Journey×Journeyと山本ジャーニーの冒険-独立・開業と「旅食」の航海日誌-

秋葉原の多国籍・無国籍のダイニングバー「Journey×Journey」。独立開業までの過程とオープン後の日々を綴る、山本ジャーニーの営業日報。

『Journey×Journeyの冒険』への冒険vol3.【AKBにこだわれ編】

独立・開業を現実的に意識するにあたって、まずは「どこに出店するか」を考えました。何はともあれ物件を抑えないかぎりは始まらないのですが、ここが入口であり、最大の難所だと認識していました。潤沢な資金があったり、他に主軸となる事業があるのであれば話は違うかと思いますが、僕のように予算が限られている上に、キャリアも後ろ盾も社会的信用もないとなると、物件を探すだけでもシビアです。のんびり待っていても物件は降ってこず、かと言って、闇雲に探しても擦り減るだけ。まずは出店地域を絞り込んでピンポイントで行動していくことにしたのです。

 

 

出店地域に関しては、自分自身が勤務していた秋葉原以上に妥当と思えるエリアは他になく、この段階であれこれ思案する必要はありませんでした。とりあえず、とことん秋葉原にこだわる。速やかにそう思えただけで自分はラッキーです。

 

 

何故、秋葉原か。

 

 

秋葉原での勤務経験

 

自分がお店を出したいと思うエリアの属性を事前に把握していることは重要なポイントであると思います。どんな人がいて、どんなふうに動いていて、どんなニーズがあるか。ざっくりでもそのイメージがあるかどうかは大切です(言ってしまえば仮にそれが見当違いであっても)。全く何もわからない土地での出店となると全てが手探りで、品揃えや価格設定はおろか、そもそもどんな店を作ればいいのかもわからないまま、五里霧中を暗中模索で突っ走らなければなりません。これはなかなかにタフなことです。馴染のある秋葉原でお店を構えることができたことによって、準備段階での負担は大分軽減されたと思っています。

 

 

②事業所立地を希望

 

出店地域の絞り込みと同様、客層のターゲッティングも大切だと考えています。僕の場合、会社員・OLを主要客層に考えていたので事業所立地であることはマストでした。平日はカチっと、週末はカジュアルに、が理想とするスタンスです。お店の使われ方をウィークデイと週末で棲み分けることで訴求の幅も広がり、キャッシュフローの安定や健全化につながり(きっと)、メリハリのある営業ができる(多分)と信じています。

 

電気街口の秋葉原はいわゆるの秋葉原ですが、昭和通りサイドは意外とビジネス街です。大企業の本社や大手の営業所が点在し、有名企業の新社屋が建設中だったりとビジネス街としてのポテンシャルは極めて高いです。

 

 

③多方面につながるターミナル

 

JRと日比谷線が走る秋葉原西東京、千葉、神奈川、埼玉全方面からアクセスしやすい駅です。JR東日本の駅の中では乗降者数第9位(一日あたり24万人)。加えて、都営新宿線岩本町、銀座線末広町大江戸線仲御徒町も圏内と言えば圏内。「すごい便利」という人は多くありませんが、「秋葉原ならまあいいか」と許容範囲となりうる半径は広いと考えています。

 

 

④食材の手配のしやすさ

 

秋葉原の隣駅は御徒町、上野と続き、この一帯にのびる「アメ横」はマニアックなスパイスや世界中の珍しい調味料が集まっています。値段もリーズナブル。こうしたアイテムが手に入りやすいこのエリアは多国籍料理を出店にするのにうってつけだと感じています。また大型電気店やディスカウントストア、ホームセンターが多く点在するのも魅力的です。

 

 

秋葉原という街の発信力

 

これは今ではなく今後アドバンテージにしていきたいと思う項目です。メニュー構成やプロモーションも今はまだ手探りの状態でコンサバティブに進めていますが、お店に地力がついてきたらお店の飛び道具となりうるアイテムや施策を積極的に推し出していきたいと考えています。その時、秋葉原という街の情報発信のスピードや展開力、そして言うなればバイタリティと包容力を追い風にできたらいいなと。勿論、やや理想論ですし、中途半端なことをやると逆に叩かれるので慎重に進めなければなりませんが。

 

 

⑥旅系のお店が多い

 

僕自身が直近まで働いていたPUSHUPの他に同じように「旅」をコンセプトとするHitch×Kakeruというお店が秋葉原にあります。自店含め、3店舗ととも秋葉原昭和通り側です。訴求のポイントも空間もそれぞれにカラーがあるので、秋葉原全体が「旅の街」として盛り上がっていったらいいな、とそうした目線とスケールで頑張っていきたいと思うのです。

 

 

以上、6つの観点から僕は出店地域を秋葉原にすることを決めました。ただその他の東京の人気エリアほどではないにせよ、秋葉原は今も、今後も伸び続ける注目のエリア。そもそも物件が空くのか、空いたとしても交渉のテーブルにつくことはできるのか、不安でいっぱいでした。