Journey×Journeyと山本ジャーニーの冒険-独立・開業と「旅食」の航海日誌-

秋葉原の多国籍・無国籍のダイニングバー「Journey×Journey」。独立開業までの過程とオープン後の日々を綴る、山本ジャーニーの営業日報。

商売不繁盛論ならびに路地裏経済論「コロナウイルス編」①

はじめに。人手不足に伴うこの一ヶ月にわたった「J×Jのソンボーの危機」について、ブログ、SNSで発信したところ、思いがけぬ反応と反響を多くいただきました。本当に嬉しかったですし、助かりました。まだ根本的な解決には至っておりませんし、依然厳しい状況は続きますが、最悪な事態は回避できる手筈は整い、安堵しているところです。ありがとうございました、心より厚く御礼申し上げます。

が、しかしながら、COVID-19、新型コロナウイルス。全てを真っ黒にひっくり返すオセロかのような暴威。その影響は甚大で、決まっていた貸切予約はほぼ全てキャンセル、そして新規の予約の問い合わせもほぼ皆無、本来は繁忙期である3月の売上が全く見えない状況に瞬く間に陥った。自店が通常、営業スタンスとして、普段使いよりも「貸切/団体利用」にフォーカスして訴求し、その文化をせっせと積み上げてきてしまったことがより事態を深刻にしている。そのスタンスは自分なりの「選択と集中」だったのだけど、それが今回思いっきり跳ね返ってくることになった。大人数での飲み会は当面の間自粛あるいは禁止されることになり、J×Jにとっては主力商品を丸ごと削がれることになった。ラーメン屋が「ラーメンは危ないから売っちゃダメ」と言われているようなもので、チャーハンと餃子の店になることを余儀なくされている。難局。極めて難局。長引けばジのエンド。

ここで慌ててチャーハンと餃子の改良に取り掛かったところでたかが知れていて、さてどうしたものかというところなのだけど、まずはいったん、あまり前のめりにならずにちょっと引いて考えてみることにしました。今のムードのまま感染者数と死者数が増えていけば、より半狂乱の状態に入っていくのだと思うのだけど、その前に数字的なところから考えてみようじゃないか、と。

「日本 一日 死亡数」で検索したところ厚生労働省が発表している「日本の1日」という資料が出てきました(ちょっと古いデータだけだけど、まあそこまで差異はないでしょう)。

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一日あたり、

生まれるのは2,935人

亡くなるのは3,280人

*人口の減少数は1日あたりだと345人

 

内訳としては、

がん・・・968人

心疾患・・・516人

脳血管疾患・・・338人

事故・・・111人

仕事中の事故・・・3人

老衰・・・124人

自殺・・・87人


*ちなみに他殺は平均すると1日に1人いるかいないか。もっとも殺人発生率が高いエルサルバドルでは1日あたり18人


*さらにちなむと1日あたり1,918組が新たに結婚し、689組が離婚しているとのこと。離婚率が大体30%という数字はわかるけど、実際に数に起こしてみるとなかなかだなと思う。というか婚活産業ってすごい商売だ。

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22日までの時点で日本人の死者数は3人、感染者数はダイヤモンド・プリンセス号の乗客と合わせて700人前後。

①そもそも存在自体が未知で不気味

②感染力が高い

③薬がない

④どこまで広がるかわからない


という点が怖いところだと思うのだけど、個人的にはどう考えてもアメリカのインフルエンザのほうがえぐいんじゃないかと感じてしまう。

www.newsweekjapan.jp

 

ついでに、これを機にペスト(14世紀にヨーロッパで大流行)ってどうだったんだろうと調べてみたところ、


①死亡率60〜90%

②世界で1億人死亡(当時の世界の人口4億5千万を3億5千万まで減少させた)

③人口の80%が死亡した街もあり、社会構造がひっくり返った


とのこと。比較しようとしちゃってすいませんでした。地獄ですわ。東京をマラソンしている場合じゃないし、ピューロランドでキティーちゃんと戯れる余裕もないだろう。

 

確かにおっかないし、目に見えないゆえ不安だし、慎重になるのも過敏になるのももっともなわけなんだけど、かと言って、今回のコロナがここまで日常を一変させているものはなんだろうかと訝しく感じる部分もある。僕だって当然感染したくないし、感染したら諸々気まずいなあと思うけれど、でもまあ死にはしないだろうと思うし(ほとんどの人が回復しているように)、これでこのままお客さん来なかったらそっちのほうがよっぽど致命的だなあと思うわけです。そして、そういう人は実際、感染者数よりもよっぽど多い現実がある。

 

よほど中枢にいる人間、もしくは専門分野のプロフェッショナルでないかぎり、内実と実際のところどうなのかはわかりえない。多くの人はメディアを見て、自らの行動を決定する。メディアはニュースを報道する。ニュースとは「サンリオピューロランドが3月12日まで臨時休館すること」であり、「ディズニーランドが現時点において、臨時閉園を考えていない」というのはニュースにならない。テレビはテレビの立場と役割があり、ここで報道の在り方を嘆いたところでどうにもならないが、ピューロランドのことを取り上げるのであれば、ディズニーランドの意中と姿勢も報道してほしいなと思う。対するインターネットも同じようなもので、基本的には足並みを揃え、同じ情報が同じように流されている。そんな中、あれこれ調べているうちに誰かがブログでこんなことを書いていた。

 

「いちばん怖いのは、不安が先行して消費者心理が冷え込むこと。そして、現代では不安はもはやエンターテイメントの一つなので、メディアはこぞって取り上げる」。

 

不安はもはやエンターテイメントの一つ。


恐ろしいけれど、恐ろしいまでに的確だと思う。

まるで悪夢の象徴かのように横浜に鎮座するダイヤモンド・プリンセス君が無事にコロナから解放され、春風とともにしれっと縮小傾向に向かってくれればいいけれど、そうはならないだろう。されどもうつむいてても仕方なく、前を向くしかないのだけど、前を向いているだけで家賃は降ってこない。ので、どうにかしないといけない。おそらく持てるもの全てを動員して、どうにかしないといけない。

 

というわけで、僕はまず手始めに、上記の見地とリサーチを以ってして、COVID-19(ターミネーターみたいだ)はペストにあらず、インフルエンザだと思うようにする。インフルエンザと同列にみなす。予防手段もインフルと同じであれば、もはやコロナを気にしても、インフルを気にしても同じだ。幾分気も和らぐ。そして、インフルエンザに翻弄されるわけにはいかない。


さあ、うがいだ。