Journey×Journeyと山本ジャーニーの冒険-独立・開業と「旅食」の航海日誌-

秋葉原の多国籍・無国籍のダイニングバー「Journey×Journey」。独立開業までの過程とオープン後の日々を綴る、山本ジャーニーの営業日報。

J×Jの冒険-2015年4月⑯「正方形二元論」vol1-

自店の強みとは何か。

ずばり、お店の「間取り」だと思っている。

と、前回の記事で書いた。

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物件が決まった後、あれこれ検証して「この店の強みは間取りだなあ」と思ったわけではなく、物件探しの段階から「間取りが強みになる店」以外とは契約しないと決めていた。本格的に物件を探し始めてからまさか一軒目で自分が理想とするレイアウトをしたテナントと巡りあえるとは思っていなかったし、これについてはただただ幸運だったということに他ならない。

お店は正方形のレイアウトとなっている。この「正方形」こそが僕が思う、僕にとっての自店の「強み」だ。

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以前にも書いたけれど、強みは同時に弱みにもなる。正方形もその二元論の中で、表と裏を勿論抱えている。しかし、一定の条件を前提とした場合、その強みは弱みを大きく凌駕する。

「できるだけ事前予約をいただけるようなお店にする」というのが上に書いた「一定の条件を前提とした場合」の一つ。おこがましい言い方になるし、この時点で「ふらっと気軽に入れる」という訴求から遠ざかることになるけれど、総体的に見れば、「一応、予約を入れておこう」という習慣とスキームをどれだけ早急に作れるかが、ゲストの満足度と店側のパフォーマンスの最適化につながるとオープン当初、確信していた。

この立地で店舗運営する以上、コストは最小限にとどめなければならない。予約により事前の来客数が予測できれば食材を無駄にすることもないし、人件費も変動することなく一定に抑えられる。一日の来客数が事前に予測できないまま不規則に増減するのは自店のように人手も、資本もないハリボテにとって危うく、身体的にも精神的にもかかる負担は大きい。第一、自分たちのキャパを超えた来客があった場合、ゲストに迷惑をかけることになる。仮に想定外の売上が立ったとしても、ゲストに対して満足のいくサービスを提供できなければ、その売上も虚しい。そもそもオープン当初の自分たちのキャパなんてたかが知れている。だから、僕は来るとわかっているゲスト(予約客)に対して、ピンポイントで集中する、というスタンスを取りたかった。

どうすれば「事前に予約してもらえるか」は本筋から離れるので、また別の機会に記すとして、話を「正方形」に戻す。一般的に考えて、一人で飲みに行く場合、あらかじめ予約をとったりはしないだろう。二人の場合も少ないと思う。混雑しているのをもともと知っている繁盛店に行く場合か、全く知らない店に行くか、あるいはその店に対して強い目的意識があるか、のいずれかに限られる。これが3人、4人となるとちょっと具合が変わってくる。「一応、電話を入れておこう」という意識が生まれ、人数が多ければ多いほど、当然その意識傾向は強まる。

したがって「事前予約」の構築を目指すということは、「席が取れないほどの繁盛店になる」か、「大人数や団体時に利用したいと思ってくれる店」のどちらかを目標とすることと重なる。お店の主体者が繁盛店を目指すのは当たり前のことかもしれないけど、僕は迷いなく後者を選んだ。繁盛店はしたいと思ってなるものではないし、その方法論もわからない。あるとすれば、それは日々の中で見つけていくものだと思う。でも後者に関しては、ある程度ロジカルに組み立てていくことができるのではないかと考えた。


そのためには正方形のレイアウトはマストだった。「大人数や団体時に利用したいと思ってくれる店」に照準を合わせた時、「正方形」の間取りは強みとなり、また必要十分条件になる。