではないか、と。

そして同時に思いました、「そもそも発酵食品は何故、身体にいいとされているのか」と。なんとなく身体によくて、なんとなく美味しい。それが僕の中での発酵でしたが、その「なんとなく」をこの機会にちょっと掘り下げてみようと考えてみたのです。

そもそも「発酵」とは、

人間にとって有効な微生物が働き、物質を分解させる現象、

と書いているものもあれば、

生物が栄養素として取り込んだ有機物を嫌気的に(酸素を使わずに)代謝してエネルギーを得る過程、

という表現もあれば、

微生物(細菌・酵母・カビ)が人間に有益な有機物を生成する過程全般、

と定義しているものもあります。はっきり言って、いまひとつ要領を得ないのだけど、簡単に言えば、細菌・酵母・カビが人間にとっていい感じのものをいい感じに作ってくれる現象、であり、逆に人間にとって悪い感じなものを悪い感じに作る現象が「腐敗」、となります。

ではここでいう「いい感じ」とは具体的にどういうことを指すのか、という話になり、「発酵」を推しているサイトからテイのいい文言を引っ張ってくればそれで事足りるのだけど、あえて逆に「腐敗」からアプローチしてみようと思います。

腐敗がもたらす「悪い感じ」とは何か。調べてみると「腐敗のプロセスは食品の成分や細菌の種類によって異なり、メカニズムについてはっきりしてない部分も多い。栄養価が損なわれているだけでなく、未知の毒性の物質や病原菌生物によって汚染され、腸内環境を脅かす食中毒原因菌となる可能性もある」と、このようなことが書いてあります。

これが腐敗。

そして、極端な話、加え、僕の個人的な解釈としてはこれと真逆のことが起こっている、あるいは起こしているのが「発酵」。「身体にいい」とは「身体に悪い」ことの逆であり、こう考えると今ひとつ曖昧で朧げな「身体にいい」がよりクリアになり、具体的な輪郭を帯びてくるのではないかと考えています。腐敗しているものを食べてお腹が痛くなるのはわかる、発酵はその逆の状況を作ってくれている、そういうことです。


その上で、何故、発酵食品が身体にいいのかを調べてみます。どのサイトも同じようなことが同じように書かれているので、簡単にいきますが、

①腸内環境を整えてくれるから

出ました、「腸内環境」。最近になって特によく聞きます。腸内には500〜1000兆の微生物が存在するのですが、それだけいれば良いヤツもいれば悪いヤツもいるわけで、悪いヤツの蔓延を抑え、悪いヤツがもたらす病気と闘ってくれるらしいのです。で、発酵食品にはその「良いヤツ」(乳酸菌やビフィズス菌など)を多く含んでいる、と。

②栄養価を上げてくれるから

腐敗が食材の栄養を損なわせるのと逆に、発酵においては微生物がタンパク質、糖分、デンプンを分解して、栄養価を上げてくれちゃうのです(納豆とかいい例で、素の大豆にはないナットウキナーゼという酵素爆誕させたりとか)。そして、それだけでなく、分解の過程で消化の段取りをうまいこと組んでくれたりもするのです。段取りが上手な人ってやっぱり仕事できますからね、そういうことです。おまけに旨味(グルタミン酸イノシン酸など)まで引き出してくれちゃうわ、食品の保存性も高めてくれちゃうわで至れり尽くせりの、もう出木杉です。食べる出木杉君。

まとめると、

栄養が身体に入りやすくなり、免疫を高め、病気を予防する

ってことですね。これは教科書に書いてあるとおりです。

ちなみに弱点は「塩分や糖分の摂取量が多くなる」です。でもこれは全ての発酵食品にあてはまることではないので、バランスをとるのはさほど難しいことではないと思ってます。味噌が好きだからと言って、スプーンですくって食べることはしないわけだし、身体を配慮してる方で甘すぎるヨーグルトをばくばく食べる人もあんまりいないんじゃないかと。

最後に。「発酵」には他にもいろんな側面があるのですが(あるらしいのですが)、僕的に注目したいのは「複数の食品と合わせやすい」ということです。これはなかなかにポイント高いと思っていて、上記の塩分と糖分さえ気にすれば、あとはけっこう自由でアレンジやバリエーションが効くなあと。健康やダイエットにおいてどうしてもありがちな「過剰摂取はよくない」とか「バランスを考えて」という壁(まあ真っ当でもっともな話ではありますが、卓袱台ひっくり返される感は否めない)が立ちはだかるのだけど、発酵はその点、融通がきくのです(と思ってます)。あと発酵食品は往々にしてお酒の肴になるのも嬉しいww(これまた飲みすぎてしまうと元の子もないのだけど)

というわけで、「30日間、主食をインジェラにしたらどうなるか」という取り組みは、

「スーパーフードであるテフを発酵させたインジェラ出木杉君である発酵食品を合わせたらどうなるか」

と、よりアップデートした形でお届けしていけたらと思っております。