Journey×Journeyと山本ジャーニーの冒険-独立・開業と「旅食」の航海日誌-

秋葉原の多国籍・無国籍のダイニングバー「Journey×Journey」。独立開業までの過程とオープン後の日々を綴る、山本ジャーニーの営業日報。

J×Jの冒険-2015年4月⑱「貸切」vol1-

物件を選ぶ際、最初に考えるのが「立地」で、次に考えるのが「坪数・席数」だと思う。けれども、この坪数・席数は単純に「数」としてその良し悪しを割り切れるものではない。仮に12坪・20席という物件があったとして、重要なのは「12坪」ではなく「どういう12坪か」であり、ポイントとなるのは「20席」ではなく「どういう20席か」だ。

一人客が多い店であればカウンターメインの20席になるはずだし、カップルを訴求したいのであればカップルが好むような12坪にしなければならない。それぞれのお店にそれぞれのコンセプトと営業スタンスがあるはずで、そのイメージが間取りという物理的な事情に阻害されると店にとっても、ゲストにとってもミスマッチが生じる。

このミスマッチを極力少なくし、イメージ通りの営業を展開できるかどうかが店舗運営におけるそもそもの立脚点となる。そして、その立脚点が僕にとっては「正方形」というレイアウトだった。正確に言えば、僕は席の可動性や可変性に重きを置いていて、その性質を最大化できるのが正方形だった、ということになる。

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そして、

店舗コンセプトと僕が望む営業スタンスを前提に、
この立地にある、このスペースの中の、
この席たちをどう埋めるかを考えた時、

「団体利用」をどれだけ増やせるか、ひいては、
「貸切利用」にどうつなげるか、しかないと思った。

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1名×16組でもなく、2名×8組でもなく、

「16名×1組を追う」。

最初からこの針路を持てていたのは大きかった。考えるべきことも、行動すべきことも明確だった。

1名×4組、2名×2組、4名×2組の計16名を目指すとなると(同じ16名でも)、どの属性にも満足してもらえるような店を作らなければならないことになるが、一人客とカップル客が求めているものが同じではないように、それぞれの属性に合わせたそれぞれのアプローチが必要になる。そして、僕にその能力はない。例えば、僕が作るカオマンガイが超一級で一人客もカップルも4人組もこぞってカオマンガイを食べる、というのであれば話は違うけれど、僕はそういうタイプではないし(その腕もないし)、そういう営業をしたいわけでもない。

ただ「16名×1組」だけにフォーカスするのであれば、筋道を描くことができる。描いたシナリオをもとに限られたリソースをその一点に注ぐことができる。団体客が何を望んでいるかを知り、それに応えるように鋭意努力する、それだけだ。

当然、このシナリオはそれなりの弊害をそれなりに生む。一つのニーズに偏重するというのは他の一つのニーズに対して軽薄になるということでもある。それは百も承知で繰り返すが、複数のニーズを同時に満たせる能力は今の僕にはないし、スペースもないし、資本もない。

けれど、「同時に」ではなく「順次」は可能だと思っている。一つのニーズを埋めることは、次の別のニーズを埋める準備が整うということでもあり、自分はそれを目指すべきで、それはきっと自分にもできる。と、思っている。