Journey×Journeyと山本ジャーニーの冒険-独立・開業と「旅食」の航海日誌-

秋葉原の多国籍・無国籍のダイニングバー「Journey×Journey」。独立開業までの過程とオープン後の日々を綴る、山本ジャーニーの営業日報。

何故、BIGBOSSは開幕投手をドラフト8位指名のルーキーに任せたのか。

昨日、推している横浜ベイスターズクライマックスシリーズで敗退し、全日程を終えました。終盤、ドラマティックな展開だっただけに喪失感強めだけども、喪失感が強い分、来年までいっそう楽しみに待ちたいと思います。

というわけで僕は横浜ベイスターズファンなわけだけど、今年、前半のプロ野球の話題をさらったのは何といっても日本ハムファイターズのBIGBOSSでした(後半は激闘だったパリーグ上位3位と56本のホームランを打った村上選手でしょう)。話題にはなるものの、開幕前の評価は低く、解説者からはけっこう馬鹿にされていました(ゆえに解説者の方が少し炎上していた)。途中巻き返したものの結果は惨々たるもので、ぶっちぎっりの最下位。が、来期も続投が決まったので、推しでもないし、リーグも違うけども、ファイターズの野球は今からけっこう楽しみです。

今年の指揮や采配も随分とトリッキーで、野球にそれなりに精通してる人にとっては常識外れのびっくりなシーンが多かったと思いますが、BIGBOSS劇場の神髄は「開幕戦」に集約されていると思っています。開幕戦というのはその名のとおり、シーズン143試合中の1試合目です。そして、開幕戦を先発で投げるというのはピッチャーにとって名誉あることで、毎年、そのチームを代表するエースピッチャーが任されます。

が、BIGBOSSが起用した開幕投手は今年プロ一年目のルーキー、北山投手。注目のルーキーということもなく、ドラフト8位指名(12球団全体で77番中76番目での指名)。ドラフト8位の選手が1軍登録するされること自体が珍しいのに、開幕投手を担うなんて…、とびっくりでした。ただ、BIGBOSSは元々「アウェイの開幕三連戦(福岡)は遊び、本番はそのあとの本拠地(札幌)の開幕戦」と言っていました。にしても…、と思う気持ちもありますが、開幕戦と言っても結局は143試合のうちのただの1試合に過ぎません。1試合目も120試合目も同じ1勝であり、同じ1敗です。「勢い」とか「流れ」とか、そういうのもあるんでしょうけど、よくよく考えれば「開幕戦」にこだわる必要もまあないか、とも感じます。考えてみれば、必要以上にちょっとアツくなりすぎてるのかも、と。

野球というのはチームスポーツでありながら、個人の数字を明確に問われる数字でもあります。打者で言えば、ホームランの数だとか、打率だとか、盗塁数だとか、です。一方、投手は奪三振数とか、フォアボールの数とか、色々あるのですが一番の指標となるのは「防御率」と「勝敗数」です。防御率の説明をすると長くなるので割愛しますが、要は「どれだけ点をとられていないか」の数字です。数字が低ければ低いほどいい、とされるものです。一方、勝敗数はどうかと言うと、これもややこしいのでざっくりいきますが、その投手が投げた結果、勝ったら勝ち星がつき、負けたら負け星がつきます。つまり10勝10敗の選手がいたとしたら、10試合はその投手のおかげで勝ったけど、もう10試合はその投手のせいで(と言うといいすぎだけど)負けた、ということになります。今年のセ・リーグで言えば最多勝阪神の青柳選手で13勝4敗、パ・リーグオリックスの山本投手で15勝5敗、エンゼルスの大谷投手は15勝9敗、です。

ただ、この勝敗数というのはどうも漠然とした数字です。仮にその投手が好投して1点で抑えたとしても、相手が2点取れば負け投手です。逆に5点取られたとしても、味方が6点取れば勝ち投手となります。「防御率はともかく、勝敗数なんて関係なくない?」と思いますが、投手のステータスを図る上で勝敗数は今でも重要視されています(専門家同士の世界でどうなってるかはともかく、少なくとも一般的には)。

開幕戦にそのチームの一番いいピッチャーを持ってくる。次の試合は2番目にいいピッチャー、といった感じでローテーションを巡っていきます。先発投手は週に1回しか投げないので、金曜日が開幕戦だったとしたら、一週間後の金曜日にまたその投手が投げます。エースが向こうのエースと投げ合って、次の一週間後にはまたそのエースが違うチームのエースと投げ合うことになります。勿論、両チームのエース対決は白熱するのだけど、勝ち負けの総数を考えるのであればエースにエースをぶつけるってどうなんだろう?と思わなくもないです。確かにあちらのエースが投げるのであれば、こちらは打てないかもしれないけども、であれば相手チームが5番手、6番手の投手(裏ローテと呼ばれる)が先発の時にこちらのエースをぶつければいいじゃないか、と。少なくとも投手は自分の成績が勝敗数で見られるので、毎回毎回エースと投げ合うよりはエースじゃない投手との投げ合いの方が嬉しいんじゃないかと思っちゃったりします。エースは相手のエースに投げ勝ってこそ真のエース、というのもわかりますし、そのようにして大投手になっていくのでしょうけど、根性論の要素が多い気がするし、みんながみんな大投手になれるわけではないのでは、とも思います。そもそも打撃が強いチームの投手の勝敗数と、そもそも打撃が弱いチームの投手の勝敗数がフラットに並べられることそのものがおかしいんじゃないかと。

今年こそ2位でしたが、基本的には強いチームではない横浜ベイスターズを応援してるので、これは僕がいつも思ってたです。こっちの貴重なエースを向こうのエースにぶつけるな、と。だってこっちのエースが向こうのエースに負けちゃったら、他の誰も勝てなくなっちゃうんだから。


ゆえにプロ経験のないルーキーを開幕投手に選ぶのもありなのかもしれない、とちょっと思いました。結果、北山投手は強力ソフトバンク打線を3回までゼロに封じ、そうこうしてるうちに日ハムが1点をとり、その後は元々のエースや主力級を少しずつ投げさせ、スコアボードにゼロが続きます。あれ、これもしかして番狂わせあるか?、と思った矢先の8回、ソフトバンクの新外国人に満塁ホームランを打たれて玉砕。さらに言えば、開幕戦黒星からその後本拠地に戻っても連敗が続き、結局5連敗。ハタから見れば作戦は失敗のようにも思える。けども、実際のところどうなのか。

スポーツの世界は他の世界よりもよりシビアに「勝つか負けるか」、「数字を残せるか残せないか」が問われます。過程ではなく結果、これもわかる。それはそうなんだけど、今年例年よりもちゃんと見ていたせいか、もっと根っこというか、奥にあるものに、あれこれ考えを張り巡らせるのも試合の勝ち負けと同様に面白かったです。

その作戦に「意図」はあるのか。意図があるのだとしたら、どんな意図なのか。その意図は次のどんな意図につながるのか。昨日の敗北はそれほど落ち込むことなのか、今日の勝利はそれほど重要なのか。結局、143試合の1つに過ぎず、考えるべきは143試合全体であり、もっと言えばその翌年の143試合でもある。


というのをプロ野球の143試合ではなく、お店の日々に営業に置き換えてみる。


今日一日にどんな意図を持つか、どんな意図を持てたか。


意図だとか、意味だとか、いちいち考えてたら疲れるし、まいっちゃうけども、にしても日々を何となく消化し、何となく浪費するよりはいいように思える。