Journey×Journeyと山本ジャーニーの冒険-独立・開業と「旅食」の航海日誌-

秋葉原の多国籍・無国籍のダイニングバー「Journey×Journey」。独立開業までの過程とオープン後の日々を綴る、山本ジャーニーの営業日報。

一寸の虫の五分の魂

あけましておめでとうございます、始まりました、2020年。オリンピックがあるということもあるけれど、今年はなにか色々と予感めいていて、なにか色々と波乱めいていて、エキサイティングな一年になるのではと思っております。2020年を一つの区切りや目標に据えているのは「嵐」だけではないはず。

毎年必ず、何か想定外のシビアなアクシデントや、重たいことが起こり、それがそのままその一年を象徴するかのようなディープなインパクトになるのだけど、去年はそれが少ない一年だった。オープンして以来、もっとも平和で穏やかな一年だったように思える。売上的には通年を通して過去最高だったし、11月、12月と最高売上を更新することもできた。日々のご愛顧、本当に感謝致します。

けれど勿論、何もなかったわけではない。


予期していないタイミングで辞めてしまうスタッフもいれば、


急遽来れなくなってしまったスタッフもいた、


僕は僕で「あなた、今日死ぬかもしれないの」と言われ、


あれこれ新しいことに挑戦したが相変わらず打率は1割満たない程度、


買ったばかりのPCにコーヒーをぶちまけ、


買ったばかりのワイヤレスイヤホンを洗濯し、


「いいな」と思って連絡先を交換した女の子からの便りはなく、


「いいな」と思っていた女の子は絶賛パパ活中だということを知り、


70万前後の未回収の不良債権があり、

70万前後の想定外の納税があり、

初めて賭けた有馬記念は美しく外れ(3,000円)、


そういえば、現在、2号店の立ち退きも命じられている(交渉中)。


とまあ、大なり小なり色々あったと言えばあった。けれど、やはりもっとも平和で穏やかな一年だっただろう。


それは「大なり小なりの色々」の質量が軽くなったのではなく、僕自身が以前よりも少したくましくなって、店自身が以前よりも少し強くなったからだと思う。2019年に起こったあれこれが初年度に起こっていたら、ひとたまりもなかっただろう(さすがにイヤホンを洗濯したくらいで店は傾かないし、さすがに女の子からLINEが来ないくらいでは僕の心は折れない)。

多少のことでは動じないメンタルと体幹を育んできた一方で、以前よりも諦めることが上手になってしまったような気もする。ネガティブな意味合いも孕むが、同時に「明らむ」(明らかにする)というニュアンスも含む。「つまびらかにする。いろいろ観察をまとめて、真相をはっきりとさせる」という意味もあり、仏教語においては「悟り」と同意でもある。だから本来はむしろポジティブな言葉でもあるのだけど、やはり少し寂しくもある。日々の経験の中で様々なことに対抗する抗体を養い、成長したなあ、強くなったなあと感じるととともに、巧妙に割り切っているだけだという感も否めない。届かないもの、伝わらないもの、敵わないもの、叶わないものはある。歴然と、厳然と、ある。

 

最近はバットマンが『バットマン・ビギンズ』で言っていた「人間は中身ではない。行動で決まる」を座右の銘として用いることが多いのだけど、それまでは「一寸の虫にも五分の魂」という言葉を挙げていた。「どんな小さなもの、弱いものにでもそれ相応の意地や感情はある」という意味だ。「それ相応の意地」という表現が好きだ。

 

と、書いてしまうと辛気臭く感じてしまうけど、当然そんなことを新年早々に書くわけない。多くの人たちが新年に挑戦と飛躍を掲げるのと同様に(僕は昨年掲げていないが)、

www.journeyjourney-blog.com

 

僕も挑戦と飛躍を掲げる。ただし、昨年と同様、それは大それたことではなく、ささやかなことだ。

厳然と、歴然とある「ない」と向き合い、


大切なことを大切にする、大事なことを大事にする、コツコツとした日常をコツコツと積み上げる、楽しいと思うことをもっと楽しくする、面白いと思うことをもっと面白くする、「一寸の虫の五分の魂」と「行動」を以って、そう、過ごす。本年もよろしくお願いします。