Journey×Journeyと山本ジャーニーの冒険-独立・開業と「旅食」の航海日誌-

秋葉原の多国籍・無国籍のダイニングバー「Journey×Journey」。独立開業までの過程とオープン後の日々を綴る、山本ジャーニーの営業日報。

J×Jの冒険-2015年4月②「商売不繁盛論」vol2-

2015年4月のオープン当初「売上をどう抑えるか」という商売不繁盛論が自分の中での最重要のテーマだった。


もっとも、オープン当初だけの一過的な見地だったかと言うと、そういうわけでもない。今もなお、この「商売不繁盛論」は継続的に推奨しているし、全ての行為と計画に通底している。ただし、オープンしたばかりの頃はこの傾向がより顕著だった。 


ポイントは「売上をどう抑えるか」であり、「どう下げるか」ではない。言い換えれば、「どう最適化するか」。自分の身の程をわきまえた上で、自分の身の丈にあった営業をする。一言で言えば、そういうことになる。


商売不繁盛論の積極的な推奨の裏には下記、3つの前提がある。この3つの前提がなければ、初期のアプローチは大分違ったものになっていたと思う。


【前提1】 自分に対する不安と不信感


どうしたってついてまわる不安を払拭できなければ独立はできない。自分の表現に自信を持ち、それを打ち出し、価値としていくことに「確信」を持てるのが独立の第一歩であり、全てであるように思える。

とは言え、100%の「確信」に至るのは容易ではない。「これだ!」と「これでいいのか?」を無限にループさせていくことで、ようやく朧げに見えてくる境地なのではないかと心得ている。

自分もたっぷりの不安と曖昧な確信を抱えたままの出発だった。おそらく一般的な新店オープンと比較して、かなり控えめな船出だったのではないかと推察する。もし自分が自分に自信たっぷりであれば、もっと果敢に攻めることもできただろう。でも、実際は全くの真逆で平身低頭、慎重姿勢を貫いた。戦線を自ら広げるようなことはせず、友人や知人だけの局地戦に集中し、土俵は極力コンパクトにまとめるようにした。この作戦は幸か不幸か結実し、オープン後、ディナータイムにおける一般のお客様のご来店はなく、しばらくしてからようやく、向かいのマンションの住人が独りで晩御飯を食べに来てくれた。それが一般客の初めての来店だったが、その時の動揺を今でも忘れない(嬉しさと同等のインパクトだった)。何かの間違いなんじゃないかと思ったくらいだ。

 

「お客さんが来て、ご飯を食べる」ということに慌てふためく、そんな奇天烈な飲食店だったのだ。


したがって、この【前提1】は商売不繁盛論に基づく戦略の一つを示すものではなく、「単純にビビっていた」ということを意味し、それは単純であり当然の「不繁盛」に直結していた。意識的にそうした、というよりも、そうせざるを得なかった、という方が近い。何故そこまでビビるのか。これにもそれなりに意図と思惑があるのだけど、それはまた別の記事にて記すとして、【前提2】に話を進める。


【前提2】借入がなかった


商売不繁盛論を推し進めていく上で、この【前提2】も重要な要件だった。


→vol3に続く。