2024年夏、今のジャーニージャーニーを棚卸ししてみる。
珍しく(と言うか初めて)、数字で整理していきたい。
そもそも自分は数字に対して執着はない。かと言って、「お金ではなくQOLを」みたいな考え方も全然持ち合わせてない。「経営者たるもの…」的な哲学も信条もない(そもそも自分のことを経営者だとも思っていない)。養わなければいけない家族もいない。かと言って悠々自適に過ごしているかと言うとそんなこともなく、毎日ドチャクソ働いている。疲れる時もあるし、疲れた時は「疲れた」と言うタイプだが、そのドチャクソについても、疲労についても、基本的に何とも思ってない。残念だし、寂しいことでもあるけれど、物欲はないし、遊びたい気持ちも(ほぼ)ない。社会に貢献したいという意欲も特にないし、社会と繋がっていたいとも、距離を置きたいとも思っていない。やりたいことと、やらなきゃいけないことをのびのびとできれば、あとは基本的に何だっていい。
ごくたまに、自分は何故こんなに働いてるのだろうか?と思う時もあるけれど、多分、良くも悪くも単純に、働いてるのが一番楽しくて、面白いからだと思う。楽しくなくて、面白くなければ、こんなに働かない。
とは言え、「前年比」に関してはある程度意識している。「前年の売上・利益に対して、今年はどうなのか」。今のお店が一年前のお店より数字的に下回るのは嫌だなあという気持ちがある。売上や利益は「成長」の一つの指標でしかなく、側面の一つでしかない。重要なのはその時々に合わせた最適化であって、売上や利益の無理な最大化が様々な弊害と閉塞感をもたらす、と思っているし、いつかは曲がり角が来るのだけど、前年比を超えたいと思っているうちは前年比は超えたい。やれてたことがやれなくなるのは悲しいし、できていたことができなくなるのはやはり悔しいものだから。だから、自分たちが見据えるべきは他店でもなく、取り巻く環境でもなく、1か月前の自分たちであり、1年前の自分たちだと僕は思っている。
1.売上推移について
2024年の上半期(1月~6月)は2023年に対して、下記のように推移している(売上ベース)。
◆本店 前年対比118.02%
◆2号店 前年対比109.6%
◆合計 前年対比115.3%
総括として言えるのは、「けっこう頑張れてる」ということ。飲食店の廃業率は10年以内に90%とよく言われる。「いやいやそんなことないでしょ。大手チェーン店の一斉業態変更とかそういうのがこの数字を押し上げてるんでしょう、実際、少なくともウチのまわりのお店、この約10年でそんなに変わってないし」と感じてるけど、にしても、コロナがほぼ終息を迎えた2023年(コロナ前の2019年売上とほぼ一緒)に対し、10年目で115%も伸長できれば十分立派、とも思う(と言っても、この伸長率はJ×Jの元々の数字が低いから、とも言える)。
2.人件費比率について
人件費率は2023年の上半期が23.7%だったのに対し、2024年は21.6%。この数字には自分が現場で働いてる分の人件費は含まれていないので、その分を仮に概算で+10%で加味すると、2023年が33.7%に対し、2024年は31.6%となる。飲食店の一般的な損益計算書と照らしわせると、31.6%でもやや高いといったところだとは思うけど、かと言って、大きく逸脱もしていない。そして、売上を両店で115%伸ばせたのにも関わらず、人件費率を2.1%下げることができたのであれば、それは効率化に成功したと言えると思う。
人件費に関して追記するならば一年前と今年で大きく違うのは社員の有無。去年の6月までは社員がいたが、今年は社員はおらず、時間給のバイト・パートスタッフのみで構成している。運営や営業全体においてはメリット・デメリットが当然あるけれど、人件費率だけを見れば今の時間給主体の方がフィットしていると言える。自分のマネイジメント不足を晒すようで恥ずかしいことではあるけれど、昨年の上半期においては、店内不正の発覚やアルバイトスタッフが飛んだりして、暗澹そして散々たるもので、その影響で人件費が強制的に圧縮された部分もあれば、逆にかさんだ部分もあるが、それ以降、今に至るまでそうした不測の事態はない。
と同時に、2023年の下半期にかけて、けして十分とは言えないけれど時給の見直しも断続的に続けている(105~110%増)。それに連動するようにメニューの価格改定にも取り組んでいる(同様に105~110%増)が、そのあたりが前年対比として数値化、顕在化してくるのはこれからなので、上半期だけでなく通年でどう推移していくか注目しなければならない。
DX化や、スキマバイトアプリの活用など、人件費の最適化にむけたアプローチは確かにある。けれど、合理化における「合理」や、効率化における「効率」を飲食業において、どう落とし込むかはお店それぞれの想いと事情による。おそらく、ほとんどの個人飲食店は合理や効率を理念としては掲げないし(それを第一義とするならそもそも個人店を開かない)、個人飲食店を訪れるゲストもまたそれを求めない。手間暇や丹精や真心を込めることは今までもこれからも、普遍的な価値としてきっと光を放ち続ける。とは言え、不合理はあくまで不合理で、非効率はあくまで非効率だ。
だから、店は今までもこれからも、この矛盾や背反性に向き合い続けないといけないし、その折り合いや汽水域にこそ、センスや努力が滲み、その店の「味」や「個性」になるのではないかと思う。