Journey×Journeyと山本ジャーニーの冒険-独立・開業と「旅食」の航海日誌-

秋葉原の多国籍・無国籍のダイニングバー「Journey×Journey」。独立開業までの過程とオープン後の日々を綴る、山本ジャーニーの営業日報。

『J×Jの冒険』への冒険vol21.【内装工事】編②

前回の記事にも書いたように、内装工事を一任するハヤタツとの工事内容についての打ち合わせは契約が始まる前、2月の段階であらかた済ませていた。工事に取り掛かるのは3月の第三週目に約5日間にわたって行う、というスケジュールも事前に調整済み。工事が終わって、その一週間後にはレセプション、そういう運びだった。

 

 

3月1日に契約が始まって間もなく、ハヤタツがお店に内見に来た。彼がお店の中を見るのはこれが初めてとなる。仕事が終わってから彼がお店に着いたのは23時過ぎ。まずは僕が依頼した内容が実際に施工可能かどうかを入念にチェックする。

 

 

 

 

電気系統も確認。

 

 

 

電気屋さんに入ってもらって電気工事が必要となる場合、料金は跳ね上がる。

 

 

 

言うまでもなく縮尺も重要。厨房機器の導入はミリ単位での確認が求められる。

 

 

 

結論を言うと、僕が依頼した工事内容については問題なく全て施工可能、そしていずれも難しくなく、イージーとのこと。見積りも予算から大きく超えることはないだろう、と。この時点で僕は大きく安堵した。

 

 

当たり前の話、図面で見るのと、実際に目で物件を見るのとではやはり印象が違う。僕の視点にはなかったアイディアやイメージがハヤタツから次々と提案される。勿論、予算との兼ね合いがあるので全てを対応することはできないが、自分で思っている以上にやれることが多そうで単純にワクワクした。

 

 

こんな小綺麗な物件を持つことになるとは当初思っていなかった。自分のお店はもっと雑然としているイメージだった。ヴィンテージ・ジーンズのようにいい具合に色落ちし、ウッディーで、エスニック感が強い、いかにもなお店を昔から想像していた。カウンター席でお客さん同士がワイワイし、自分もスタッフも飲みながら営業する、そういう感じ。

 

 

けれど世界一周から帰国後、ベンチャー企業に一年身を置き、今年9周年を迎えるダイニングバーで働いてみて、その考えは徐々に変わっていった。勿論、コンセプトをクリアにした上で、ターゲットを明確にし、アイデンティティは強く持った方がいい。これだけ飲食店が溢れかえる中で、生き残っていくためには必要なことだろうと思う。しかし、その一方で、内装や営業のスタンスは初めから決め込まないほうがいいと考えるようになった。可能性はオープンにしたほうがいい。

 

 

そう考えれば、この真っ白い物件はある意味うってつけだった。いかんせん、さっぱりしすぎているし、飲み屋としてはお上品すぎるし、そもそも自分自身のイメージにもあまり合っていないだろう。でも、色を付け足していくことはこれからいくらでもできる。初めから無理に色を塗る必要はない。まずは自分たちだけの白、濃厚な真っ白を表現していきたい。

 

 

 

内装に着手する前、そう思っていたし、半年経った今でもそう思っている。

 

 

 

ハヤタツとの打ち合わせはこの日、2時過ぎまで続いた。僕が依頼した内容に加えてのハヤタツからの案出しと細かい見積りは後日また改めて、ということでこの日はこれで切り上げた。

 

 

「ヤマさん、お願いがあるんですけど…」

 

 

改まってハヤタツがそう切り出すので何かと思ったら、

 

 

「これからうち(新宿の近く)に帰って荷物をとったあと、またそのまま千葉の事務所に戻らなきゃいけないんです。ヤマさんの家まで送るんで、ちょっとドライブに付き合ってもらえませんか?」

 

 

「なんだ、何かと思った。全然いいよ。すごい眠そうだし」

 

 

 

僕の自転車を車の中に放り込んだ。こんなでかいの入らないんじゃないかと思ったけれど、成せば成る、何とか収まった。

 

 

 

 

 

 

靖国通りを走り、なんだか久しぶりの新宿歌舞伎町。

 

 

 

 

 

 

相変わらずに相変わらずな街を横目に「ヤマさん、誰かいいヒトいないんですか?」と尋ねられ、「いないねえ…」と答えた。「ハヤタツは?」と聞くと、「いないですねえ…」と返ってきた。こんな相変わらずな会話を会うたびに相変わらず続けている。

 

 

 

真夜中の東京ドライブはとても心地よかった。自転車のハンドルが時折、後頭部にぶつかること以外。

 

 

 

 

 

 

<店舗情報>

 

秋葉原旅食ダイニングJourney×Journey

 

住所:東京都台東区台東1-13-9 BRIDD秋葉原

連絡先:050-5786-4931

営業時間

・Lunch  月-金 11:45~14:00(ラストオーダー13:30)

・Dinner 月-土 18:00~24:00(ラストオーダー23:00)