Journey×Journeyと山本ジャーニーの冒険-独立・開業と「旅食」の航海日誌-

秋葉原の多国籍・無国籍のダイニングバー「Journey×Journey」。独立開業までの過程とオープン後の日々を綴る、山本ジャーニーの営業日報。

J×Jの冒険-2015年11月「年金問題」-

細々と淡々とブログを書き続けていく中で、今ではすっかりその頻度も落ち、伴い、アクセス数も完全にたかが知れているのだけど、最近ちらほら「そう言えば、ヤマモトさん、ブログ読みましたよー」だとか、全然会えていない友人に「お店には行けないけどブログはちゃんと読んでるよー」と言ってくれる機会がそれなりある。

そういうことを言われるたびに、「書いててよかったな」、「書きたいな」、「書かなきゃな」と思う。

今までにおそらく150ほどの記事を書いてきたけれど、お店がオープンする時よりも、嵐ツボに出た時よりも、数字上圧倒的に注目されたのが、全5記事から成る下記の長編。

www.journeyjourney-blog.com

よほどの外的要因がないかぎり、この時の熱狂を超えることはないだろう。

この時、2015年11月。初めての年末戦線に備えるべく、乏しいながらにあらんかぎりの力を振り絞り、この峠越えのための準備に時間を費やしていた。その一方、アルバイトスタッフとして加わってくれたまるちゃんに料理を教え、自分が厨房にいなくてもお店がまわるような体制を作る、というスタンスで進めていた。

と同時に、まるちゃんのご懐妊がわかった。つわりがひどくて調理は難しいが、ホール業務に関しては休み休みでいいのであれば続けたい、ということで、そのあたりの知見のない自分もドギマギしながら、この意向に甘えさせていただいた。

そうした流れの中で、料理を習得してもらうのはまるちゃんではなく、加藤。という面舵を切ることになった。加藤に調理経験はなかったので、まっさらなところから始めなければならないが、それはそれでやりやすくもあった(逆に経験者に「多国籍料理を体系立てて教える」というのはけっこう難しい。そもそもルールなんてあってないようなものだから)。

矢面に立った加藤、まずは「焼きそば」から。

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「焼きそば」は料理を習得していく上でのポイントが多く凝縮されたメニューだと思っている。なので、僕は大抵、焼きそばから始める(この話はまた別の機会で)。

というわけで悪戦苦闘しながらも、「料理の習得」というそれまでとは違った目標を掲げて動き始めた矢先に上記リンクの「年金問題」は起こった。

あのブログ記事で書いたことは物事の一側面に過ぎず、事実からの逸脱はなくとも、他の多くのことが削ぎ落され、触れられず、伏せられている。そして、それは僕側からの物語であって、勿論、加藤側からすれば同じ物語でも全く違う様相を呈したであろう。そもそもブログに起こす必要があったのか、という、そもそも論は当然にあるし、それは今も昔も、事あるごとに思い返すけど、当時の自分と全体の状況からすれば、その逡巡は然るべき対応であったと結局、今も昔も着地する。

あの記事を書きながら「いつかこれをリライトして、もっと丁寧かつ正確に描き、もっとディテイルまで突き詰めた一大叙事詩にしたい」と強く願っていた。

そして、あの時の「いつか」が3年の歳月を経て、今になった。今となってはそんなふうには思わない。多くのことが削ぎ落され、触れられず、伏せられているにせよ、僕側からだけの物語であるにせよ、あのブログが全てであり、あのブログで全てだ。と、思う。



今となって最も印象的なのは、まかないのガパオライスに気持ちよくがっつく彼の姿だ。


そして、「あの頃よりは今のガパオの方が美味しいぞ」と今となっては言いたい。



年金問題後、彼は復帰し、12月の繁忙期をまるちゃんとともに一緒に乗り越えた。その後、2月中旬に体調を崩し、3月に事実上の退職。なので、このブログにおいて、彼はまだしばしば登場する。