前回の投稿ではオープン当初、近隣の住民や会社員に対し、どのような姿勢で臨んだかを記した。一言で言うなれば「静観」。特に何もしなかった。オープンしてから一年と半年が経つが、その間、節々でテーマを持って様々なことに取り組んできた。が、これほどまで鮮やかに作戦がハマった例は他にない。新店がオープンしたからと言って、近隣が反応することはなく、僕らの決死のオープニングは華麗にスルーされた。
「作戦がハマった」という表現にはいささか語弊があるかもしれない。確かに僕はオープン当初、一切のプロモーションを打たなかった。けれど、仮にそうしたところで思うような集客できていたかは甚だ疑わしい。それぐらい自店は存在感がなかったし、存在自体は認識していたとしても得体の知れない店には足を運ばない。選択肢は多く、そして、それぞれに行きつけがある。そこにいきなり割って入るにはそれなりの資本を投下しなければならないし(人海戦術による告知にせよ、割引セールにせよ)、それはつまり期待値をばらまくことになる。ではその期待に当時の僕が応えうるか。否。
これまでに挙げた商売不繁盛論を推し進めていく上での3つの前提、
前提1.自分に対する不安と不信感
前提2.借り入れがなかった
前提3.僕と飲食未経験のスタッフ1人の2人体制
この3つは商売不繁盛論の前提であり発動条件でもある。逆に言えば、「僕が自信たっぷりで、スタッフの数も多く、けれども初期投資がかさみ借金がある」という状況であれば全く違う戦法をとっていたと思う。単純に数の勝負に持ち込んでいただろう。肉を斬らせてでもまずはとにかくお客さんに来てもらうということに集中したはずだ(重複になるが、それがうまくいったかどうかは疑問)。
3つの要件のうち1つが欠けていた場合どうだったかな、と振り返る。おそらく難しい舵取りになっただろう。けれど、3つが要件が揃っているのであれば肉弾戦の選択肢はない。僕は商売不繁盛論に徹し、そこに迷いはなかった。
そのような静かな船出だったわけだが、この記事を読んでくれている僕のもともとの友人や知人はそうしたひっそりとした印象は受けてないかもしれない。どちらかと言うと、「パーッとやってるなあ」と思った人の方が多いのではないだろうか。そうした派手な印象をつけようと思ったわけではないけれど、何故そうなったかには意図がある。
「近隣の住民や会社員」をカテゴリー①とするならば、
カテゴリー②は「身内(僕の友人や知人)」、
カテゴリー③は「Webからの流入客」に大別される。
来店客はこの3つのカテゴリーから構成されるが、各々、全く異なる属性を持つ。当然、それぞれにアプローチを変えていく必要があり、ニーズやウォンツに対して柔軟に対応していかなければならない。
カテゴリー①に関しては先述したとおり。
では、カテゴリー②「身内」に関してはどう考えたか。
ここでも不繁盛論が適用される。
こちらがバタバタだからと言って「来てほしくない」というわけでは当然ない。勿論、来てほしいし、一度は来てみてほしい。
ポイントは「どう来てもらうか」だった。
→vol7に続く(「商売不繁盛」で検索すると上位独占。読んでいただきありがとうございます)。